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私がおとぎ話となった理由  作者: もんじ
序章
2/23

1話: 人間の生活

「大丈夫だったよ、心配してくれてありがとう」



というとカノンは驚いた表情でこちらを見つめていた

「死線をくぐり抜けて大人になったのか・・・」

独り言のように呟いたあと「もうご飯できてるよ」


カノンは7才の頃に両親を無くし親戚も居なかったため

隣の家だったこの自分(アキ)の家に引き取られた

10年ほど経つが幼なじみというよりは姉弟に近い


ギルドには去年認定されランクは

プラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズのなかのシルバーのランクにいる

プラチナの上にダイヤというランクがあると言われるが

ダイヤの人間を見たことはなく都市伝説といわれている




朝起きると、というかカノンに起こされたわけだが!

両親は共に働いているのでシルバーの任務が無いときは

こうやって朝食を作ってくれている


ゴールドランクからは仕事が絶えるなんてことはないけど

ブロンズ、シルバーはその日暮らしのような生活を強いられる

働いてくれている両親に感謝!

ってずいぶんこの記憶と体が馴染んできたな


なんて思っちゃったりしてたらカノンが

「このあと予定ないならマフムの山まで一緒に薬草とついでに山菜とりにいこ?」

と言われ、え〜〜。って

考えが顔に出てしまってたらしくて

「じゃあブロンズのギルドメンバーにマフムの山まで護衛を依頼します!」

そのあとに「依頼料は1000Gでお願いします」


と笑いながら誘ってきた

まてまて!カノンはブロンズより上のシルバーだし僕より強いでしょ?

まあ今の身体能力ならプラチナやゴールドがどれ程かもわからないけど

なれる気がする、実際この体の記憶とはかけ離れた

能力を持っているからたしかだ「わかったわかったその依頼引き受けるよ」


マフムの山までは歩いて2時間くらい危険なモンスターもいないし

あの周辺は自警団もよく見回りをしてる

散歩みたいなものだな。


体が半分以上隠れるほどのカゴを背負い出発した

向かう途中で見える景色は広大な山々に

畑や田んぼ、平和そのものの景色だ

400年前まではこの畑や田んぼがある場所に栄えた都市があったらしい


「このあたりってさ栄えた都市があったんでしょ?」とカノンに聞いてみる

「文献には残ってないけど小さい頃にお父さんに聞いたんだ」

「このあたりは物凄く栄えてて貿易の中心地だったって

でも大戦争で跡形もなくなったって ってねお爺ちゃんから聞いたって言ってたよ」


「でね、お爺ちゃんもそのまたお爺ちゃんに聞いたんだって!」

にこりと笑いながらカノンは答えてきた


「へ〜大戦争っていうことはやっぱおとぎ話にでてくる

神々の戦争は本当に起きたのかな?」

「どうなんだろ、大勢力のイヴァ教団と

異教徒扱いされて陰で活動してるノア教団どちらもいい噂聞かないし

実際に神族の人を見たことがないから確信はできないけど」


「けど神様はいるんじゃないかって

両親がいなくなって泣いていた私をアキの家族にしてくれたしね」

「でもそれってアキの両親が優しかっただけか、たはは・・・」


前方にそびえ立つ周りの山より一回りはでかい山目的地のマフム山だ

周囲は薬草などの宝庫だ

しかしこれだけでかいカゴに多分一杯に採取するつもりだろうから

時間かかりそうだな・・・


などと思いつつ3時間ほどたった頃2人のカゴは山盛りになっていた

カノンのカゴには薬草、僕のカゴには山菜

採取中はまるで2人で玉入れをしているような光景だっただろう

「この薬草はエマ先生に渡しにいくからね」カノンが伝える


「え?」エマとは水上都市ガリオンに

いるヤブ医者エマである、いや正確にはヤブ医者ではないんだけど

昔高熱を出した時に診てもらったんだが、

人の顔を見るなり「これはにんにく注射だな」

と注射をしてきたあと座薬のおまけ付きだったのであまりかかりたくない医者だ


なんだか足が重いな

それにあそこに薬草渡すって帰りは僕だけ荷物を持つの?

半分に分ければいいか・・・ いや全部持つか1000G先払いされちゃったしな。



水上都市ガリオンまではマフム山から徒歩で1時間ほど

道路が整備されていないから馬車などがこの間は通れないほどである

水上都市は王国内でも随一の景観を誇る都市

見るからにお金が余っていそうな都市なのにマフム山までの道路整備はない

まあだからあのヤブ医者はカノンに薬草採集頼んだんだな


正門を通って数分で病院に到着した、ここに来たのは何年ぶりくらいだろう

当時と変わらない平屋だが少し壁が痛み始めてる感じもする

薬草渡しはカノンに任せて近くの噴水にあるベンチに座る

2分ほどしてガヤガヤ騒いでる声が聞こえる


無精ヒゲに帽子をかぶった男が衛兵と揉めている

普段なら無視するところなのになぜかその時は近づいて見にいってしまった


「さっきからチョロチョロあたりを物色してる

怪しいやつがいるって通報があったんだ!早くこっちにこい」

と衛兵が怒鳴っている ヒゲ男は「おいおい!おれはなーんもしてないのよ?」

「あのね、あ! そうそうおれ軍人なの」


その言葉を聞いて衛兵達は「お前みたいな軍人がいるかっ!」

たしかにはたから見ても軍人などには見えない

吟遊詩人みたいに見える「ほんとうだよ〜、国王直属の側近なんだから」


衛兵達はその言葉を聞いて呆れた顔をしながら

「お前・・それは不敬罪だぞ」と衛兵の1人が言う

ヒゲ男はなんで分かってくれないかなぁっという顔をしながら辺りを見回す


と同時に目が合ってしまった

目が合うなんて思わずとっさに目をそらしたが時すでに遅し

ヒゲ男は衛兵を振りほどいてこっちに突進してくる!

今まで男が隠していたであろうオーラが辺りを包み込みヒゲ男が呼吸を

乱しながら手を近づけてくる、そして僕の肩に触れた。



一瞬時が止まった、止まった訳じゃない走馬灯のようなものを見せられた

ロストテクノロジーのような〈機械〉〈高い建物〉


そして膝をつき頭を下げている大勢の者達


ハッっと我にかえりヒゲ男をみると帽子が落ち

白目を剥き口はアゴが外れているかのように開いていて

例えるならそう、ムンクの叫びのような表情をしている


体をプルプル震わせたと思ったらいきなり「おおおおおおおおっー!」と叫ぶ

あまりの声の大きさで耳はキィーんと鼓膜が破れたのか心配になるほどで

近くの家の窓ガラスは割れていた。


衛兵が集まり放心状態のヒゲ男を連れていく


その大声を聞きカノンが病院から飛び出し向かってくる !

何を言っているのかよく聞き取れないが

事の顛末を話したあとそろそろ戻らないと暗くなってしまうので街へと戻った

街に戻る途中カノンから色々はなしをふられたが空返事で返してしまっていた

先ほどのフラッシュバックされた映像が脳裏に浮かぶ


頭の中で「あれは自分の記憶なのか?

そうだとしたらこの世界ではありえない

あのような機械や高い建物は王都にも存在しない」


カノンに聞いてみる

「この世界にさ、マフム山くらいの高さの建物ってあると思う?」

馬鹿らしい質問だと思いつつ聞いてみる


「はぁ、やっとちゃんと口を開いてくれたか・・・

でもずいぶん話が飛躍してるねー!」


「ってごめんごめん、、んーっとねまたお爺ちゃんの話になるんだけど

昔は本当に大昔は雲よりも高い建物とかが何個もあったって」

「さすがにそれは嘘だと思うけどね」とカノンが話してくれた

だが頭に浮かんだ映像には確かに最上階が雲を突き抜けている建物もあった・・・


黙り込んだあと

「そ、そうなんだでも雲よりも高い建物なんてあったら凄いだろうな〜はは」

過去?過去には存在していたのか?

でも大昔ってそんな何百年、何千年前なのかもわからないが

僕はそんなに長い時間を精神体として漂流していたのか?

あのヒゲ男にどうしてもあって聞きたい事がある・・・生命の危険も感じるけど


水上都市ガリオンには留置所や拘置所がある

さすがに不審者扱いくらいでは留置所にいるだろう

明日すぐにもう一度ガリオンに向かおう!

そう決意しカノンに話しかける

「明日なんだけどさ朝早くにギルド会館行くから朝食はいらないからね」

カノンはすかさず「えっ?どうしたの急に、なんで?」と問いかけてくる

失敗した。と思いつつ


「仕事をこなしてさ早くカノンのシルバーまで追いつきたくて!」

なんて頭をよぎった言葉を簡単に使ったら案の定

「んふふ、それは先輩として助けてあげなくちゃな

私も行くから何時に出るの?時間合わせて朝食作るよ!」と


さあどうする!?やっぱナシ!なんて今更言えるかな ・・・

まあ明日はしょうがない明後日にするか・・って

明後日じゃ居なくなってそうだな〜、そんなこんなで無事帰宅

そして今日の晩御飯は山菜のフルコースだった。



起きろー!っとカノンに起こされる

時計を見ると朝5時、二階建ての家で部屋は二階 キッチンは一階だが

部屋まで朝食の香りがする、カノンは何時に起きたんだろうか。。

朝食のメニューにはカゴにまだまだ一杯に入った山菜は使われてなかったが

あれを消化するにはいったい何日かかるのか不安になる


朝食を終わらせ準備を整える バイトで貯めたお金で買った剣と鎧

どちらも安物だがステップアップしていくのも楽しそうだ

そういえば隣の街にドラゴンを素手で倒した拳聖と呼ばれる人がいるらしい

胡散臭いが今度手ほどきしてもらうのもいいかもな


なんて考えつつ家のドアを開けた瞬間庭の塀に寄りかかってる後ろ姿

見た事あるぞ、ほんのすこし前に・・・


2人が出てきてドアが閉まるタイミングにくるりん!

こちらに振り向きにっこり笑う、ヒゲ男がいた


「あれ、奇遇だね ここ君のうち?」しばらく間が空いてから

「うそうそ冗談だってば俺の名前はブラギ」

「こんな早くにどこいくの?

あ、もしかして俺に会いにこようとしてた?なーんちゃって」



図星だったから否定はできずそもそもなんで釈放されてるんだと

間が空いてしまったらカノンが「お知り合いの方ですか?」

とブラギに質問する「お知り合いもなにも・・・」

と僕に抱きついてきた、抱きつかれたが昨日の感覚はなく

ブラギもムンクになっていなかった


「私たちはいまからギルド会館に仕事にいくんです!」

ちょっとヤキモチでも焼いているかのような強い口調だった

ブラギは「ギルドで仕事?君たちギルドメンバーなんだ

ちょうど良かった君たちのお手伝いができるよ」







「俺の名前はブラギ、こんな早くにどこ行くの?」ハァハァ


「え?」


《コソコソ》

「え?知り合い?」

「いや?誰このヒゲ男」


《ガチャ、バタン》《ガチャ》


「おいおい、ひどいなー」ハァハァ

「ちょ、なに勝手に入ってきてんですか?」


「え、なんですか?知り合いの方ですか?」

「知り合いもなにも・・・お尻合い!!」


《ブスリ》

「アッーーーーーーーー!」

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