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異世界無双血風録  作者: 大五郎
プロローグ
1/119

殺戮者

ノリと勢いで書きました。

更新は不定期になります。

「起きろ」

その声に意識が急速に覚醒していく。

気が付けば石畳の上で寝ていた。

寝起きにぼんやりしながら首元の妙な違和感に手をやると金属製の輪っかのようなものが嵌っていた。

「何だ、こりゃ」

意識がはっきりしてガバッと起き上がる。

周囲でも似たような戸惑いの声が上がっていた。

見回すと窓のない石壁に囲まれた部屋の中でクラスメート達のある者は自分と同じように周りを見回しある者は自分の首に嵌っている金属製の輪っかに手を当て当惑の声を漏らしていた。

同じクラスの三十人全員がいるようだ。

天井には丸い白色の濁りガラスが嵌っておりそこからどんよりとした光が辺りを照らしていた。

俺の名は春日勇気、東雲高校2年B組出席番号10番のごく平凡な日本男子である。

終業のベルが鳴りさあ帰ろうとして・・・あれ?そこからここまでの記憶がない。

「おい、春日、ここ何処だろ。それにこの輪っかは何だ」

「いや、俺に聞かれても・・・」

隣の席だった三宅が聞いてくる。

周りでも似たような声が上がっているところを見るとどうやら皆同じように教室から意識がとんでいるようだ。

「静まれ」

最初の命令口調と同じ声が響き俺達は一斉に黙った。

というより口が動かなくなったのだ。

焦って回りを見回すが皆同じ様子であった。

「こちらを向け」

三度響いた声に自分の意志に関係なく皆の首が一斉に一方向に向き視線が一人の男に集まった。

視線の先には大きな鉄製の扉がありその前にはでっぷりと肥った壮年の男が十人以上の騎士達に守られるようにしてこちらを見ていた。

「我はラード王国の王だ。この国のために戦ってもらうために諸君らを異世界より召喚した。首に嵌っている隷属の首輪によって諸君らは我の命令に逆らえない。以後、我と我が家臣の命に従い我が国の敵を打ち滅ぼせ。以上だ」

王はそれだけ言うと数人の騎士を連れてさっさと立ち去った。

俺達は茫然としたままそれを見送った。

先程の命令がまだ有効なのか周囲のクラスメートと相談するために喋ることも出来ない。

そうこうする内に俺達は残った騎士達の指図で部屋から連れ出されていった。



それからが地獄だった。

俺達はいきなり戦場に放り込まれた。

隣国のシュルト国と戦っているとのことだった。

粗末な皮鎧と鉄製の長剣のみ持たされて碌な訓練もされず数万の敵兵団の待ち受ける中突撃させられていった。

命令は『全力で敵を殺せ』だけだった。

俺達は内心恐怖で心を凍らせながら無数の敵が待ち受ける中特攻をかけていった。

死兵、捨て駒、そんな扱いであった。

俺達は死にもの狂いで戦った。

俺達に唯一有利な点があるとすれば皮肉にも隷属の首輪によって全力を出せと命じられることによって身体能力を限界まで引き出すことが出来ることだった。

敵兵の数倍速く動き数倍の力で斬り裂いていく。

心は恐怖に悲鳴を上げ続けるが身体は無関係に殺戮を続けていく。

やがて目の前の敵を殺し尽くしたところで身体が止まった。

敵は総崩れになって逃げていったらしい。

いくら身体能力が遥かに上がっていたとはいえ多勢に無勢、俺達は半分の人数になっていた。

隣の席だった三宅も死んでいたし特に仲の良かった数人の友達も死んでいた。

生き残っても重傷を負った者は容赦なく味方?の騎士達に止めを刺されていった。

軽傷の者は治癒魔法で治療を受けた。

この世界では俺達をこちらの世界に呼び寄せた召喚魔法や戦場で使われる火弾(ファイヤーボール )などの攻撃魔法や軽い切傷や捻挫などを治療する治癒魔法などがあった。

この世界の普通の戦士にとって厄介な攻撃魔法については魔導士達が俺達の速さについて来られないためあまり有効ではなかったが偶にまぐれ当たりで殺られる者もいた。

そんな戦いが数度続き最後には俺一人となっていた。

俺はクラスメートの中で特に潜在能力が高かったらしい。

魔法も何度か掠めていく内に魔力の流れが見えてきて余裕で躱せるようになり見様見真似で攻撃魔法や治癒魔法が使えるようになっていた。

その頃には俺は一騎当千の戦鬼と呼ばれる異世界の化け物として敵味方双方に恐れられていた。

やがて戦場に俺が投入される度に敵軍は撤退を始め戦争はラード王国の勝利に終わった。


王城では祝宴が開かれていた。

多くの貴族と騎士達が集い高級酒を飲み交わし談笑している。

俺も戦勝の功労者として呼ばれていたが贅を尽くした食事を前にして豪華な調度品と一緒に並ばされて壁際に立っているだけだった。

奴隷か意志のない道具のような扱いだ。

だが俺にとってそんなことはどうでもよかった。

俺は無表情に機会を待っていた。

そして機会は来た。

「いやー、今度の戦勝は戦鬼の功績が大ですな」

大臣の一人が王と歓談していた。

「ウム、宮廷の魔導師達に古文書を苦労させて解読させた甲斐があった」

王がその二重顎を揺らしながら頷いた。

「しかし王よ、我が精鋭の騎士団の活躍があったればこその功績です」

酔った騎士団長が王と大臣の話しに割り込んだ。

あまりにも戦鬼の功績ばかりが取り上げられるので面白くなかったのだろう。

「ほう、それは素晴らしい。騎士団の戦場での活躍の話しはとんと聞きませぬゆえ」

割り込まれた大臣がムッとした表情で皮肉を返した。

「我ら騎士団は戦鬼に劣らぬ一騎当千の強者ばかり。侮辱は許しませぬぞ」

騎士団長がいきり立った。

「まあ、抑えろ。祝いの席であるぞ」

「しかし・・・」

「それほど言うなら騎士の一人と戦鬼を手合せさせてみるか」

王は名案を思い付いたようにいった。

「えッ、それは・・・」

「よいよい、よい余興だ。場所を開けさせろ」

王の言葉に一瞬で酔いの醒めた騎士団長が断ろうとするが王は有無も言わさず準備を命じた。

騎士団長は戦場で戦鬼の強さを見ているため実際には騎士団が総出でかかっても敵わないことを知っていたのだ。

やむなく騎士団長は俺の側に寄って来ると耳打ちした。

「今からの模擬戦は接戦を演じながら不自然にならないように負けろ」

「分かった」

俺は内心を隠しながら感情を見せない声で応じた。

そして模擬戦が始まる。

騎士団からは一番の使い手が選出され剣を構えた。

俺はだらりと剣を下したまま対峙する。

「始め!」

騎士団長の開始の合図と共に騎士が斬り込んで来た。

剣を軽く当て容易に捌いていくが偶にワザと掠めさせ俺の方も受け切れる速さで打ち込みつつ偶に相手の身体に掠めさせていく。

周りの貴族や騎士達が闘っている騎士に一方的な声援を送る中、剣戟は続いていく。

幾度となく打ち合った末、俺はバックステップで下がりながら少し躓いたふりをした。

俺が見せた隙を狙って突きを放って来る。

俺は敢えて首筋でその剣を受けた。

その瞬間、辺りは凍りついた。

俺の隷属の首輪が騎士の剣によって真っ二つになっていた。

次の瞬間、束縛が外れた俺は目の前の騎士の首を刎ねた。

周囲は阿鼻叫喚に包まれた。

逃げ惑う貴族や騎士達を俺は容赦なく斬り捨てていく。

潜在能力を限界まで繰り返し解放され続けたため隷属の首輪がなくとも力の引き出し方のコツは掴んでいた。

床一面が文字通り血の海に変わり広間の人間をほとんど殺し尽くした後、俺は王の前に立っていた。

「助けてくれ、助けてくれ、何でもする、金が欲しいならくれてやる。元の世界に帰りたいなら魔導師達にやらせる。だから助けてくれ」

腰を抜かし尻餅をついて失禁している王が命乞いをしていた。

「おい豚野郎、今更命乞いか。お前が俺達に何をしたのか分かっているだろうな。無理矢理この世界に召喚し奴隷のように戦場で扱き使い俺の仲間を全員殺していった。それが許されるとでも思っているのか。それに魔導師達がどの道帰る方法などないと言っていたのを先程小耳にはさんだぞ。その場逃れの嘘を吐くのもいい加減にしろ」

「ひーッ、大臣が言ったのだ、この世界の人間より潜在能力の高い異世界人を召喚しようと。我は悪くない」

「大臣ならそこに首が転がっているぞ。次はお前の番だ」

俺は王の両腕を斬り飛ばした。

「ギャー、痛い!痛い!」

俺は転がり回る王を足蹴にして更に足を斬り飛ばす。

「アガッ、アガッ、止めてくれ!頼む!」

俺は構わす耳も鼻も削ぎ目も潰し性器も斬り飛ばした。

「アグッ、アグッ」

王は恐怖と痛みの余り頭髪を真っ白にして呻くだけになっていた。

俺はでっぷりと太った腹を裂き飛び出た腸をせん断し胸を剣で突き続けた。

やがて王が息をしていないことに気づき殺戮の跡を見回した。

殺しも殺したりだ。

しかし後悔はない。

こいつらはそれだけのことをやった。

俺は城内の兵が集まって来るのを見て後始末を始めるため剣を握り直した。

主人公はこの後、城内の人間を皆殺しにして旅立ちます。

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