第1次対共産勢力連合軍結成
「総統閣下。緊急電であります。日満蒙露の連合軍が共産中華とソビエトの連合軍と交戦。日満側は苦戦している模様。」
「すぐに英国の連合国軍に連絡だ。」
「英国始め連合国軍各国は我が国の軍が日満援護のために自国内を通過することを了承する。その代わり合流させて欲しいとの連絡が。」
「道中行軍中の合流を許可しろ。エルヴィン君を呼び出したまえ。」
陸軍参謀総長が退室する。
「聞いての通りだ。其方の国はどうするのだ?」
総統閣下、参謀総長が入ってくる前から対談していた相手に話を振る。
[決まっています。というより、もうすぐ合流します。それから、貴国の機甲軍団に我が国の航宙艦隊の同行を許可願いたく」
「良かろう。といいたいが、機甲軍は内陸深くハートランドを突き進むのだ。艦隊同行は。」
[可能です。我が国がこちらに派遣している艦隊は特連艦隊を除けば全て、宇宙空間を主戦場とする航宙艦です。英国は既にこのことをご存じです。派遣予定機甲軍を-海岸へ集めてください。]
「閣下。我々は日本支援に向かうはずですよね。それなのに正反対のこんな海岸に集結というのはいささか不審ですが。」
「総統閣下のご命令だ。」
『司令車へ先行車。沖合に巨大物体出現。発光信号。『タダイマヨリ、ソチラヘ道ヲ繋ゲル。』で有ります。』
もう何でもありだな。
先行車からの連絡から程なくして、白い軍服に身を包んだ男二人が、海岸にやってきた。襟の徽章も腕の所属国を示す腕章も見たことが無い物だったが、手に持っている物を見て、警戒を解いた。
それは、夜の工事現場でよく見る誘導灯と、メガホンだった。
『ドイツ国防陸軍の皆様只今より、沖合の大型輸送艦への誘導を開始します。道なんてねえじゃネーかとか海面を船みたいに進めというのかと思った方ご安心ください。既に、重戦車程度の重さなら軽く耐えられる、硬質ガラス製の道ヲ我々二人の間に用意してあります。各二列にてお進みください。』
むちゃくちゃであるが、本当ならすごいことだと考えたのか先行車2台が案内のあった地点から海へ向かう。すると、
『司令車へ先行車。案内の通りだ。本当に海の上を走っている。見たところ何の心配も無い。側面にもガラス製の側壁が作られていて落ちる心配も無い。うわ。人工島だ。人工島の格納庫に続いている。今、停止命令が出て止まっている。人工島に居る者に通信機を貸せと言われている、一旦彼に渡す。』
『皆様、こんにちわ。私は輸送艦エイバム艦長兼輸送整備班班長の―大佐であります。皆様の先行偵察車は只今当艦の輸送庫にしっかりとお預かりいたしました。交戦地域まで確実に皆様をお送りしますので、安心して橋をお渡りください。』
そうは言われても本当にわれないか心配だったロンメル司令官。重戦車二台を試しに進ませたら、何を心配する必要があったのか、あっさりと行ってしまい、全車突撃を命令した。
交戦地域では突然、何も無い空間から、溶け出るように現れた英独戦車軍団に、中ソの共産軍は驚き、日満蒙露連合軍の中で唯一健在であった日本軍と共同で突き進む英独軍に食い破られてしまった。
中国共産党本部
「なんたるざまだ。我が中華の血を同じく引く満蒙なら分かる。だが、東海上の小国の戦車を一両も撃破できぬとはどういうことだ。」
「しかし、同志毛沢東。今、満蒙軍は戦車を失い壊滅状態です。今、満蒙を攻めれば南京政権を北からも攻められます。」
怒り狂う広デコオヤジをなだめる部下だが、オヤジの怒りを静められなかった。