22話: 特務機関員とのお手合わせ
アイリス教国までは小型の戦艦に乗せてもらい向かう事になった
海軍将校が手伝ってくれたお礼に送らせてくれとの事だった
最初アルビオンはその申し出を断ってたんだ、そうしたらアキって人が、いやアルビオンさんそれじゃあスノー君どうするのさって言ったら、そうか!じゃあ船で帰ろう!と言い出した
俺がいるから船で帰るという発想、俺がいなかったら船で帰らなかった?
この時は意味がわからなかった・・・
アイリス教国の港に着いた、初めて来たから知らなかったが
要塞都市の名は伊達じゃない、港に入るにも巨大な海門を通らなくてはいけなかったけど、街の中に入るにも何十mあるのかわからないが、巨大な門を通らないと入れない、そして門を警備している兵士は重厚な白銀の鎧を着ている
アキさんやアルビオンさんが着ている物は模様は似ているが遥かに軽装備だ
同じ軍の人間でもやっぱり装備が違うのか、2人が着てるのは鎧ではなく司令官が着る制服のような格好だ、
そして門を通る時に分かったが、この2人かなりの権限を持っているのだろう、衛兵達の態度が異常なまでだ
スレイブリルで言えば海兵が将校に対する態度に近い
特務機関とは機関長の他6人で構成されていて
アイリス教国の軍隊はアイリス教国内にある4つの領主が率いる教会騎士団と要塞都市アイリスに本部を置く、小規模な宮殿騎士団と大規模な聖騎士団の3つらしい
聖騎士団内には7つの大隊があるのだが
特務機関はこのアイリス教国の王の直属であり、第1〜第7まである大隊の、第7大隊を指揮下に置いてるらしい、補欠とは言われたが、これはとんでもないところに入ってしまったようだ
アルビオンさんは宮殿に報告に行ったので、アキさんに街を案内してもらう事になった、
特務機関が寝床としている場所は聖騎士団の兵舎ではなく、宮殿の隣にある建物が寝床らしい、
アキさんに案内されてすぐ、どうしても気になっていたことがあって聞いて見た
「あのーアキさん、気になることがあるんですが」
「ん?何が気になるんだ?」
「なんでここの兵士の人たちは宙に浮いてるんですか?」
質問をされたアキはしばらく間をおいて笑いだした
「あはは、そっかそうだよね、不思議だよね?」
「え、ええ不思議です」
「アイリス教国に住む人たちはほとんど魔法が使えるのさ」
呆気にとられていた俺にアキさんは続けて言った
「君も使えるようになるよ、さあ次は機関長に会いにいこう」
舗装された森の中で山賊のような姿をした集団を見つけた
見るからに危なそうな集団で、その集団のボスらしき人物がこちらに気付くと、何見てんだ?みたいな顔をしながらこっちを見てきた
「こんにちはテュールさん」
「おう、アキか」
「機関長見ませんでした?」
「ああ、奥の畑にいるぞ」
その場を離れるとアキさんが、さっきの人はテュールさん、この国の王様の側近なんだよって、
耳を疑った、あんな人が側近で大丈夫なのかって思った、
森を抜けると農園地へと進んでいく事になった、あたりは作物の手入れをしている人でいっぱいだった、
そしてアキさんが畑の中にいる人達に声をかけた
「こんにちはー!機関長見かけなかったですか?」
麦わら帽子をかぶった3人組1人はガラの悪い人、もう1人はお爺さん、もう1人はなんと言えばいいのだろう、
体はムキムキで悪魔が存在するならこんな感じなのかもしれないと思わせる人だった、そして麦わら帽子が似合っていない
「ダッパよ、ルルファウス殿は何処だ?」
「ワシもしらんわ、ラケンシュ見かけんかったか?」
「え?さっき姉さんと一緒にいるとこは見かけましたが・・・」
「ベスネル様と一緒にいるならば分かる、そこをまっすぐ進め」
「分かりましたシャルさん、皆さんどうもありがとうございます」
言われた通りの道を進んでいくと2人の姿が見えたのだが、どうやら言い争いをしているようだった
「もー何してるんですか!この木にそんなに水あげちゃダメだって昨日言いましたよね?」
「だってこんなに暑いのに水もあげないなんて可哀想でじゃない!」
「だ・か・ら、あげちゃダメなんですよ!」
2人とも麦わら帽子をかぶっていて1人は女性でもう1人はまだ子供のような外見だった、
そしてアキさんが声をかけると2人は振り向いた、女性のほうはスレイブリルの港で俺を補欠でいれてあげなさいよ、と言ってきた女性だった
「あら〜ようこそアイリス教国へ」
「やあ、君がベスネルさん推薦の人だね、僕は特務機関の機関長をしているルルファウスだ」
「はじめまして、スノーといいますルルファウス機関長」
「そうかスノー君、馴染むまで大変かもしれないがよろしくね」
まさか機関長という肩書きを持った人が、畑仕事をしていて、そのうえこんな少年だったとは・・・
挨拶が終わった帰り道にアキさんに機関長っておいくつなのですか?って聞いたら
いきなり笑いだした後に答えてくれたのだが、耳を疑ってしまった、機関長の年齢は514才と言われた
信じられなかったが、続けてアキさんが言ってたのはさっき畑で話したお爺さんルイザルフ・ダッパさんは1000才を余裕で超えてるらしい、数百年前に1000才を超えて数えるのをやめたと言っていた
その後に見学した場所は大病院だった、最新の医療設備がこれでもかと揃っていて、
スレイブリルの王都にある病院も立派だが比べ物にならないほどで、病院の地下では新薬の研究なども行われていた
1人の老人を先頭に医師達が連なって歩いていたが、今日は水上都市の医師が研修会を行なっていたようだ、
こんな立派な病院にした訳は、四年前にガルドレフ帝国の魔族と戦った時に、水上都市ガリオンの医療に助けられ、アイリス教国にある医療施設の限界を感じたため優先的に力をいれたらしい
次に街の中にある工房を見せてもらった、
大きな建物の中で職人達がキンコンカン鉄を叩いている、兵士達の鎧や武器を作っているのだろう、
それよりも気になっていたのは建物の外にある広場を走っていたもので、
鉄に覆われて連結した車輪のついた乗り物、黒煙を上げながらガタガタ走っているが、その車体には大砲のようなものがついている
アキさんに聞いてみると、あれは試作品の機甲車両だと言っていた、大砲のようなものは実際に大砲であり、
悪路でも強引に進み、大砲で敵を撃つ軍事兵器らしい、そしてこの広場の下では面白いものを作っていると聞いて地下に向かった
地下に入るには許可がいるようだったが特務機関は顔パスらしく、門番は敬礼すると道をあけた、
地下に降りると、そこには戦艦のような船が建造されていた、まだ未完成だがこの船は空を飛ぶことができるらしい
信じられなかったし、そもそも船を飛ばすという発想がなかった
これは飛行船と名付けられていて、なんでもこのアイリス教国の王が2年前から作り出したようだ、建造を開始した時に王は体を震わせ大喜びだったそうだ
会ったことないが、この国の王は案外面白い人なのかもしれない
アキさんは昔、俺と同じくギルドに所属していたけど、町を幼なじみと一緒に飛びだしてこの国に来た
その当時は国ではなく村であり、王達とは1つ屋根の下で暮らしている時もあったそうだ
一緒にこの国にきたカノンという幼なじみもギルドに所属していたけど
この国にきて兵士となり現在は、宮殿騎士団の団長を務めている
宮殿騎士団はいわば王の近衛騎士団らしい、俺達と同じ王直属の組織だ
気になっていたアキさんの年齢は21才らしいおれは18なので3つ上である
さっきの機関長やダッパさんの件があったから、返ってくる返事がまさか100才とかだったら・・・なんて思ってたけど、見た目通りだった、神族、魔族、人間が住む国だってことはさっき聞かされた、ガルドレフ帝国も同じらしい
スレイブリル王国は人間しかいなかったので
この街の中には色々な文明があって新鮮に感じる
訓練場の奥に魔法学校という子供達に魔法を教えてる施設があるという事で向かっていた時にいきなり声をかけられた
「アキその人だれ?」
「ああ、彼はスノーっていって今日から特務機関に配属されたんだ」
「はあ!そいつが?」
初対面の相手に向かって口の悪いこの少女はどうやら同じ特務機関員らしい
「はじめましてスノーって言いますよろしく」
「・・・ない」
「はい?」
「こんな弱そうな奴が特務機関なんて認めない!」
いきなり彼女はどこから取り出したのか、身の丈を超える巨大な大鎌を向けてきた
「ちょっとちょっとリリィやめなって」
「誰が推薦したの?アキ?アルビオン?」
「いや、ベスネル様らしいよ」
「・・・っ!」
しばらく沈黙していたが、また威嚇するように喋りだす少女
「ちょっとそこの訓練場で模擬戦しましょう新入りさん」
「・・・どうする?スノー」
「分かりました勝負しましょう!」
あまりにも見下した態度で喋る少女に我慢できず勝負を受けた
使う武器はお互いに竹刀、特務機関の1人であるアルビオンさんの強さは知っていたから、この少女も相当な手練れだという事は分かった
だけど俺もギルドではゴールドランクの中でもかなりの腕を持っていることは自負している
倒せなくても、一矢報いてやろうと思って挑んだ
「たあああああ!」
掛け声とともに少女は高く飛び俺の頭上めがけて竹刀を振り下ろす
俺はその竹刀を横に構え、相殺した後に反撃にでるつもりだったが
《ズガーーーーーーン!》
竹刀で受け止めたはずなのに、少女の竹刀は折れず、俺の竹刀だけポキっと
視界が歪んでフラフラしながら、俺は少女の一撃で気絶してそのまま倒れた
勝手な都合で中途半端なところで完結にしました
今までどうもありがとうございました!




