Rec1-1
触発されて
凄まじい形相で草原を駆ける戦士が一人。
その先には機械生命体が背中と脚のジェットを噴射し空中で構えていた。
「お前を倒せば、次はラスボスなんだよぉぉお!!」
戦士は駆けながら握りしめている札を使用する。その札は輝き、戦士の願いを実行する。
「三枚の御札っ!!、時を……止めろおおおおお!」
戦士が札を使って時を止めた灰色の世界。
この中を戦士のみが動く。
「効果時間は後、25秒か。絶対に決めるっ!!」
男はなお機械生命体に向かって駆ける。
その手に未来を掴むため。
……これは、様々な世界からコロシアムに挑戦する、チャレンジャー達の物語である。
………
……
…
城下町生まれ、下町育ち。
魔王の脅威と王国の正義に怯えながら女手一つで育ててくれた母親。
貧しいながらもそこにあった幸せ。
国の為?世界の為?いいや違う俺の為。
俺は俺が守りたい世界の為に戦う。その夢に、近付けるチャンスがあるなら俺は迷わず挑戦する。
……
フリースタイル・コロシアム
それは、様々な世界からチャレンジャーを招待し開催される謎の舞台。
招待されるチャレンジャーは、平民、冒険者、王族、勇者、英雄、盗賊、海賊、魔族、神と多岐に渡る。
チャレンジャーはコロシアムに登場する守護者と1対1形式で戦い。計5対の守護者を倒すとコロシアム制覇。
1試合毎に賞品のグレードが上がっていき、途中でドロップアウトも可能。
気になる賞品は、以下の通り。
1試合目:経験値10万ポイント
2試合目:経験値50万ポイント
3試合目:経験値100万ポイント
4試合目:経験値500万ポイント
5試合目:経験値1000万ポイント
※経験値表示はあくまで目安であり、チャレンジャーの世界のレートに合わせ変換されます。レートより当経験値が高い場合、変化時に低くなることはありません。
また経験値の無い世界から来た挑戦者に対しては、当局がその世界に干渉し、金銭や運などに変換、調整しております。
「さぁ!今回のチャレンジャーは、インセラニアという世界で魔王軍から王国の民を守るレジスタンス所属中。そこで一軍のリーダーを務める若き英雄候補!ソラァァァ・シディカァァア!」
司会のブルトラが声を荒げ、今回のチャレンジャーを紹介した。
空は晴天、中世のコロシアム。歓声は聞こえるが観客は居ない。
観客は皆、別次元から戦いを見守っている。
チャレンジャー、ソラ・シディカは大歓声だけの中、コロシアムのリングへ登場した。
「当コロシアムに来て頂いている方々はね、大抵やる気全開なんですけどソラ・シディカからも溢れる闘志を感じますね」
謎多きオーガナイザー、シデンクトァがチャレンジャーに対しての印象を述べる。
そして、天が七色に輝き、一本の光の柱が天からリングへと繋がった。
シデンクトァがアナウンスを続ける。
「シディカくんは経験値を得て何をしたいのかな」
「こんな良い機会を貰ったんだ。元の世界へ戻ったときに強くなれているのであれば、勇者に代わって魔王を倒してやるさ」
「やっぱ生きが良いねぇ。それではいってみましょう!」
シデンクトァがブルトラにアナウンスをふる。
「守護者!!登場!!!」
光の柱から登場したのは、大鎌をもったリザードマン。上半身は裸というか鱗のみ。下半身に軽鎧を装備している。
ブルトラが、観客の空気を高揚させる変わらぬ弁舌で守護者を紹介する。
「亡国の処刑人にして、死神に魅入られし蛇の半獣半人。いや、死神を従えた脅威のリザードマン。ミラーラ・ダドゥ!!!」
両者、共に気合い十分。準備万端で向き合っている。
「それでは、戦って頂くステージはこちらになります。クリエイター、ベンシー!ステージを魅せて下さい」
ブルトラは何も無い空間へ向けて合図を送ったが、ベンシーと呼ばれた者がそれに応えたのだろう。
コロシアムは、マグマの流れる火山へとその景色を変えた。
滴る汗は蒸発し、熱気が常に体力を奪う。よく見ると岩の中に基地の様な人口物がある。
シディカとミラーラの間の距離は凡そ500m。
ステージが変わるとブルトラがルールを説明する。
「1試合、5分。勝利条件は相手を殺害、または降参させること。制限時間内に決着がつかなかった場合、判定になります。自爆と見られる行為や世界を壊す行為は反則となり即失格となりますのでご注意下さい。特殊なアバター同士の対戦となる為、実際に死亡することはありません。チャレンジャーは毎試合、三枚の御札、天海地武道鎧、三つの選択肢から1つを選ぶ事が出来ます。チャレンジャーシディカ、どちらを選びますか?」
ブルトラのアナウンスに合わせ、空中に説明文が現れた。
■三枚の御札
・自然現象を操ることの出来る御札×3枚
(強、地、火、水、風、金、重、時、光)
※一枚につき効果時間は1~30秒
■天海地武道鎧
3つのモードに変身可能な機能のついた鎧が装着されます。
・天モード:飛行可能。防御力が低い。
・海モード:エネルギー攻撃に強い。
・地モード:物理攻撃に強い。
※天モードタイプ○○と、使用者に応じ武道鎧は進化する事があります。
※破壊されない限り、試合終了まで装着可能。
■三つの選択肢
・50:50:1試合中、対戦相手のステータスを使用者と同じにする。
(体力、筋力、各エネルギーなどを同じにする。容姿、戦闘技術は対象外です。例、対戦相手が竜人の場合、使用者が飛行能力を持たなければ竜人から飛行能力を奪えますが、皮膚の硬さや尻尾の操作、優れた五感などは奪えません)
・オーディエンス:観戦者が4つの武具の中から1つを選んで投票し、最も投票数の多かった武具が与えられます。
※ここで選ばれた武具は次の試合へ持ち越し可能。
・テレフォン:元の世界から仲間を呼び、共に戦ってもらいます。
※実在の人物であれば、過去から呼ぶことも可能。
もちろんシディカは出場前に説明を受けている。
「ああ、俺が選ぶのは……」
チャレンジャーの選択肢に召喚獣もありましたが、日本人が一兆度の火球を出す怪獣や、口から放射能性ビームを吐く怪獣を召喚したりしたので無くなりました。