第七章 闘争中
「いやー、おいしかったおいしかった。」
ミコの手をひきながら、お腹をさする。
「…そういえば、あの能面男がまだこないね。」
「うん。」
「あの能面男って、なんて名前なの?」
「しらない。」
「ふーん。…えっ?」
どういうこっちゃね?
「あんなに一緒にすごしてるのに?」
「うん。」
「へー…。」
あんなに記憶力がいいのに…不思議だ。
「…あたしの名前は?」
「プミラ。」
覚えてるんだ。
「そういえばさ、あんたはあの能面男のことどう思ってるの?」
「…わからない。」
そういえば感情が希薄なんだった。
「きみは?」
「え、あたし?」
そりゃあ、ねぇ…
「あたしは…ちょっと苦手。」
「なぜ?」
「…自分のことが嫌いな人間を好きになるのは難しいよ。」
仕事だとしても、かける言葉があまりにも冷たい。真冬のナイフみたいなんだ。あたしにたいして負の感情しか抱いていない…侮蔑やら軽蔑、そういう感情が伝わってくる。別にあたしはそんなのはなれっこだ。でも、そういう感情を抱いてくる人間がいてその人を好きになれるかといわれたら答えはノーだ。
「下賤な血の小汚いチンピラでもそれぐらいは理解していましたか。」
!?能面男!!!
「ミコ、逃げるよ!」
「いいえ、そうはさせません。」
能面男の背後から、ぼんやりとした光が差し込む。どうやらなにか能力を使うつもりらしい。
だったら、こちらも能力を使うまでだ!!!
「…………。」
近くに電化製品はない。…仕方ない。
「それっ!!!!」
制服のぽっけから小さな手裏剣型の小型武器をとりだし、それを三枚ほど能面男に投げつける。
ちなみにこれは肌には刺さらず、洋服の繊維にのみひっかかるものなので怪我をすることはない。
「バチバチしちゃいな!!!」
ついでにもっと説明すると、これは超小型の電化製品だ。つくるのにお金がかかるのでめったにつくらない。
バチバチバチッ
見事に三枚ひっかかった手裏剣がバチバチと電気を発する。うひーいたそー。
「うっ……!!!」
能面男はバタリと倒れた。
「安心しなよ。死にはしないから。せいぜいちょっとの間、体が動かせないぐらいだよ。」
人なんか殺したくもないからね。
「……くっ!!」
「…いくよ、ミコ。」
しばらく、床と仲良くしてろ。
「…そうだ。下賤な血とかいってたけどさ、人間がどう育つかは血じゃない。周りの環境だ。神につかえるものだったら、血とか気にする前に恵まれない子供たちにさっさとちゃんとした環境を用意しろよ。」
血がどうとかいつまでもいってるやつがいるから世界はいつまでも変わらない。だからこそ、下賤な血を持つあたしが世界を変えてやるんだ。




