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異世界無双血風録  作者: 大五郎
第18章 帰還編
118/119

82 終焉の先 Ⅶ

ここで終わる予定が・・・。。

大天使は都市外縁に張り巡らされた防御膜(シールド)の外で待ち受けていた。

端整で中性的な顔立ち、全長百mというスケールを無視すればバランス的には細身といえる身体つき。

白い翼を大きく広げ薄紅色のトーガを身に纏っていた。

その身を包む防御膜(シールド)が常時展開されて光り輝き千年前に戦ったかつての大天使達とは魔力容量が桁違いである事がしれる。

武装化(アームド)破断刀(ブレイカーソード)

勇気は竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改も右腕を刃渡り二十mの刃と化し大天使達に向かって突っ込んでいった。

大天使も光槍(ライトジャベリン)とは違う閃光の剣(シャイニング・ソード)を創り出し迎え撃とうとした。

都市外縁の防御膜(シールド)竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改が達する瞬間を狙っているようだ。

普通に考えれば自分で張っている防御膜(シールド)の外に出る事など出来ないので達する瞬間、防御膜(シールド)を縮小して自己防御のみに回すとみてその隙を突くつもりのようであった。

そして竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改が防御膜(シールド)に達しそのまま突き抜けた。

「な!!」

間合いを取り損ねた大天使が辛うじて切っ先を躱す。

竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改はそのまま通り過ぎて少し距離を取って大天使に振り返った。

「貴様が絶対防御を張っているのではないのか!」

大天使の目には正面から虚を突かれ強者としての誇りを傷付けられた怒りが燃えていた。

「事前に防御膜発生装置(カナ)を秘密裏に設置しておいた。これで決まれば楽だったんだが」

「クッ、そんなものが・・・、汚いマネを」

「無辜の民を原形質の怪物に喰わせて一千万人近く殺したヤツに言われたくないなぁ」

「下等で下賤な者共の命などどうでもいいわ。寧ろ我が宿願の贄となれた事を喜ぶべきだろう」

「俺にはお前の方が下賤なように見えるがな」

「貴様!」

大天使は激昂して突っ込んできた。

直線的な動きのため竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改は距離を取ったまま余裕を持って横に躱そうとする。

しかし大天使は急激にスピードを上げ進む角度を変えると竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改に肉薄した。

一閃、光りが走り竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改の右腕の破断刀(ブレイカーソード)が腕ごと吹き飛んだ。

「チッ、運よく剣に当たったか。しかし大ダメージだな。これで勝負ありだ」

「・・・そっちこそ右手を失っているじゃないか」

確かに大天使の右手も閃光の剣(シャイニング・ソード)と共に弾け飛んでいた。

「ククッ、こんなもの・・・」

先を失った大天使の右手首がグネグネと盛り上がっていきやがて元の形に戻っていた。

「高速再生・・・、さっきのは時間加速か。それがお前達の自信の源か」

「クククッ、その通りだ。大神様も持たなかった高速再生に大神様ですら不可能だった高速時間加速。貴様らに抗う術などない」

「それだけの術を支える魔力をいったいどうやって身につけた。巨神の魔力容量すら超えているだろう」

「貴様が言っていたじゃないか。辺境の都市が我の攻撃で壊滅したと。住民達を殺してその魂を喰らったのだ。その数、百万」

「魂喰いか・・・」

「その通り。白竜族を逃がさないため御神体に大分部分の住民を贄として捧げ包囲網を築こうとしたが貴様に邪魔されてしまったようだ。しかし我だけでも多少時間が掛かっても全ての敵を屠る事は可能だ。どう足掻いても貴様に勝ち目はない。諦めて殺され我の糧となれ」

「御免被る」

竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改のスラスターから爆発的な魔力光が噴出し大天使から猛スピードで遠ざかり始める。

「クククッ、逃がすものか」

大天使も追撃を始めた。

竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改は膨大な魔力光を撒き散らしながらあっという間に音速を突破、更に加速していく。

しかし大天使は易々とその後を追尾していく。

やがて惑星の脱出速度も超えて地表がどんどん遠ざかっていった。

太陽光が周囲を照らし星々の暗い海に呑まれていく虚空を竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改が天駆けそれを大天使が追いかけていく。

その距離が徐々に詰まっていき大天使は間合いに捉えると再び閃光の剣(シャイニング・ソード)を生み出し竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改の背中に降り下ろした。

閃光の剣(シャイニング・ソード)がその背中を切り裂いたと見えた瞬間竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改の姿が大天使の前から消え失せた。

一瞬の驚愕の後時間の加速率を更に上げると横合いから胴体部に突き刺さる寸前の竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改の破断刀(ブレイカーソード)にぎりぎりで気付き胴体を軽く引き裂かれながらも回避した。

『バカな!時間加速だと!』

高速再生で胴体の傷は治っていくが竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改の連撃が速度を増して続いていき大天使も更に加速率を上げて躱さざるを得なくなる。

『何故ヤツが時間加速を使える。右腕と剣もいつの間にか再生しているしいったい何が起こっている』

大天使は破断刀(ブレイカーソード)に何とか閃光の剣(シャイニング・ソード)を叩きつけ相討ちの形で相殺した。

先程と同じく竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改の右腕が破断刀(ブレイカーソード)ごと弾け飛んでいた。

大天使の右手も同様だが既に再生が始まっている。

ところがその手の再生より先に竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改の右腕に位置する部分が光りを放ち瞬時に破断刀(ブレイカーソード)ごと右腕が復元されていた。

『バカな!瞬間再生だとでも言うのか。そんな膨大な魔力消費を続ければ我でもあっという間に魔力が尽きる。そんな魔力量をヤツが持っているはずがない!』

際限のない時間加速をしながら大天使は高速戦闘を続けていた。

既に加速率は上限いっぱいで軌道上から見下ろす地上は時が凍てついたように静止し星々も瞬きを止め竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改と大天使だけが誰にも認識出来ない刹那の瞬間を戦い続けていた。

時間加速が限界に達してから大天使側のダメージが確実に増えていた。

大きさが1/5の竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改の機動力に対応出来なくなっていたのだ。

身体強化と神経加速で致命傷を凌いでいた。

偶に互いの剣がぶつかり弾け体格差分ダメージが大きいため瞬間再生を行って次の攻撃の先手を取り続けている竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改も相応の魔力を消費しており魔力の消費量的には双方釣り合っているように見えた。

しかし永劫に続くかと思われた刹那の攻防にもやがて終わりがきた。

『まずい!』

大天使は急激な魔力低下で徐々に時間の加速率が落ちてきたのを感じた。

そしてそれまで何とか目で捉えていた竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改の姿を見失った。

「グハッ!」

次の瞬間、大天使は破断刀(ブレイカーソード)に背中から心臓を貫かれ吹き出すように吐血した。

その脊には竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改が取り付き破断刀(ブレイカーソード)を突き刺したまま固定していた。

「ど、どうやってそれだけ魔力を得た。そ、それに何故時間加速が使える・・・」

「時間加速については千年前に倒した巨神から情報を取り出した。俺が一週間で原形質の怪物の掃討を済ませたと言った時に気付くべきだったな。魔力については時間加速を応用した時間遅延を衛星軌道上で掛けている途中で加速と違って遅延では魔力の回復率が異常に高い事が分かりそのままなら魔力容量いっぱいに回復するだけで終わりだが勿体ないと思ってな。魔力を圧縮して貯め込めないか試している内に出来るようになったので千年掛けてどんどん溜め込んだ。因みに俺も百万人ぐらい魂喰いをしているからそのままでも魔力容量で負けるなんて事はなかったがな」

「ば、バカな。そんなバカな・・・」

破断刀(ブレイカーソード)を突き刺したままなので心臓の高速再生が阻害され大天使は身動き取れなくなっていた。

もっとも身体全体が高速再生で保持されているためそのままでは死に至る事もない。

「さて冥土の土産話も聞かせた事だし死んでもらうか。天使が地獄に落ちるかどうかは知らないが」

竜の鎧(ドラグーン・アーマー)改の左腕が槍状になり一気に後頭部に抉り込む。

「!!」

大天使は声にならない悲鳴を上げて大きく口を開いた。

「これで終わりだ」

魔力が槍の先端に注ぎ込まれ大天使の頭部が爆裂した。

これが神竜大戦より千年の刻を生き抜いた大天使の最後であった。







Ⅷがまだ・・・。

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