半島の小競り合い
昭和26年/平成元年 畿内府 山城新都心
「以上を持って本講和条約は発効いたしました。」
この宣言を見届けた後、裕仁帝は体調を崩し公務が難しくなった。これを受け宮内省の大騒ぎにより、既に立太子を済ませていた、長男晶仁親王が即位した。晶仁帝は、新たな時代となり、以後戦争のない時代となることを願い改元を勅許。政府はこれを受け新元号を制定した。
新元号は平成となった。
新帝即位の後皇居
「山本五十六、貴公に再び組閣を命じる。」
そろそろ隠居しようと考えていた山本はげんなりとするが。よくよく考え、3年前に近所の半島で起きた小競り合いのせいで馬鹿どもが日本海や東シナ海の島にちょっかいを出しているので、これをどうにかしないと安心して隠居できないと考えやる気になった。
朝鮮半島北部にある百済国と、南部の大韓民国この二ヶ国が戦闘を行いだしたのは昭和23年の春のこと。
日本ロシア、そして英独の支援を一手に受け鉱物資源豊富に発展を見せる百済を支配下に置き百済美人をまた好きなようにしようと国境を越えて侵攻しようとした。だが、それに日本が真っ先に反応した。
日本はきな臭くなりつつあった半島を常に衛星を使い見張っていた。大韓民国が百済に侵攻した瞬間に佐世保と舞鶴から百済を支援するための艦隊が出港可能な状態となっていた。
舞鶴からの艦隊は百済の首都寧辺に展開し、空母艦載機が半島を横断し、侵攻しようとする韓国軍に絨毯爆撃を行った。さらに佐世保からの艦隊がこれに乗じ火事場泥棒よろしい行為を行おうとした中華民国軍の一派を威嚇。数日の後にこの一派は全て粛正されている。
それでも、先の大戦において同盟を組み戦った中と言うこともありこの一派の火事場泥棒よろしい行為に合わせ、八路軍こと中国共産党人民解放軍が百済に向けて進軍を開始。
それに対し日本は連合軍にある通達を行った。これに長年ほぼ同じレベルでつきあってきた英国以外の国が反応した。
本州西部山陰本線上
「隊長全砲発砲同調回路接続完了しました。」
「よし。帝都へ管制委譲。」
油谷湾に面する山陰本線上に何台もの新式列車砲が並んでいた。
51式0型砲第旋回型45口径51cm列車砲
普段、広島市近郊の車両基地に置かれている50両もの列車砲がその照準を朝鮮半島南部に定め発車の時を待っていた。
帝都某所
「本土全域に緊急電力制限令発令を確認。」
「第一次接続を開始。各発電所稼働率9割へ。」
「第二次接続確認青函・鳴門海峡横断送電幹線許容率7割超えました。」
日本本土全体の電力をここに集中させ、日本お得意の質量光線砲を斉発しようという作戦。
これに合わせて、英国は、自国の技術の中でも英国面と呼ばれる要素が強い兵器ばかりを投入。
日本に、「これを目標に撃て。」と通達した。
同時に、香港の英国艦隊が大馬鹿国家封じ込めのため出港。台湾沖で日本の第8艦隊と合流し、さらに九州佐賀沖で第4艦隊と合流することになっていた。
「日本の友邦を攻撃しようとはけしからん。しかも、人になりきれぬ劣等種族の分際で。」
ドイツ南部の別荘でちょび髭閣下がお怒りだった。
「ゲーリング君を呼び給え。」
空軍長官ゲーリングが呼び出され、
「ゲーリング君、日本とその友邦を煩わせ辱めんとする蛮族にふさわしい鉄槌を食らわせるのだ。英国から貰った例の弾頭弾をありったけ詰め込んでトール25全機を4機小隊で向かわせばかどもの住処を燃やし尽くし教育したまえ。」




