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異世界無双血風録  作者: 大五郎
第17章 神竜編
105/119

70 天使襲来Ⅰ

見切り発車です。

広大な灼熱の大地。

空気が揺らぎ赤茶けた地面の所々が大きくひび割れそこから赤黒い溶岩が脈動しているのが見てとれる。

赤茶けた地面は溶岩の表層が冷え固まったもので実体はその下で活発に対流している溶岩の海にあった。

つと地面のひび割れの溶岩の中から現れるものがあった。

全長五m程度の四足の大トカゲのフォルムを持つ生物。

溶岩の中でも自由に泳ぎ回れる火竜(サラマンダー)であった。

ボコリボコリと溶岩の中から次々に赤茶けた地面を足掛かりにして数百体の火竜(サラマンダー)達が地表に現れてくる。

火竜(サラマンダー)達は一様に一方向を見ていた。

やがてその方向の上空に雲とは違う白い塊が広がっていく。

近付いてくるそれは白い翼を羽ばたかせている天使達の大群だった。

身に纏っている薄紫のトーガは大きな白い翼に埋もれて目立たず白い羽毛が空を覆わんばかりとなっていた。

『『『『『『『るぉーん!!』』』』』』』

大地を揺るがす重低音の咆哮と共に火竜(サラマンダー)達は一斉に白熱光を放った。

数百の白熱光が瞬時に数百体の天使を引き裂き焼き払っていった。

しかし同時に天使から放たれた数千の氷槍(アイスランス)火竜(サラマンダー)達に突き刺さっていった。

圧倒的な数の差に撃ち負け直撃を受けた火竜(サラマンダー)達が次々と動きを止めていく。

しかし尚も降り注ぐ氷槍(アイスランス)火竜(サラマンダー)達を更には灼熱の大地すらも冷やし凍りつかせていった。

そのタイミングに合わせるように地平の彼方から地響きを立てて砂塵を巻き上げて津波のように迫る魔獣群の姿があった。

先頭に数百頭のキマイラ、それに数万の虎狼獅子等の獣人達が続いていた。

キマイラ達は凍てついた火竜(サラマンダー)達に接敵すると砕き凪ぎ払って突き進んでいった。

その後に続く獣人達も破片と化した火竜(サラマンダー)達を踏み砕いて通過していった。

それらが通り過ぎた後には冷たく荒涼とした大地に原形を留めない赤黒い細片が赤茶けた地面に溶け込んでいるだけだった。

こうして天使達の侵攻は始まった。




『大変です!白竜王様!数万の魔獣や獣人を率いる天使達の大軍が火竜(サラマンダー)の守る溶岩地帯を突破して白竜の里に向かっています!』

大広間中央の球体から発せられていた淡い光りが変化して一体のトカゲ人(リザードマン)の立体映像を映し出していた。

どうやら照明だけではなく通信魔道具も兼ねているようだ。

「敵の陣容は?里への到達予想時間はいつ頃だ?」

『監視所のここから見える限りですが天使約二万の後方に大天使一体が確認出来ます。地上の魔獣は約三百のキマイラを先頭に戦闘力の高い獣人約五万が付き従っています。あの速さなら天使達は三時間程度で魔獣と獣人達も半日もすれば里に到達すると思われます』

「フムッ、分かった。敵に後続がいないか引き続き監視を続けてくれ」

『分かりました!』

映像が消える。

「やばいのか?」

協力条件の話し合い中に飛び込んできた報告に勇気が尋ねた。

「ウム、神族の中には魔力感知に長けたものもいる。大方、召喚のために我ら白竜族の魔力が弱まったのを感知して攻め込んできたのだろう」

「他の竜族に救援を頼めないのか?」

「それが出来るならな・・・」

白竜王は大きくため息を吐いた。

「・・・巨竜王に繋げ」

暫し黙考していた白竜王が声を上げた。

その声に反応して球体がチカチカと瞬いた。

やがてそこに巨竜の巨大な頭部が浮かび上がった。

『何用だ。白竜王』

「竜族の長、巨竜王よ。盟約に従い助力を求めたい。現在白竜の里に向かって天使約二万と魔獣と獣人数万が侵攻してきている。至急翼竜(ワイバーン)を二万程度派遣してもらいたい」

『それは出来んな』

「盟約を反故にするつもりか?眷属や従属種族を生み出した生命創造魔術やこの通信魔道具を含む様々な魔道具を提供してきた我ら白竜族を切り捨てるというのか」

『その程度の敵なら貴様ら白竜族が直接始末すればよかろう。そんな雑魚共に遅れを取るような白竜族ならいらん。来るべき神族との戦いでも役には立たんだろうからな』

「・・・それでは来るべき戦いに我らは参戦しなくてもいいな」

『そうはいかん。今度の戦いは弱小な従属種族まで動員するかつてない総力戦だ。小賢しいだけで脆弱な白竜族といえども参戦してもらう。敵の目を引き付けるぐらいは出来るだろう』

「我らを使い潰す気か」

『逆らえば神との戦いより前に貴様ら白竜族を血祭りに上げる。貴様らには我ら巨竜族に従い戦うしか道はない。よいな』

巨竜の映像が掻き消えた。

白竜王はその姿を追うように暫く宙を睨んでいたが気を取り直すように様子見していた勇気の方に振り向いた。

「・・・という訳だ。救援は望めん。万全の時ならともかく召喚のため魔力を使い果たした我らでは天使達を追い払う事も出来ん」

「つまり早速俺に仕事をしろって事か?」

「・・・頼めるか?」

「善処しよう」

勇気は肩を竦めて答えた。



続けばいいな。

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