第四話『技能交換 - スキルトレード』
「ニコ!悪いんだけど、『炎拳 - ファイヤーパンチ』2つと交換でもいいかい?」
「え?いいけど?1つしかつかえないわよ!」
とニコは言った。
「うん。わかってる」
そう、2つ持っていても意味が無い。
普通ならね。
そして僕は普通ではなかった。
「どうやって、スキル交換するの??」
と、僕が聞く。具体的にどうやって、スキルを交換するのかはわからなかったから単刀直入に聞いた。
「え?知らないの?」
とニコが聞く。もちろん知らない。さっきこの世界に来たからだ。でも、ニコの口ぶりからすると、基本機能のようだ。
「こうやるのよ!」
と、少し顔を赤くしながら、僕の両手を掴む。
ニコの温度が僕に伝わる。
僕の顔も赤くなっているのではないだろうか。
自分では見えないけれども。
「なるほど」
と、なんとなくわかった僕は口にした。
物理的に接触して、相手の体内にすきるを移動させるイメージなのだろう。
時計回りだと考えると。右てからニコのスキルを吸い出して、左手から僕のスキルが抜けていく感じだろう。
「そして念じるのよ!自分があげてもいいと思うスキルを!」
とニコが言う。
なるほど、自分が上げるものを念じるのか。
相手の欲しいスキルを念じるのできなく。
やはりこれは、交換、トレード
というよりは譲渡に近いのだろう。
譲渡を二回連続で行えば、交換だ。
この両手を掴むのは、多分、この子たちの習慣だ。
片手で二回でもいいのだろう。
ただ、それだと、インチキをする人がいるかもしれない。
商品を買うときに、お金と商品がその場で交換なのと一緒だろう。
「じゃぁ、行くわよ!私は『炎拳 - ファイヤーパンチ』を差し出します」
「僕は『炎弾 - ファイヤーバレット』を差し出します」
『技能交換 - スキルトレード』
と体が光りだした。
「おおお!」
と僕はその現象に感動した。
異世界っぽい。
超常のエネルギーが発生している。
そして、光が消えた。
「はい、これで、交換できたはずよ!」
「なるほど」
「スキル確認」
と僕が天の声に言う。
<<『スキル合成 - シンセサイズ』>>
<<炎拳 - ファイヤーパンチ>>
ヒュッヒュッ、と表示(?)される。
「おお、『炎拳 - ファイヤーパンチ』戻ってきた」
「そう、良かったわ!私の方にも『炎弾 - ファイヤーバレット』が来てるわ、ありがとう!」
無事彼女にもスキルが届いたらしい。
そして僕らはまだ両手をつないでいる。
スキル交換でテンションが上がっているのか
両手をつないでいるからテンションが上がっているのかわからなかった。
これはいわゆる吊橋効果だな。橋の上などの、ドキドキする場所にいると、となりの人にドキドキしているのかわからなくなって好きになってしまう。というのでお馴染みの効果。
「よし!もう一回いくわよ!」
とニコは言った。