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防具屋

 ぶっちゃけ言うと、今の俺は「服屋に着ていく服が無い」状態だ。しかし気にしたら負けな気がするので、とりあえず堂々と防具屋に行くことにした。

 防具屋というと、鎧や盾のイメージが付きまとうが、実際はそうでもない。服や靴も売っているので、普段はそちらで儲けるらしい。

 暫く歩き、到着したら迷わずに扉を開ける。看板も出ていたので間違いは無いだろう。

 キィと扉の軋む音と共に、店員の「らっしゃい」という掛け声と営業スマイルが出向かえる。特別なことでは無いので受け流し、鑑定を使用する――表記と実物に食い違いは無いようだ。

 最初にダマスカス鋼の額金を手に取る。理由はカッコいいからだ。若干勇者っぽいけど。


「お、兄ちゃんお目が高い。そいつは良い品だよ。真炎の額金」


 俺の心情を察したのか、店員のおじさんが声をかけてきた。

 それにしても真炎か。

 額金を見て、『鑑定』と念じる。


 ┌────────────────

 │ダマスカス鋼の額金(額金)

 │上昇率/防御A、魔防B

 │スキル/真炎魔導

 └────────────────


 相変わらず上昇率がよくわからん。普通はAやBといった部分は見えないのだから、文句は言わないし言えないが。

 魔導とは、魔導書級大魔術の略称として使われる単語だ。真炎魔導ならば、超強力な火魔術ということになる。彼の言葉に偽りは無さそうだ。

 ダマスカス鋼特有の層と、中心でキラリと光る真紅の宝石が美しい。

 性能、見た目、共に優良な品物、やはりお高いんでしょう? 目で訴えかける。


「どうだ? 買わないか? 値段の関係で全然売れなかったし、今なら特価一五〇〇〇Gだ」


 なに、安い! 訳ねーよ。しかし欲しい。ならばとるべき行動は一つ。交渉しよう。そうしよう。


「そうだな、うーん。……少し高いな」

「既に半額なんだけどな……。一四八〇〇Gでどうだ?」

「っ――まだ高いな」

「一四五〇〇Gは?」

「もう一声」

「わかったよ。一四〇〇〇Gでどうだ。これ以上は下げれないぞ」

「よし、買った!」

「毎度ありぃッ!」


 よし、良い買い物をした。余は満足ぞ。防具屋の店員も邪魔だったのか、売れて良かったといった顔をしている。

 気が変わらないうちにと、金貨を二枚渡す。店員はカウンターに入り、なにかやっていると思ったら、お盆一杯に銀貨を乗せて戻ってきた。


「全部で六〇枚ある筈だ。確認してくれ」


 手に持っている額金を頭につけてから、銀貨を数える――振りをする。一々数えるのもめんどくさい。

 さて、閑話休題としよう。俺の目的は服を買うことだった筈だ。いつまでも額金のことを考える訳にはいかない。

 体の向きを変え、服を見る。

 服は全部で三種類。布の服、絹の服、革の服。布とは木綿だろう。その横に、鎧、マント、ローブが並んでいる。

 ゲームでは無いので、特定の服装に縛られることは無いが、やはり職業に合った装備というものは存在する。前衛なら鎧、魔法職ならローブといった具合だ。もっとも、重ね着をする訳だが。

 魔王は魔法よりのオールラウンダーだ。やはりローブは欲しい。

 あまり金持ちだと思われたく無いし、六〇〇〇G以内に納める必要がある。下に服を着ると考えて、一番良いものは、


 ┌───────────────

 │魔術師のローブ(魔術服)

 │上昇率/防御D、魔攻D、魔防B

 └───────────────


 魔術師のローブかな。よくわからないが、縫い方が特殊なんだろう、たぶん。

 後は、できたら絹の服が欲しい。交渉してみるか。


「なあ、魔術師のローブと絹の服を合わせていくらだ?」

「えっとなぁ、六一〇〇Gだな」

「少し高いな。安くならないか?」

「あんたにはソレを買って貰ったしな。六〇〇〇Gでどうだ」

「良し、買った!」


 先程の銀貨を丸々渡す。店員はそれを確認し、頷いた。まあ、そのままだし当然だな。


「あと悪いのだが、着替えることはできるか?」

「試着室がある。今は誰もいないし、使っていいぞ」


 軽く礼をして、試着室に入る。

 布の服を脱ぎ、絹の服と魔術師のローブを着る。鏡は無いから見ることはできないが、少なくともさっきよりはカッコいいだろう。ローブもあるのだから。

 布の服を適当に丸めて手に持ち、試着室をでる。


「ありがとう。それじゃ」

「おう、今後もご贔屓願います」


 軽く挨拶をして店からも出る。

 次は武器屋に行くのが良いだろう。装飾品は無くてもなんとかなる。

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