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異世界無双血風録  作者: 大五郎
第5章 レインディア王国編
8/119

7 ただいま静養中につき・・・。

間章です。

「フーッ」

肩までお湯に浸かり俺は気の抜けた吐息を漏らした。

周りは石造りの壁に囲まれているが天蓋はなく夜空の星が見える。

石組みの広い浴場は多人数が一度に入ることが可能だったが今は俺一人の貸切り状態だ。

ここは 雪男(イエティ)と激戦を繰り広げた雪原からほど近いところにある街の温泉宿の露天風呂である。

戦闘終了後ルシア王女に案内させトーア王家専用馬車をとばしてこの宿まで辿りつき露天風呂に飛び込んだしだいである。

俺がスノーゴーレムを直接操縦したくなかった理由、それは魔力伝達効率を良くして反応速度を上げるために出来るだけ全身を直接触れさせる必要があったからである。

雪で出来たスノーゴーレムにほとんど防寒出来ない状態で触れていれば凍傷にもなろうというものである。

という訳で今俺は温泉に浸かっている。

えっ?治癒魔法はどうしたって?

いやいや凍傷の治療はこうしてお湯に浸かるのが一番だ。

決して宿泊費がレインディア王国持ちだからって理由ではない。

俺は他愛もないことをつらつらと考えながら久しぶりに寛いでいた。

バタン!

しかし平穏は長く続かなかった。

室内に繋がる扉を開けて黒髪黒目の美女が惜しげもなく見事な裸体を晒しながら入ってきた。

豊満で張りのある双丘、引き締まり括れた腰とスラリとした美脚。

「ここは混浴じゃなかったはずだが」

俺はシオンに声を掛けた。

「ハハハッ、気にするな。私は気にしない」

手に持っていた徳利とお猪口を載せたお盆を湯に浮かべるとかけ湯をして遠慮なしに浴場に入ってくる。

露天や酒の飲み方や入浴の作法と過去の勇者達が持ち込んだか勇者達から聞いたシオンが広めたのか。

そんなどうでもいい事を考えて気を逸らす。

俺だって健康な男子だ。

美女の裸体には惹きつけられるし身体だって反応する。

とはいえだらしなく鼻の下を伸ばすのも野獣のように襲いかかる訳にもいかない。

男の面子もあるが見え見えのハニートラップのような気がして手が出しづらい。

せっかく隷属の首輪から逃れたのに別の首輪に繋がれたくないというか何というか。

「どうだい?身体の具合は?」

手酌で一杯やりながら暫く温泉を堪能していたが充分広いのに態々近づいてくる。

「大分いい。治癒魔法も掛けていたが熱い湯と併用すると更に治りがよくなった」

「それはよかった。さすがにスノーゴーレムを直接制御するのは無茶かなぁと思っていたのだが温泉で治療することも考えていたのか。さすが勇者様だ」

「いや、凍傷に治癒魔法の効きが悪かったんでその場で考えた」

「・・・ま、なんにしても早く治るのにこしたことはないな。ここまで昼夜問わずの強行軍でまともな食事にありつけなかったが今夜は豪勢な夕食が期待出来る。存分に堪能させてもらおう。そしてその後は二人でしっぽりとだなぁ・・・」

表情は穏やかだが目が獲物を狙う雌豹のように俺のお湯の中の身体を見る。

そして更に身体を寄せさわさわと指を俺の膝に這わす。

理性や感情的な話しは抜きにしてもはっきり言って俺は肉食系や痴女系女子で羞恥心ゼロの相手は嫌いだ。

むしろ萎える。

「・・・失礼だね、君は。こんな美女に誘われているのにこれだなんて」

俺の腰の辺りを弄っていた手を引っ込め不満そうな表情を浮かべた。

「魔術の訓練中は結構反応してたのに」

「あの時はやる気満々で迫ってこなかったからだ。俺はどっちかというと慎ましやかで羞恥心溢れる清純派が好みだ」

「あれ?攻め方を失敗したか。しかし相手の好みに合わせるのも欺瞞的だしなぁ。ユウキの好みがライザ姫やルシア姫のようなタイプなら二人に任せるか」

「やっぱり俺をこの世界に縛りつけるために誘っていたな」

「気をやった女を守りたくなるだろうって計算もないことはないが、最初に言っただろ。人間永く生きていると新しい刺激を求めるようになるって。享楽的にいかないと長生きなんてやってられないのさ」

又手酌で一杯やりながら飄々と言った。

お猪口をあおる表情はなんとも美味そうである。

「ん、ここの地酒も結構いける。時と場所を移せば変わらぬものはないけれど新しい出会いも多い。歴代の勇者達も異世界の知識をもたらしてくれる。知識の探究者である魔導師としてはこれ以上ない幸福といえるのかもしれない」

「歴代の勇者にもこうして迫ったのか?」

「ああ、男色のヤツ以外は大概すぐ落ちたねぇ。最初の手荒い召喚でこの世界に対して不信感一杯になっている勇者様の心を開かせるにはこの方法が一番だ」

「しかし 床上手(ヤリマン)を嫌がるヤツもいただろう」

「フフフッ、聞いて驚け。この身体は最初に死んだ直前の状態で再生されている。生前は魔導研究で手いっぱいで男と付き合う暇もなかった。つまり現在のこの身体は新品の処女なのだよ。どうだ、そそらないか?」

処女の 床上手(ヤリマン)ねぇ。

エロマンガにしか出てこない現実には存在しない希少種なんだろうけど。

ある意味漢のロマンか?

なんか違う気がする。

しかし俺が水を向けたとはいえいい話しになっていたのに何故下ネタに落とす。

ライザ王女に色ボケ魔導師と罵られるのも止むを得ない。

有意義なのか有意義じゃないのか分からない話しは延々と続き夜は滔滔と深まっていった。


温泉行ってゆっくりしたいですねぇ。

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