繰り返し
聖暦2868年 新聖歴1868年 明慈18年
『改元は聖歴の下二桁が00か50年の際に行うこと。先帝の追号は逝去時の前の年号を使用のこと。』
こう記された、明慈憲法が施行された。
3帝5王には一切先の時代逆行は影響がなかったが、日本は少しでも被害国と同じ目線でと、聖暦2750年に改憲を行った。
そして、当時と同じ読みの元号を使用しだした。
馬鹿が日本にちょっかいを掛けた。
大進帝国
海外領土なんてこれっぽっちもないのに大進帝国。日本の場合は日本語でただの日本帝国だと語感が悪いから大をつけた方が良い。英帝国だと違和感があるのと同じだ。と、聖歴1800年代に入る際に英国から言われたためつけてるだけ。それまでは国内では大和で住んでいた。
まあ話を戻して、この大進帝国何を血迷ったか、完全独立国である百済国のある百済半島基百済島に侵攻した。
明慈44年 進百国境の狭い海峡を数十万人もの兵が超え百済に侵攻した。だが、近世陸軍でしか無い進軍は、国境警備隊に簡単に食い止められた。だが、撃っても撃っても湧いてくる輩に百済兵の精神も疲労していた。
「隊長、あいつらは底なしですか。」
「分からんが、蛮族としか言いようのない近世軍だ略奪虐殺何でもありだろう。祖国の民がそんな目に遭うのだけはなんとしても防がないと。」
二人の将兵が交互に機関銃を撃っている。
「玉も心許ないな。」
『毎度来来軒でーす。出前お届けにお上がりやした。」
振り向けば、カーキをベースに緑色のアクセント。
「出前?」
二人が首を傾げていると、現れた男は背負っていた背嚢を置き中からとりだした弾帯を二人の機関銃から伸びる短くなった弾帯に手際よくつなぎ最後に手榴弾を敵に向かって投げ、敬礼をして去って行った。
「隊長、…あれって、帝国陸軍ですよね。」
「ああ。帝国陸軍の主計隊だ。補給だよ。最高の味方が駆けつけてくれたんだ。」
敵の切れ間を見計らって後ろを見れば、地平線までカーキ色。その中に日の丸が所々翻っている。
『ここの責任者はどこだ?」
「私がこの区画を担当する繁少尉であります。」
「そうか。私は帝国陸軍援百派遣軍第3歩兵師団第201歩兵大隊第602中隊長園山陸夫大尉だ。
ご苦労。ここから先は我々関わろう。
我々とあなた方は固いきずなで結ばれた友だ。後ろに風呂も用意してある我々が到着するまでにかかった時間分ゆっくり休んで欲しい。」
園山大尉に敬礼をして階段を駆け下りていく繁少尉と部下の歩兵。
「我らの後ろには友に三帝をなす2国とドイツが居る。何も恐れることはない。総員自らを眠れる獅子などとおごる愚かな図体だけがでかい豚をたたき起こし、挽肉にするのだ。撃ち方始め。」
園山大尉の号令一下もうもうと土煙が上がる。
旅順
東欧の造船会社によって建造された、戦艦帝遠と陣遠の二隻が率いる大進帝国北洋水師。
清国海軍の中でも精鋭が集うこの艦隊と、日本の精鋭が集まった第二連合艦隊が激突した。
まあ、結果は目に見えている。
「艦長、残るはもう我が陣遠のみです。」
参謀の悲痛な叫びに艦長は。
「主砲打て―。」
彼我の距離は5万。自艦の最大射程は最良条件下でも2万にすら満たない。
対する敵艦隊は先行する駆逐艦ですら8万の距離で命中弾を出している。
無論今の発砲は全て遠弾。対して、
「故意狭叉確認。」
大日本帝国海軍第二連合艦隊
200年ほど前の逆行直前に解体されたアメリカ合衆国から受け継いだ、もう一つの太平洋を護る盾であり矛。その旗艦モンタナの艦橋で、艦長東郷は、長官の言葉を待った。
「全艦実体弾の使用を停止。馬鹿は死んでも直らん。」




