序章 ―少女の物語・始―
初めての投稿です。よろしくお願いします。
昔あるところに、ひとりの少女がいました。
容姿は至って平凡。勉強も運動能力も、可も不可もなし。
趣味といえるほど熱中できるものも、好き嫌いもない少女。
少女は内気な性格でしたが、とても優しい心を持った女の子でした。
両親は小さいころに離婚し、一緒に暮らす母親は毎晩違う男の人と遊び歩いていました。
父親は離婚してすぐに新しい家庭を築き、とても幸せそうでした。
家ではいつもひとりぼっちの少女。少女は孤独でした。
でも、そんな少女にも、気にかけて声をかけてくれる人がいました。
隣の家に住む、幼馴染の少年です。少年はとても優しく、正義感のあふれる人でした。
誰からも愛され、皆の人気者の少年。少女は、いつも自分を助けてくれる少年に、いつしか恋におちていました。
時が経ち、少し大人になった少女は、勇気を出して少年に告白しようとしました。
しかし、それが叶うことはありませんでした。
少女が告白する前に、少年は別の美しい少女と結ばれたからです。少年はとても幸せそうに笑っています。
少女は、少年にお祝いの言葉を言うと、少年の前から姿を消しました。
同時に、少女の母は僅かなお金を置いて、若い男の人と家を出ていってしまいました。
少女は、本当のひとりぼっちになってしまいました。
少女は泣きました。太陽が沈んでも、月が昇っても、少女の涙は枯れることはありませんでした。
少女は思いました。
「寂しい。悲しい。苦しい。ここは、とても寒くて凍えてしまう。」と。
少女は願いました。
「神様、もしも願いが叶うなら、わたしはこの世界から消えてなくなってしまいたい。」と。
そして、幾度目かの月が昇った夜のことでした。
彼女の涙はついに枯れ、泣き疲れた少女は静かに眠りにつきました。
その日は、綺麗な満月の夜でした。