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001年目03月20日 レイがもふもふするだけの話

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場面:彰浩達がデパートに買い物に行っている間のレイの行動

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若干薄暗い馬車の中でタロとヒメを前に、レイがしゃがみ込む。

採光は設計されているが幌の中では流石に若干薄暗い。


(男爵様に任されましたので、全力で対応致しましょう)


咥え紐を引くタロが薄闇の中、虹彩の反射と興奮で濡れたのか瞳を輝かせて、踏ん張る。


(ふむ、幼い個体と思っていましたが、中々に力強い……)


レイが引く力を微妙に調節し、虚を突かれ、ころりとタロが転がる。

何が起こったのか良く分からないと言う顔でパチパチと瞬きをした刹那、改めて興奮した様子で咥え紐を再度銜えてレイに差し出す。


「また、ですか? ヒメの方が遊べませんよ」


レイが呟きながら、タロの背を優しく撫でる。


(しかし、狼……ですか。浸透作戦の際は遠目で良く見かけましたが。こう近くで見るのも初めてですね。幼い筈ですが、中々に良く育っています。男爵様の育成方針が正しいのでしょう)


遊んでくれた相手に撫でられるのが嬉しいのか、頻りに体を捩り、レイの手をペロペロと舐める。


『いいままなの。もっと、なでていいの』


タロがキャフに近い声で鳴く。


その鳴き声に反応したのか、ヒメもおずおずと近付いてくる。ただ体は正直なのか、興味津々にしっぽは振られている。


「おいでなさい。一匹では寂しいでしょう?」


レイが呟くと、ヒメが近くに伏せる。

その頭を柔らかく、時に大胆に撫でる。


レイが、左手でタロを巧みに撫でながら、右手で咥え紐をヒメに差し出す。それを見たヒメが嬉しそうに銜え、引っ張り合いが始まる。歓喜の表情でグルグルと唸りながら、ヒメが咥え紐を銜えたまま、頭を左右に振る。


(左後脚の骨折、そして異常癒着をしていたとお聞きしましたが、後遺症らしきものは感じませんね。引く力もタロに負けず劣らずです。経験の有る分、巧みと言っても良いでしょう。しかし、ここまでの治癒が出来る男爵様の神術と言うのもまた、素晴らしい。あの方は本当に面白い……)


タロのように上手く転ばす事は出来ないが、レイが最終的に手元にヒメを引き込んで屈させる。

ヒメも力関係を理解したのか、レイの膝辺りに伏せて大人しくなる。

そのヒメをレイが柔らかく撫で始める。

ハッハっとヒメの呼吸が荒くなる。レイがそのまま背中側に手を伸ばし撫でる範囲を増やしていく。


(ふむ、これはまた。もふもふと仰られていましたか……)


レイの丁寧かつ繊細、そして大胆な手技に負けたのか、二匹共ころりとお腹を見せてくる。


「お腹の方が……もふもふなのですね……」


レイが二匹のお腹を撫でつつ、しっぽの反応を見て、大きく動くところを重点的に攻めていく。


(ふむ、もふもふ……もふもふ……もふもふ……)


二匹はいつまでも続く快楽の中、ただしっぽを振り、荒い息を吐く事しか出来なかった。

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