選ばれたわけ
ライジングボーイ。雷を体に浴び、雷人間となり天界へ招かれた男。
ライジングガール。雷を体に浴び、雷人間となり天界へ招かれた女。
天野力斗はライジングボーイだ。さっきまで普通の高校生をやっていた男の子が、雷人間なるだなんて。世の中は不思議がいっぱいである。
天野力斗は20045人目のライジングボーイになった。
20045。つまり俺の前に20044人が雷に撃たれ、雷人間になったということ。
「おいおいちょっと待てよ。20045人目だと?なんだそりゃ。いくらなんでも多すぎだろ。俺みたいに雷に撃たれた人間が他にもわんさかいんのかよ」
「そうよ。リキトのような人が20044人いる。男だけでもね。ライジングガールは18655人だからあなたも合わせると合計38700人ね」
「驚いたぜ。俺みたいに運のないやつがこんなに多くいるなんてな」
といいながら天野は笑っていた。
「でもね。リキトは運が良い方なのよ」
と、レストは真剣な顔で言った。
苦笑いしながら天野は、
「俺のどこが運が良いんだよ。雷に撃たれて運が良かった!なんて思えるほど俺がステキな人間に見えるか?」
少し怒り気味に言った。
「あなたはもう少しで取り返しのつかないことになっていたわ。実を言うとあの雷、あなたを撃った雷はね、天界の長、ライジングが放ったモノなの」
淡々とレストは言った。
「ライジング…?ライジングボーイのライジング?」
「そうよ。ライジングボーイのライジング。なぜ雷人間のことをライジングボーイ、ライジングガールと呼ぶのか。それは、ライジングが放った「神の雷」を受け雷人間となったからよ。ライジングの雷で雷人間となったからライジングボーイなのよ」
なるほどーっと納得する天野。
「でも、そしたらライジングってのは悪いやつなのか?今まで4万近くの人間が雷人間にさせられたんだろ?」
「それは違うわ。さっきも言ったけど、あなたはもう少しで取り返しのつかないことになるところだったの。だから、やむを得なかったのよ。ああしなければあなたが、やつの手に渡ってしまうところだったから」
やつ?と天野はレストに聞く。
レストは暗い表情になって、
「デッドライジング。昔、ライジングがまだ一つの存在だったときの話。まだこの天界が一つの大陸だったときの話」
続けてレストは言う。
「ライジングが長になって丁度1年経ったころ、天界のとある場所に異変が起きたの。調査隊が駆けつけたころには時すでに遅し、その場所は、焼け焦げ、煙を巻き上げ、そして死体が転がっていたわ。その死体の顔を、確認した調査隊は青ざめたわ。何故かって?それは天界の長、ライジングの妻、デトネイシアだったからよ」
衝撃の事実。ライジングの妻は死んでいた。