復活の星条旗
前話で区切ると言ったな。あれは嘘だった。
蝕弾頭。それは、ある科学者が研究中に起こした偶発的な事故によって発見された、原爆や水爆をも遥かに超える威力とクリーン性を有する兵器である。
昭和18年2月 神奈川
いま、陸軍厚木航空基地に5機の4発大型機が着陸した。
そして、
「只今より帝政及び王政5ヶ国同盟首脳会議を開始します。」
このばで、枢軸国最大の軍事力を有するアメリカを戦闘不能にするため、日露連合艦隊が西海岸を。英伊蘭連合艦隊が、大西洋の米独海軍に攻撃を仕掛け、その間に日本がアメリカ東海岸に空爆を行うという作戦が決まった。
昭和18年3月某日アメリカミズーリ州上空
「進路分岐点まで後100。」
「弾頭状態安定。投下15秒で臨界起爆するよう設定完了。」
「敵電探に関する反応無し。敵通信傍受中暗号精査完了」
高度3万5千mこの時代では日本と英国のみが到達可能な高度であるここを6機の4発大型爆撃機が飛行していた。先頭の機内では先ほどの報告が為されていた。
「進路分岐点到達。第二中隊はNYへむかえ。武運を祈る。」
2手に別れた彼らはそれぞれ翼を振り、目的点へ向かう。
この日、忠告を受けた軍は、市民を市外へと脱出させていた。だが、大統領を初めとした戦争派の政治家は残っていた。
「海軍再建がままならぬ今。残る手立ては空軍だけだな。B-25を改良し、日本を直接たたくのだ。国を捨てた愚か者のことなど考えるな。」
大統領が机をたたいた。その直後。
「ワシントンにて、弾頭起爆しました。保護対象以外の地上構造物浸食消滅まで10分。つづいてニューヨークでも起爆。こちらは、地上構造物の構造等で浸食消滅まで40分を予定。」
帝都の松本にある帝国軍令部に以上の報告が舞い込む。
「衛星画像を受信。ワシントンポトマック河畔と、自由の女神を除く全ての対象都市内地上構造物の消滅を確認。沖ノ鳥島新島より、特務連合艦隊派遣準備完了との連絡。」
これを受け、日本はアメリカに対して、3国枢軸同盟の脱退、日本を含めた連合国側への参入を条件とした講和案を打電。
アメリカがこれを受諾。4ヶ月後のアメリカ独立記念日に合わせ、日本真珠湾鎮守府に停泊する特務連合艦隊旗艦伊勢艦上で講和文書の調印が行われた。先の爆撃でルーズヴェルト、トルーマンといった史実における戦中の大統領が死んだこと。民主党が合衆国を戦争に引き釣り込んだという情報が国民の間に流れ、民主党政権が、意地し辛い状態となったことを受け共和党員であり、日本との戦争に反対していた陸軍元帥アイゼンハワーがなんと、史実より10年近く早く大統領に就任した。
開戦から2年。ここに太平洋の戦禍は終結を見た。これ以降アメリカは英国と共に日本に代わらぬ友情を誓うこととなる。
講和を受け日本にいた旧アメリカ海軍こと、連合国軍自由解放特別艦隊は、正式にアメリカに返還された。東海岸ノーフォーク海軍基地に現れた艦隊を見た大統領は腰を抜かした。いや、その場にいた全員が驚いた。何せ、巨大な空母と巡洋艦と見まがうほどの駆逐艦が何隻も現れたのだ。その後ろには親善訪問として、日本の第1艦隊と彼の国の特務連合艦隊第1艦隊が控えていた。
世界三強海軍に名を連ねていたアメリカ海軍復活の砲声が、帰還艦隊の中の新製艦。16インチ程度と思われる三連装砲を装備した船が轟かせた。
それに合わせ伊勢が54cm砲を轟かせ、大和が60cm砲をうならせた。
晴天の海に星条旗と旭日旗が仲良く翻っていた
今話でとりあえず太平洋は終わったのでとりま区切ります。今度は本当。
蝕弾頭使い忘れたので使いました。