沼津で深夜にラーメン食った話
私がその夜、食べ物を求めて、すっかり人の気配の消えた、深夜の沼津の街を徘徊していたのは、不幸な偶然からだった。
盆休み前の仕事が終わると共に、ダッシュして電車に飛び乗り、コミケに行くために関東に向かったはいいが、不本意にも関東へはたどり着けず、終点は沼津。
もはや、これ以上の上りの列車は無いからと言われて、仕方なく下車。
乗り換えは短時間ばかりで、まともに飯も食えなかったから、まともな飯を食いたいところだけれど、終電の終わった深夜の地方の街だから、食い物屋など、チェーン店の居酒屋くらいしかない。
それでも、なにやら餃子屋がやってるらしい。
どこでも同じメニューの居酒屋よりはと思い行ってみた。
店には同業の馴染み客らしき男が二人いた。
餃子は焼き、水、揚げの三種類あって各190円。
それを全種。
飯は終わってしまったらしい。
私はあまりラーメンに詳しくないのだけれど、何かの本だったかで味噌や醤油は調味料としてうますぎるから、ラーメンの気の味を覆い隠してしまうとか読んだ気がするから、できれば塩ラーメンを頼むのだが、なければ仕方ない。
えび味噌ラーメンを頼む。
濃い赤色のスープを見れば、それが味噌によるのはわかるけれど、えびとはどんなえびかと思って、丼をかき回すと小さなまるっこいものがチラホラ見つかった。
あぁ、えびとは桜エビのことだったかと、ようやくに理解した。
そいや、このあたりは桜エビが名産やったなと思い出した。
しかし、桜エビはほとんど個性を発揮できず、スープの海に沈んでいた。
なにやらもったいない気がする。
まぁ、味は普通にうまかった。
とはいえ、また来る可能性は限りなく0に近いのだが。
その後、人通りのない沼津駅あたりをぶらぶらする。
私は人のいない夜の街をぶらぶらするの好きだ。
なんでかと言われても困ってしまうが、好きなのだから仕方ない。
これでコーヒー飲めるような店がやってると文句はないのだが。
そんな都合よくいくわけもない。
昼はカフェ、夜はバーになるような店があるとよいのだが、なかなかに難しい。
広島でそんないい店があったんだが、さて、名前、なんと言ったか?
で、寝カフェに戻って、艦これして仮眠。
翌朝、まるでタワーみたいな海鮮かき揚げがあると知り、凄まじく心引かれたが、沼津駅からだいぶ遠い沼津港の近くにしか店が無いから諦めるをえない。
朝早くに横須賀まで行かねばならぬから、沼津でゆっくり遊んでいるわけにはいかぬ。
とはいえ、今度、改めて沼津に来てみたいと思ったのも確かである。
熟練の職人の手業によるかき揚げの塔、心惹かれる。