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私がおとぎ話となった理由  作者: もんじ
序章
4/23

3話: 偽りの身体と本物の身体

ノア教団では英雄の帰還を盛大に祝っていた



この支部ではざっと40人ほどのノア神族が隠れ蓑として使っていた

支部は各地に点々とあり教団員はすべてノア神族である


ただ支部ごとに派閥がある為に一枚岩ではない

それはイヴァ神族も同じである


明日はイヴァ神族の城に

主の身体を奪還する作戦が行われる予定だ

内容は作戦なんて呼べるものではない

ただ城門から入り牢獄にある身体を奪うだけ


相手はイヴァ神族、無謀とも思われる行為を行う

まるで鉄砲玉だ


「ガッハッハ!邪魔するやつは全部返り討ちだ!」

この息巻いてる人物がアキの次の体であり名前はボーン

精神も記憶もすべて支配されてしまった状態である


奥では水晶を見つめてなにかを行なっている老人と

その横にはアキ(ボーン)を転移させた女がいる


「記憶がどんどん染まっていきますのぉ、明日は問題なく使えるでしょう」

老人がそう伝えると女はウフフと笑いボーンを眺める




ヴァーリがノア教団に潜む、密偵の合図に気づき席を立つ


しばらくして戻ってきたヴァーリは

ブラギ、イズン、テュール、フレイヤに話しはじめる


「ノア教団を監視させてる者の報告によると

アイリ様はまるで木偶のように精神を支配され

明日イヴァ城に攻め込むらしい、牢獄にいる主を救いだす為と言われてな」


牢獄と聞いてヴァーリは

「英霊達よ!ヴァルハラへ集え!!」

先代主神であるゼノの言葉が頭を駆け巡った


400年前の大戦争よりもさらに昔の話だ

自分と師匠であるバルドル、ロキ、アイリと共に壮絶な戦いを思い出した

魔王ヴェルゼ、やつは今でもイヴァ城の牢獄に幽閉されている


今の戦力のノア教団になにもできないのは分かっているが、

やはりイヴァ城には近寄らせてはいけない



密偵から報告された内容をすべて皆に話し終えると

それぞれが行動を移す、明日でアイリを取り戻す為に


ドカサの街でカノンがアキを思う

ブラギがアキを連れ帰ると言ってたことを信用していない訳じゃないが

カノンもまた黒の衣の集団と

ブラギの戦いを見て人間ではない別の存在ではと感じていた


嘘をつくことに心は傷んだが今日は両親に嘘の言い訳をした

何日も通用するような嘘ではない、自分もアキを探しにいきたいが

足手まといになるだけだろう・・・




翌日になりノア教団支部から軍勢が出発する・・・

はずだったのだが、目の前にはブラギ、イズン、テュール3人の神族が待ち構えていた

フレイヤは教会の地下室でお留守番

ヴァーリは一足先に出発していた


その光景を水晶越しに眺めている老人のネクロマンサー


「よっ!ほっ!はっ!」

楽しそうにボーンの感情を操作している

「ぐおおおおおお!」ボーンが叫ぶ



「なんだぎざらまぁ」アイリの面影の欠片すら残っていないボーンを見て

3人は胸が苦しくなったが、逆に戦いやすいとも思えた


最初に動き出したのはイズンであった

ワンステップで自分の射程距離にまで詰めたあとに

身の丈を超える巨大な斧を右から左へ大きく振る


「ボウッー!」という旋風が巻き起こる

射程内にいたノア神族10人のうち、伏せた1人と飛んで避けた1人以外の

ノア教団員は真っ二つに割かれていた



攻撃をまともに受けたボーンは

腹部から大量に飛び散る血を見ながら叫ぶ

「なんじゃこりゃ〜〜!」


その光景を見た2人のノア教団員互いに目を合わせたあと

左右に散ろうとしたが2人とも頭を鷲掴みにされたあとその頭を潰された


潰したのは同じ黒の衣の女であった


《ボキボキ》

「あの時の女か」とブラギは拳を鳴らしながら前に進み出す

「あら皆さんお揃いでやけに早かったわね」


ブラギはどんどん近づいていく

「ちょ、ちょっとちょっと待ちなさいって!」

女は焦ったように喋りだす


「食らえこのアマーーー!」

ブラギは魔力を込めただけの右ストレート放つ

魔力を込めただけの右ストレートなのだがその威力は絶大であり

ブラギは拳聖と呼ばれ現代格闘術の始祖でもある


「ドッガシャーン!」という音とともにまともに打撃をくらう

女の代わりに打撃をくらっていたのはボーンであった

ボーンは20mほど吹き飛び壁に埋まるような格好でピクピクしている

「あら、やっぱ良い子ね」とボーンに向かって女はささやく




別の部屋では水晶の前で叫んでる老人がいる

「あっー!もうなんじゃこれは!これではワシまでやられるではないか!」

「使い物にならないならこの3人だけでも道連れに爆発させるかの!」


などと言っていた時に異変が起きる

水晶に軽くヒビが入る「ん?なんじゃ?」と水晶を覗き込むと

水晶に反射して鏡のように映っている黒の鎧に白銀のマント

そして竜の仮面をつけた者が後ろに立っている!


水晶はパリンっ!という音と共に砕け散った


「ひぃぃぃぃ!」恐る恐る後ろを振り返ると

そこにはヴァーリがいた

「魂を取り出す禁呪を教えろ、それならば苦痛のない死を与えてやろう」


ネクロマンサーはペラペラと全てを話す

最後に「ただあの身体にある爆弾は

生命活動が止まると勝手に爆発する仕組みになってますじゃ」


「全てを話しました貴方様に忠誠も誓いますでのでどうかこの命だけは」

必死に命乞いをするネクロマンサーにヴァーリが答える



「ふむ、忠誠を尽くすかならばよし」

ホッと胸を撫で下ろす「ははー!」と頭を下げるネクロマンサー

そのネクロマンサーに向け神速の槍が放たれる


「不忠義者め、故にその行為は万死に値する」

その場を立ち去り皆のもとに急ぐヴァーリであった




ボーンが壁から抜け出しブラギに襲いかかろうとしたとき

プツン!っと糸が切れたかのようにボーンは倒れた

黒衣の女はその姿をみてニコリと笑った後

転移魔法を使い、その場から消えた


あっけなく終わったなとボーンのもとに近づく3人あとは

ヴァーリがくれば一件落着なのだが

しかしあの美しいアイリ様がこのような器に入れられたなどと

なんとも言い難い表情をしながらボーンを見下ろす



そんな時にヴァーリがもの凄いスピードで向かってきてるのがわかった

ブラギの「おー・・」と声を遮るかのように

ヴァーリは「離れろっ!」と叫ぶと

ヴァーリは異次元の結界を発動し自分と共にボーンを結界の中に閉じ込める


数秒後に結界内にもの凄い衝撃があったことは外からでもわかった

いったい何が起こったのか外にいる3人は困惑するが何もできないでいた

そして中からヴァーリが出てくるが傷だらけなのが分かる


ヴァーリの特徴でもある仮面まで左半分が欠けている

いつもは仮面に覆われていて表情を読み取ることができないが

今はわかる 笑顔だ、右手には大事そうに持っているなにかがある


「さあ皆戻ろう」と教会の地下室にあるアイリの下へと4人は足を進める

教会に向かうまでの足取りは軽いあっという間に教会までついた

相変わらず埃まみれの中を通って地下室に向かう

みんな歓喜の表情をしている



そして地下室を進むと

アイリが保存されている部屋まで留守番をしているはずの

フレイヤの姿を見かけなかった

フレイヤはどこにいる!?


まさかと思い駆け足で扉まで近寄る

恐る恐る扉を開けるとそこには



いつもと変わらない魔法で作られたクリスタルに

保存されているアイリの身体があった


アイリの身体を見るまでヴァーリは焦った顔をしていたのが

仮面が左半分なかった為読みとれた


「まったくフレイヤはどこにいった」

「どうせなら5人で迎えたいよね〜」

「トイレ行ってるんじゃないかな?」

「フレイヤが持ち場を離れるなんてことは今までなかったんだけどな」


時間が経つと右手に持っている魂が消えてしまうような気がして

ヴァーリはクリスタルに近づく


他の3人は了解とうなずく、魂をアイリの身体に捧げると

アイリの身体と魂が共鳴しあい、アイリの身体に命が宿る


そっと目を開けたアイリはそのままクリスタルを破壊する

ひざまずく4人、主神の帰還だ




ん?あれ色々と記憶がゴチャゴチャになっちゃってるけど

アキの後に入った身体あれはいったいなんだったんだ。。


とりあえず元の身体に戻れた

これは間違いなく私?僕?俺?の身体だ


そもそもなんで精神体で活動していたんだっけ?

あ、主神不在になっちゃってたけど大丈夫だったのかな、

バルドルが代理でうまくやっていてくれたかな?

そのあたりはあとでゆっくり聞こうか



目の前にはひざまずく4人がいる

懐かしく感じる、ヴァーリ仮面半分壊れてるよ・・・

あ!ブラギだ!アキの時にはお世話になったな


などと考えたあと「ヴァーリここはどこ?」

「はっ!ここは廃教会の地下室で御座います!」


え?なんでそんなとこにいるの


頭の中に浮かんだ疑問をそのまま聞いた

「なぜそのような場所に?」

「御身を狙う不届き者が城におります

危険と判断した為に今はここに隠れております」


ん?私を狙う不届き者か 詳しく聞いておくべき話だな

その前にずっと護衛してくれたみんなに感謝しておくかな


「長い間めを覚まさず悪い事をしたみんなありがとう」


「ヴァーリよ」「はっ!」


「テュールよ」「はい!」


「ブラギよ」 「ははー!」


「イズンよ」 「はいー!」


「ロキよ」 「おかえりアイリ」





一瞬時が止まったように感じた4人

ロキ・・・だと?


開いた扉を向くとそこには主神代理であり

アイリを手にかけた張本人であるロキが立っていた

そしてその足元にはフレイヤが倒れていた。







クワッ!!《バリーーーーン!!》


「アイリ様のご帰還だー!」


\ワーワー! / \パーン!/

\ドンドン!/\ピーヒャラピー!/



「な、なんだこれは・・・」

《出るタイミングを失うロキ》

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