第三章 彼らの事情
「ぷ、ぷ、ぷ、プミラさん!!なにしたんですか!?」
ヒメユリさんの顔面が崩壊している。若干笑えるが、今笑ったら殺されそうな気がするのでさすがに笑わない。
「いや、ミコを連れ出して勉強するように説得したり、一緒に勉強したぐらいだけど。」
「つ、連れ出す!?」
「うん。いっつもあの能面男が邪魔してくるからさ。」
仕方ないよね。
「・・・・無の神子への虐待・・・というか、無の神子が学ぶことを許さない神殿側の姿勢を王家は問題視していたので、ありがたいっちゃありがたいんですけど・・・・。」
「え、アイツって学ぶことを許されてないの?」
「はい。学校に来させることまではなんとか認めさせたんです。この国の決まりだから、って。でも、神殿が無の神子に勉強をしないように厳しく教育しているようで・・・・本当にただ学校に来てるだけになっちゃってるんですよ。」
ふーん。むかしっから思ってたけど、神殿ってのは本当に胡散臭いね。
「ま!あたしに任せなって!あたしがこうやってアイツを連れ出して勉強させるから!」
「ああ、ありがとうございま・・・・そうじゃないんですよ!!!」
あー!難しいことはわかんない!
「とりあえず、全部あたしのせいにしていいから!あんたはあたしのことをいつも叱りつけてる!でも、あたしが聞かない!チンピラだからしょうがない!・・・・・そういうことにしときなって!」
あたしは権力とかぜーんぜん関係ない人間だからね。どうとだってなれるんだよ。
「でも、そんなことしたら下手したら命を狙われるかも・・・
「大丈夫!あたし、こう見えても図太いんだ!」
「いや、どう見ても図太そうですけど・・・・・。」
「むかし、色々悪いことしててさ。運動神経とか、戦闘能力には自信があるの。それに色々あったけど、なんやかんやで死ななかったし。」
うんうん。
「・・・・・でも、
「あたしがいいっていってんだからいいの!わかる!?」
「・・・・そこまでいうんだったら、まぁ・・・・。」
よしっ!ヒメユリちゃんが話のわかるやつでよかった。
「王家も精一杯サポートするので・・・・まぁ、死なない程度に頑張ってください。」
「ふーっははははは!この美しき女盗賊プミラさまに任せなさい!」
あたしはすごいんだから!!
「え、盗賊?」
「あ、いや、なんでもない。」
ジトーとした目でヒメユリちゃんが見てくる。
・・・・ぐっ、気まずい・・・・。
「・・・・・わかった!わかったよ!さっき、むかし悪さしてたっていったでしょ!その一環!今は完全に足洗ってるから!安心しなよ!」
まぁ、今でも綺麗な宝石みるとクラッてくるけどさ。盗みやしないよ。
「・・・・・心配になってきた・・・・。」
ぬっ!失礼な!!
「まぁ、はい・・・。うん・・・。一回いっちゃったんで・・・はい。ほどほどに頑張ってください。王家の関与は秘密ですからね。」
「はいよ。」
そんな言われなくてもわかってるって。
「それじゃあ・・・
「あ、ちょっと待って。」
そういや、聞きたいことがあったんだよね。
「なんですか?」
「ミコってどこに住んでるの?」
「そりゃあ、大神殿ですよ。」
ああ、あのでっかいところか。
「神殿のどこらへんだと思う?」
「おそらく、一番奥だと思いますが・・・・。」
なるほどねぇ。
「そっか、ありがと。」
「・・・・・忍び込んだりとかしないでくださいよ。」
「ほいほい。わかってるって。じゃあね。」
「・・・・さよなら。」
さて、どうやって忍び込もうか。