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出発

 俺が魔王に成ることを肯定したからだろう。アルタイルはゴビーとタイソンを呼び寄せてから、話し出す。


「それでは魔界――魔王城に移動する為にパーティ編成をしましょう。移転魔法を使えば、魔界は無理ですが、近くまでは行けますので」


 そういった後、アルタイルが呪文を唱える。すると光の輪が現れ、俺達を包む。恐らく編成が完了したのだろう。

 移転魔法は冒険者だとして、パーティ編成は親衛隊長だろうか。

 そんなことを考えている間に、アルタイルは移転魔法の呪文を唱え始める。


「神が創りし世界の歪み、今一度我に偽りの道を示せ――空間移転」


 直後、ジェットコースターに乗った時のような浮遊感があり、次の瞬間は別の場所にいた。

 小さくもなければ大きくもない、そんな町が見える丘に俺達はいた。

 町にたいして『鑑定』をする。


 ┌────────────

 │クライタム

 │人間界中央王国王都より、西に一週間

 └────────────


 相変わらず、町の説明は不親切だ。一週間という数え方が既にわかりずらい。

 しかし文句ばかり言っても仕方無いので、アルタイルに質問してみる。


「なあ、ここはいったいどこなんだよ」

「魔界との通路が近い町なのです。私は人間に化けてあの家に住んでいます」


 アルタイルの指の先をたどってみる。その家は町にあるどの家よりも豪邸で、さすが親衛隊長といったところだろうか。

 親衛隊長がこんなところにいるのは、恐らく守るべき魔王が見つからなかったからだろう。というより、人間界にいるとわかっただけでも凄すぎる。しかしまあ、魔族が人間より凄いことはわかりきったことなので、深入りするのはよそう。

 とりあえず家に入りましょう、というアルタイルの提案を、断る理由は無いのでありがたく受け入れ、丘を下っている途中のことだった。ガサッと音がしたので振り向くと、


「っ――なんだスライムか」


 突然スライムが草むらから飛び出してきた。スライムといえば、RPGでは雑魚中の雑魚だ。俺は別に全く気にもとめなかったが、目立つからと丘で待機となったタイソン以外の二人の魔族はそうでは無いようで。すぐさま、有無を言わさず凍らせる。そして叩き割る。

 疑問が沸き上がるが、すぐに解決した。


「魔王様。スライムは厄介な相手です。油断しないで下さい」

「物理攻撃が効かない相手ほど、面倒くさい相手はいませんよ」


 なるほど、スライムは打撃、斬撃が効かないのだった。たしかに最弱のモンスターは、ネズミだかウサギだかの亜種みたいなやつだった筈だ。

 だが、スライムが出現したのはそれきりで、モンスターも一、二匹しか現れなかった。

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