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よく有る架空戦記 の様な物  作者: 猫湊
あの区切りを目指して
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落日の星条旗

昭和17年1月 アメリカ

「日本は、基本的に同盟を結んだ国以外と積極的な交流は取っておらず、侵略行為もないため、日本に対し戦争の大義名分を押しつけることは、かなり無謀といえます。」

「しかし、アジア太平洋諸島地域の開放という理由がある。」

「あなたは、当該地域に行って現地の情勢を確認したことがありますか?」

「あるはずがない。そのような暑苦しく衛生状態が悪そうな所に行けるか。それにどうせ日本政府の圧政に住民は喘いでいるに違いない。」

ホワイトハウス内の会議室で政府高官と軍部高官による戦略会議が行われていた。

「それではこれをご覧ください。」

スクリーンに映し出された写真。そこには、笑顔で、日本軍将兵と将棋や碁を指しながらテレビを見、酒を飲み交わす現地住民の姿や、高層ビル立ち並ぶ都会の写真やきれいに整備されたインフラの資料があった。

「これは先日、諜報部から上がってきた報告書になります。

これによると日本は太平洋地域を北洋道、東洋道、南洋道の3地域に分け、それぞれにいくつもの拠点都市を設けています。これらの都市を拠点として日本は既に1000年近く太平洋の島々を平和的に統治してきました。

現地住民に行った調査では、もし、日本から解放されるとしたらという問いには、『何を馬鹿なことを言っている。我々は日本人という誇りを持って生きている。この地が日本から解放されるという考えは欧米人のおごりから来る大間違いの押しつけだ。そんな問いなんて答えるまでもない。この地はこれまでも、そしてこれからも日本の領土だ。』と口々に答えられたそうです。

また、日本の統治に関しては、世界で最も進んだ、安定成熟した統治体制であると自負しているという回答を得ています。」

「なるほど。ところで日本は未だに軍拡を続けているが?」

「それに関してもこの報告書に記載が。日本の軍拡は、広大な海洋防衛のため幾分かは致し方ないと考えられる。日本軍部内では、アメリカとの会戦はこれを望まず、できうる限り、会談で済ませたいという考えがある。先の戦闘に関しては、爆装した艦載機の大軍、艦艇に対し、ハワイ地域に住む住民の安全を保証するためのシステムが自衛反応として行った物であり、日本側の能力を端的にでは有るが垣間見ることができた物である。日本との戦争は、国内の雰囲気や、垣間見える国力、戦力を鑑みて、行った場合長引けば長引くほどに、合衆国の国力は低下すると推察できる。と有ります。」

「だから海軍は反対した。」

海軍総司令官が声を荒げる。彼は嫌々ながらに出した命令で、数百ものパイロットの命と数千にも及ぶ艦隊乗員、数十隻の艦艇を失ったのだ。

「あのようなことは二度と起こしたくない。今後、海軍は一切対日本戦には協力しない。これは海軍全体の決定だ。」

そう言って、海軍司令官は海軍省長官になにやら耳打ちすると、部屋を去って行った。

「もうしわけないが、海軍は全艦艇、兵員の対日本線協力を行わない。ただいまを持って、合衆国海軍は対日本に対しては、日本との協調戦略をとる。」

それは事実上の反逆宣言だった。

アメリカ海軍の全将兵、全艦艇が、アメリカの港という港から家族を伴い出港したのはこの宣言のわずか10分後だった。陸軍が、海軍省に踏み込むと、書類はきれいさっぱり持ち去られていた。海軍が建造中の艦艇を差し押さえようと造船所に意気揚々と踏み込んだら、既に大型の輸送船で運び出された後だった。

アメリカは、向こう50年は海洋海軍を持つことが難しいと言われる状態となってしまった。海軍の運用ノウハウや、艦艇に関する資料、計画などの書類がごっそり持ち去られていたのだから無理もない。

F・D・ルーズヴェルトは、怒りでぶっ倒れた。

さて、出港した、船団は太平洋で合流し大船団を組んで一路西を目指した。その間にもハワイから派遣された補給艦などから補給を受け、ハワイ、ミッドウェーでは、熱烈な歓迎を受けながら補給を受けた。

小笠原 沖ノ鳥島

日本本土最南端とされるこの地の沖合10kmに新島と呼ばれる構造物がある。ここが船団の目的地。アメリカ合衆国海軍改め自由連合国海軍特務遊撃軍団の根拠地となる場所であった。

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