欧州戦線
欧州ではイタリアにファシスト党が誕生せず、王権が強いまま今に至っていることもありドイツと同盟を結んでいなかったどころか敵対していた。また日本と結びつきが強かった英国に突っつかれマジノ線に防衛戦力をフランスが突っ込んだ為ドイツは西部戦線は後回しにし、対ソ攻略に乗り出していた。赤い国の角刈り皇帝は強い焦りとちょび髭への怒りを感じていた。鉤十字のちょび髭は北部戦線へ投入した兵士たちに防寒対策を強く命じ、伝達を怠った将校をきつく罰した。
「東洋の黄色いチビざるがつくったブリキの戦艦になぜ勝てない?我がドイツは優秀な民族の国家だろう?」
「恐れながら、総統閣下、日本の戦艦は我々が帆船を操っていた遥か昔から運用されており、日本とさらに英国には世界中追いつける国はないかと。」
ちょび髭の愉快な仲間たちの中でもっとも冷静に状況を見ていた海軍長官がちょび髭の神経を煽った。
「ゲルマニア級戦艦さえ有れば奴らを海の藻屑として見せます。」
「海軍は信用ならぬ。」
このちょび髭、船酔いしやすく金槌であった。だからって海軍に八つ当たりせんでも。
「わかりました。」
訓練航海に出た、空母一隻と戦艦重巡、駆逐艦2隻が北海で消息を絶った。
それから後消息を絶った船の乗員たちの家族が次々に失踪した。警察の賢明な捜査も空しく彼らの行方は頑として判らなかった。
英国では、日本と共同開発した対空防衛システムによる独国からの空爆にさらされることがないため内需が拡大しだしていた。
英国ヒースロー
史実よりも600年早く開設され、日英を結んでいたこの空港に、一人の女帝が降り立った。
オリガ=エカテリーナ二世
帝政ロシアの皇帝であり、日本の皇族と姻戚関係にある。
「久し振りだなアレクサンドラ。」
「全くですわねオリガお姉様。」
「おまえが寄越してくれた軍艦は申し訳ないが我々ではかなわない。」
諦め声のオリガ。
「あら。当然ですわ。あれは、日本の魔改造前提で贈らせていただいた物ですもの。我が国の発想と日本の技術とそちらの練度があれば怖い物など有りませんもの。」
そう言ってアレクサンドラは楽しそうに笑う。結構Sな声音で。
「ん?そういえば、未だに大半が日本止まりのままだな。」
「さすがですね彼は。ウィス。ウィスは居る?」
「お呼びですか?殿下。」
ちょーっと生え際心配な満月紳士がやってきた。
「ほう貴殿が、かの有名なウィンストン侯爵殿か。」
「オリガ陛下に覚えていただけて光栄でございます。」
「ウィス、あなたイソロクに何か伝えた?」
「彼は、ああ見えて察しがようございます。此度も送られてきたのが先の大戦期以前の旧型艦であり、これをそのままオリガ陛下の元へ送るのではなく、自分たちの元で一手間加えて送るべきと察したのでありましょう。現に先ほど、第一陣を出港させたとメールが届きました。」