立ち入り禁止
これは高校生の頃の話なんだけど、授業が全部終わって帰ろう思って廊下を歩いてたら面倒な先輩たちとぶつかってしまってその先輩たちに絡まれることになったんだ。僕の通ってた高校は結構古い高校で古くなって危ないからって理由で立ち入り禁止になっている場所が結構あった。その中でも一番やばいところが3年A組の隣の教室。普段は通れないように廊下に扉がある。良くある火災のときに火を回らなくするための扉があって通ることは出来ない。いや出来る事には出来るのだがそのためには職員室で鍵を借りてこなければいけない場所なんだ。でもなぜか僕が先輩に絡まれたその時は開いていた。この先輩たちは相当な問題児で生徒も先生もこの人たちを避けて通る。僕を救ってくれる人なんていなかった。開いていた扉の前まで連れて来られて「お前見て来いよ、無事に戻ってきたら許してやる。まぁ、結構古くてゆかとかも腐ってるって噂だから帰ってこれねぇかも知れねぇけどな」そう言われて僕は突き飛ばされ扉の向こう側に行ったはずだった。目を開いて見た、そしたら不思議なことに僕は扉の前に一人で立ってたんだ。そばには誰もいなかった。あれは何だったのだろうか? 疑問に思ったが早く帰らねばと後ろを向き歩き始めた時だった。「貴方より他の子達のほうが美味しそうだったから今回は見逃してあげる。でも貴方に今日起こったこと誰にも話してはだめよ? 話したら貴方も食べてしまうから」という声が聞こえて辺りを見渡したけど誰もいなくて怖くなって逃げ出した。後で知ったことだけどあの先輩たちはあの日の放課後から行方不明になってるらしい。
「っていうのがぼくのじっさいにあった、ひっく、こわいはなしですかね~。」
「おまっそれ喋ってよかったのか?」
「え~。だいじょうぶでしゅよ~」
「お前酔いすぎだよ。もう帰ろう」
「え~、まだのみたいんでしゅけど~」
「帰るぞ。ほら立てって」
「しぇんぱ~い」
「お会計してきてやるから大人しくしてろよ?」
「は~い」
「あれ?あいつ何所行った?すいませーん店員さん、ここにいた男知りませんか?」
「あの男の人ですか?……うふふ、食べてしまいましたよ?だって喋るなって言ったのに喋ったんですから……。貴方も食べられたくないのであれば喋らないほうが賢明ですよ?今日はあれを食べてお腹いっぱいなので見逃して差し上げますが、喋ったらどうなるかおわかりですよね?」
俺は無言でうなずくしか出来なかった。呼んだ店員さんは最初普通の人だったのに途中から口から血を垂らした人ではないものに見えて来た。喋ってしまったらその時が俺の命日になってしまうのだろう。後輩のあいつは行方不明になった。俺より先に店を出たと店の人間が答えたため俺に殺人だとか遺体遺棄などの容疑がかかることはなかったがそれが余計恐ろしかった。俺はきっとずっと見張られているようなこの恐怖に耐えられず、話して死ぬことを選んでしまうのだろう。あぁ恐ろしい。