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魔剣

 武器屋は防具屋のすぐ隣にあった。やはりまとめて買う人が多いのだろう。

 扉に手をかけ、中に入る。


「……いらっしゃい」


 なんか店員と思われる兄ちゃんが、やる気の無い目と声で出迎えてくれた。やる気出せ若者。俺の方が年下だけど。

 店は中々の品揃えで、剣や杖、槍、弓、爪、銃、鎚まで売っている。

 とりあえず剣が欲しいが、俺に使いこなせるだろうか。無理ならば杖や弓を買って、魔法主力にしよう。

 最初に近くにあった鉄の剣を手に取った。もっとも数が多いし、ポピュラーな物なんだろう。

 ……重。持つのが限界で、振り回すのは論外だ。ならば杖だろう。物理ではなく魔法や魔術用の、貴金属でできたコンパクトな杖に。とすると、


 ┌───────────────

 │白金(プラチナ)のワンド(杖)

 │上昇率/攻撃E、魔攻A

 └───────────────

 ┌───────────────

 │(おうごん)のワンド(杖)

 │上昇率/攻撃E、魔攻B

 └───────────────

 ┌───────────────

 │(しろがね)のワンド(杖)

 │上昇率/攻撃E、魔攻C

 └───────────────


 この辺りか。スタッフやロッドはムリゲーだし、青銅や鉄やダマスカス鋼は魔攻上昇率が低すぎる。するとワンドである必要が無くなってしまうしな。

 値段的には白金のワンドでも問題はない。かなり良い品だし、暫くの間使うのには良いだろう。

 後は、ホルスターかそれに準ずる物が必要か。見てみると、丁度良い大きさのホルスターがあったので、それと白金のワンドを手に取り、店員に声をかける。


「これとこれを合わせていくらだ?」

「……あー、めんどくさいから一〇〇〇〇Gでいいよ」


 ついにめんどくさいって言っちゃったよ、この店員。しかしそのお陰で割引になったのだから感謝しよう、一〇G分。

 金貨を渡すと、店員が「……丁度です」とやる気の無い声をだす。

 白金のワンドは、ワンド系の杖ではかなり良い物なので、隠すようにローブの内側、絹の服の上からホルスターを着ける。ローブの内側に武器を隠し持つとか、なんかカッコいい。

 さて、魔力切れの時の為に短剣でも買おうか。それとも終わりにして、装飾品や消耗品を買うか。

 迷った時は『鑑定』することにしているので実行すると、一つの短剣が目に入った。


 ┌───────────────

 │魔剣ゲンデュル(短剣・闇属性)

 │上昇率/

 │スキル/魔力砲弾、殺傷の女狼

 └───────────────


 柄だけで刃が無い。上昇率もバグってやがる。スキルも見たこと無い。――なんだこの短剣。

 暫く呆然と眺めていると、店員が声をかけてきた。


「……気に入ったんですか? それ刃も無いし、持っていっても構わないけど。売れないし」


 やはり欠陥品なのだろうか。しかし気になる。貰っても損はしないだろう。


「それじゃあ、ありがたくいただきます」

「……持ちづらいでしょう。紐あげますよ。包装用ですが」

「ありがとう」


 この店員、やる気は無いが、気は利くらしい。

 遠慮せずに紐を受けとる。紐は短剣の柄に結び、ホルスターの反対側にくくりつける。紐は本気で引っ張れば千切れるだろうし、そもそも刃の無い短剣なんて使うことは無いだろう。

 装備したら、店員に軽く礼をして、店を出る。

 次は装飾品だろうか。これもやはり隣にあるので丁度良いが、あまりやり過ぎるとチャラチャラしてウザいからなぁ。

 魔力の指輪をしている右手を上に伸ばし、空をあおぐ。多少の傷こそあるものの、全く錆びていない銀が美しい。


「あら? 貴方は……」


 ふと声がしたので、顔の向きを変えると、そこにいたのはアルタイル=ブラックの娘、セイラだった。

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