11話: 魔族との遭遇
「ん〜!よく寝た、今日も気持ちのいい朝だ!」
アキの体に戻らなくてもよくなった私は毎日を快適に過ごしていた
本物のアキが戻ってきてから6ヶ月くらい経ったが村も活気で満ちあふれている
教会の横に立派な二階建ての屋敷があり私はそこで暮らしている
大広間にはヴァーリが座っていた
「おはようございますアイリ様」「おはようヴァーリ」
「報告ですが、工事をおこなっていた
西のファルス町につながる街道が本日開通する見込みでございます」
「つきましてはファルス町との貿易を開始したいのですがいかがでしょうか?」
「それは村長のヴァーリに任せるよ・・・村長?」
「・・・どうかなされましたか?」
「いまこの村って人口何人いるの?」
「・・・昨日の時点では5047人になります」
「え、そんなにいるの・・・もう村とは呼べないね」
「はっはっは、左様でございますね」
「村人のほとんどはイヴァ教会の信者この村の象徴であるアイリ様の下に集まった者達です」
5000人・・・そんなに増えたのか、窓の外を覗いてみたけど通行人であふれてる
前までは銅像を拝んでる人の横をコッソリ移動したんだけど
もはや人目につかず移動するのは無理っぽいな
まあそうなるだろうと思って鍛冶屋に頼んだものがあるので後で取りに行くんだけどね
この村の象徴らしいし、今日は堂々と歩くことにするか!
「とりあえずヴァーリは今日から町長ね」「は!かしこまりました」
町を堂々と歩いてみることにしたが
おおっ!アイリ様だ!ははぁー! キャーアイリ様! \アイリ様!/ \アイリ様ー!/
こ、この状況になれないといけないのか・・・?
ニッコリ笑って手を振る
教団騎士団の宿舎まで行く途中ずっと歓声に包まれていた
宿舎近くにある修練場に到着すると訓練が行われているのだが壮観である
イヴァ教団員は白の衣が特徴だったので騎士団員の装備は
白銀の鎧に白の衣を羽織わせた
かっこいいかなって思ってこの装備に揃えさせたんだけどね
思ってた以上にお金がかかって工面するのが大変だった
いまではベス姉の趣味にも助けられてる
最初はあちらこちらに乱雑に畑などを作っていたが
いまは区画で別れて立派なものだよ!
湖に絶滅した生物がいたけど
あれはやっぱベス姉のしわざで今では何種類も増えて観光地にもなってる
なんで絶滅したはずの生物がいるのかは私が思うには
冥王だった頃に職権を乱用したはずだ!あの性格なら間違いない
まあおかげさまで観光客の人々からの収益もある
「これはこれはアイリ様」
「今日はテュールが教官なんだ、アキとカノンは?」
「頑張って訓練していますよ、見る見る成長しています」
ほえー テュールに褒められるなんてかなりのもんだね
カノンの為に立派なギルドハウスを作ったんだけど
カノンも騎士団に入りたいって事で入団して以来ギルド活動は行っていないと思う
まあせっかく作っちゃったからって事で
この町のギルドとしてちゃんと稼働してるからいいんだけど
「話は変わるのですがアイリ様」
「食料調達に出た1つの班が昨日から帰ってこないので今から捜索隊を出発させるのですが」
「半年ほど前に起こった東の町の件もありますが
知り合いの海賊からきいた話では、2日ほど前に船が1隻 襲われ
乗組員の話によると化け物に襲われたと話してるようです
嫌な予感がしませんか?」
「そうだね、今日からは警備を強化するようにイズンにも言っておいて」
「分かりました」
次はどこに行こうかな、湖の様子と果樹園と・・・・
あっ!すっかり忘れてた
キンコンカン!! 向かった先は鍛冶屋だった
顔をだすとすぐに奥から持ってきてくれた
見た目はほぼ騎士団員が装備してる鎧と同じであるが微妙に色が違う特注品だ
そしてヴァーリと同じ竜を象った仮面
色はヴァーリの仮面は茶色なのだがこれは灰色だ
さっそく屋敷に戻って着てみなくては・・・!
屋敷にはヴァーリ、ブラギ、イズン、テュール、フレイヤの主要人物
5人が一緒に住んでいる、部屋はもちろん個人の部屋
例えるなら部屋の大きさは5人の部屋がそれぞれアキの家のリビングくらい
私の部屋がその倍くらいになってる
鎧を着たあと屋敷の中をうろついてみた
フレイヤが前を通ったんだがチラっ、スタスタ・・・ブンっ!みたいな二度見をされた
やっほーって声かけたらヴァーリかと思ったと言われた
そのあとヴァーリが前を通った時も同じように二度見をされた
やっほーって声かけたら鏡かと思ったと言われた
親子揃って同じ反応しなくても・・・ヴァーリはとてもお似合いですと言うとともに
同じ仮面をつけてることを光栄に思うなんたらかんたら言っていたけど
あまり聞いていなかった、というのも
今さらになってテュールが言ってた化け物が気になり
少しパトロールに出かけようと思っていたからだった
パトロールの最中に犯人を見つけたら、これ以上わるさしないように脅かそうか
空に飛び立つ!《シュッワ!!》
ちなみにこの空飛ぶ方法はただの魔法なんだよね今の時代の人間は使えない
使えないのではなくて教わってない、のほうが正しいのかな
私が通ってた魔法学院があった頃は当たり前のように人間も使っていたんだけどね
教団騎士団に教えるようにしようかな・・・
お!あれは捜索隊かな《ビューン》と近寄ってみたら
100mほどの距離になって気づいてしまった、・・・みんな死んでいる
体を引き裂かれて死んでいた
傷跡からすぐ分かる何百年も戦ってきたからね、相手は魔族だ
魔族は魔王ヴェルゼを捕縛後
魔族の地からでない事が約束でヴェルゼを処刑しなかったのに
ここから魔族の地まではかなりの距離があるのにここまで来たのか?
捜索隊が進んでいた方向に魔族を探し飛び立つ
「あ、いたいた」数分後にすぐ見つける事ができた、相手は3人か・・・
上空から魔族の目の前に降りると、ビックリしてる魔族達「な、なんだお前は!」
人間、神族、魔族この3つの種族は見た目では大差はほとんどない
まあ稀に魔族には本当に巨大な怪物のような者もいるけど
「カッカッカ!格好良く登場したけど怯えてるのがわかるぜちっこいの」
「しかもなんだこいつ鎧は大層なもの身につけてるのに武器持ってないぞ」
・・・あ!武器作るの忘れてた、まあいっか
「お前達ここは人間の地だぞ、魔族の地へ帰れ」
「おお!なんだお前女か?ひひひ、この前襲った町には若い女が少なかったからちょうどいい」
・・・なにがちょうどいいんだ?しかも若くないぞ?
「もう一度言う、ここは人間の地だぞ魔王ヴェルゼがどうなってもいいのか?」
1人が私めがけて剣を薙ぎ払うがサッ!っとかわす
「魔王ヴェルゼなんて今の魔族には関係ねぇ!」
「あっそ、じゃあ聖なる雨に打たれなさいホーリーレイン!」
《ズザザザザザザザ!》
辺り一面が眩しく光り、空からは無数の光線のようなものが降り注ぐ
ほーっほっほほ!・・・あ、失敗した・・・影も形もなくなってしまった
相手に乗り移って情報を引き出せばよかった・・・
ってことで次の魔族探してこよっと!
探したのだが、暗くなってしまったし疲れてしまったので町に戻ることにした
屋敷にいるみんなと緊急会議をしなくちゃ
魔族の目の前に降り立つ! シュタ!「な、なんだお前は!?」
「なんだチミはってか!」《ブンっ》シュッ!!
「人間に手を出して魔王ヴェルゼがどうなってもいいのか!」
「ヴェルゼなんてもう関係ねぇ!」「そうだ関係ねぇ!」「関係ねぇ!」
「関係ねぇ!」「そんなの関係ねぇ!」「関係ねぇ!」
地下深くにある牢獄、魔王が重い口を開く・・・
《魔王ヴェルゼ: え?》




