12話: 囚われの魔王
町に戻ると指示通りに警備が厳重になっていた
普段は門に数人の衛兵しかいないのだが
今日は壁の上に10m間隔くらいで灯りが照らされ
壁の上にはゾロゾロ衛兵達がいる、警備を厳重にとは言ったが
まるで戦争中で敵軍の進軍を迎え撃つような光景だった
テュールとイズンが張りきってしまったのだろうか
でも魔族を見かけてしまったし、このくらい厳重でもいいくらいかもね
ブーン!と壁の上を飛んでたらイズンを見かけたので
キリがいいところで屋敷にきてね、と話しておいた
町の中にも教団騎士団が隊列を組んで巡回をしている
空に向かって\アイリ様ー!/ と
手を振ってきたので笑顔で(仮面つけてるけど)手をふりかえす
ってもうこの姿が私だとバレたのか?誰かが話したのだろうか・・・
ヴァーリが同じ仮面をつけてる事が光栄でうんたらかんたら
興奮しながら言ってたからベラベラ喋ったのか?
せっかく特注で作ったのにな〜・・・まあいっか。
屋敷についたから食堂に向かって歩きだす
食堂にいたフレイヤ、テュールの2人と
食堂に向かう途中の大広間でヴァーリに声かけて連れてきた
イズンは後でくるだろうが、ベス姉とブラギの2人はどこにいるのかな?
ベス姉はどうせこの時間なら絶滅種がわんさかいる湖で戯れてるだろうが・・・
テュールに2人を探して呼んでくるよう頼んだ
しばらくするとフレイヤお手製料理のいい香りが食堂に広がる・・・
テュールが20分ほどすると2人を連れて戻ってくる
ベス姉は案の定だが湖にいたらしい
ブラギは訓練後に密かにアキとカノンの修行を行ってるようで
今日も稽古をつけていたらしい
・・・まあみんなが揃って料理も完成したので食事をしながら
ありのまま今日起こった事を話すぜ!
「やはり東の町は魔族の手によってですかー」「この前襲った町って言ってたしね」
「しかし魔王ヴェルゼの名を出して、関係ないと?」「うんうん」
「イヴァ城の様子見てきてあげようかしら〜?」「あ・・・お願いできる?」
「今よりももっと厳戒態勢をとりますね!」
「うーんちょっと大袈裟な気もするけど、備えあればっていうしね」
「あ、あと騎士団に剣術の他に魔法も教えてあげてよ」
「かしこまりました、イズンとテュール頼めるか?」
「了解!」「わかりました」
「町の建設も落ち着いてきたから俺も手伝うよ〜」
「ではブラギにもお願いしよう」
その後もそれぞれ意見を交わしあい、その日の緊急会議は終わった。
次の日にベス姉はイヴァ城に向かった
ロキとちゃんと話し合いたい気持ちもあったがなんとなく会いづらかった
「ロキ様、怪しげな女がロキ様との面会を希望しておりますが、いかが致しましょうか」
「アイリか!!」「いえ違います、ただかなりの魔力を持った女で御座います」
「・・・通せ」「御意のとおりに」
《カツカツカツ》歩いてくる女に対して
「・・・ベスネルか」「ベスネルか、じゃないわよ〜、なにカッコつけてるの?」
「・・・ちっ、で?今日はなにしにきた?」
「魔族が人間の地に入ってきて、人間の町を襲ったりしてるのよ、貴方しってた?」
「魔族が?・・・いや耳には入っていないが」
「魔王ヴェルゼ」ベスネルの発した言葉に一瞬固まるロキ
「まだ地下の牢獄にいるのよね?」
「いるはずだが様子を見に行ってないからな、詳しくは知らん」
「ちょっと一緒に見にいきましょうか」
ロキがあまり乗り気ではない事はすぐわかった
魔王の配下である魔将の1人に圧倒的な力を見せつけられて以来
いまでは同等以上の力を持っているはずなのに、魔族は苦手なのである
地下への長い階段を下り、牢獄に着くそこには数百年もの間
人間と神族の連合軍を相手に戦っていた魔王ヴェルゼの姿があった
「生きてるかしら〜?」ベスネルは声をかける
「・・・ほうベスネルか、横のお前はグノシスの子だな、なんの用だ?」
「あら、ずいぶん快適に暮らしてなくて?」
「フワッハッハ!この様を見て快適とは・・・早く本題にはいれ」
「魔族がね・・・人間の地に進出してきたのよ」
「・・・そうか・・ではそのままの意味であろう」
「私はすでに魔王などではなくなったという事だ」
「馬鹿な!魔族にとって魔王とは絶対的な存在ではないのか!」
「私がここに幽閉されてから何百年経っていると思っている・・・
お前達神族と同じで新たな王を立てたのであろう」
すこしの間が空き魔王ヴェルゼは再び口を開く
「私の役目は終わった、もうこの呪縛を解いてくれないか?」
「ダメよ♪貴方は永遠に苦痛を味わうのよ」
「フワッハッハ!相も変わらずかベスネル」
「さあ、戻りましょうかロキ」「・・・あ、ああ」
玉座の間に戻った2人
ベスネルはロキに対して今後どうするのか聞いてみたが
ロキは神族に被害が出るまでは動かないようだ
ただ神族の地の警戒は怠らないようにするらしい
ロキはベスネルに対してアイリの近況を聞いてきたが
みんなで楽しくやっていると答えた
ベスネルはそろそろ戻るとロキに伝えると、ロキはアイリに済まなかったと
伝えてくれと最後に頼んできた、天邪鬼なベスネルが伝えるかどうかは分からないが
ロキにとってベスネルはアイリへの唯一の架け橋のような存在だからだ
アイリス町では昨日アイリに言われた騎士団に魔法を教える準備にとりかかっている
具体的にいうと魔法教育に必要な施設を作るのだ
名前はアイリス魔法学校、子供達が通う普通科と魔導科や
すでに騎士団に所属している者の為の魔導騎士科
学校を新設で作るために必要な敷地は広大な為に
町の中心部からはかなり離れた場所に建てる予定だ
子供達の教育は学校が完成してから、騎士団には完成するまでのあいだ
青空教室のような場所で教える予定になっている
「この学校建てるのにいくらくらいかかるの?」とヴァーリとブラギに問いかけると
「・・・ざっとこのくらいかと」「えええええ!そんなにかかるの?」
算出された金額を見てガッカリしてしまった
というのもハウザーが即位してた時代の頃にあった飛空挺を建造しようと思ってたのに
この出費があると飛空挺作りもまだ先の話になりそうだ
町人が多額の寄付をしてくれるので助かってはいるが
なにか資金を集めるいい方法はないものか・・・
ベスネルが帰ってきたので報告をみんなで聞くことにした
「・・・新魔王が誕生したって事ですか?」「そういうことよ♪」
ザワザワする大広間、想像はできたけど・・・まいったな
今の段階だと統率されて行動してるようには思えないけど、
この前襲ってきた魔族もはぐれ者だったと思うしね・・・
「ああ、それからロキがアイリに済まなかったと伝えてくれって言ってたわよ」
静まりかえる大広間
冥界に行ってバルドルやハウザーと会ったりして
一生懸命ベス姉や私を追いかけてきた子供の頃のロキを思い出す事もあった
でもあいつに殺されて魂で漂流してた時の事も思い出す・・・
とりあえずアイリス町の方針は現状維持
魔族が統率されて動いたらどうにかしないとだけど
新しい魔王が何考えてるのかわからないしね
ただはぐれ魔族の被害を防ぐ為にも街道の警備を行い
貿易相手の町や都市にも魔族の件を話して、いざって時には助けに行ける態勢をとろう
魔将クラスが軍を率いて進軍してきたら
神族が出ないとどうにもできないと思う、今日の会議はここまでで終わり!
明日は何しようかな、星を眺めた後、眠りにつく
朝起きたら、というか今日は起こされて目覚めると
貿易相手のファルス町を治めているファルス領の領主が
直々に会いにきたらしい。
「もうこの呪縛を解いてくれないか?」
「はーい♪」ガチャガチャ!ガシャーン!
「ちょ!なにしてるベスネルーー!!」じゃじゃーん!
「やりなさい!ヴェルゼ!」「わんわん!!」
《ガブッ》ギャーーー!
「ってロキが言ってたのよ〜♪」ワッハッハー!ガヤガヤ




