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吟遊詩人の流離い歌

雨上がりの春

作者: 綾織 吟

始まりを告げる春。

そんな春にも雨が降った。

風は弱く、ただ雨だけが降っていた。

雨は夕方には上がった。

駆け抜ける春風に桜の花びらは舞い、雨で出来た水溜りに花びらが落ちる。

桃色の美しい桜の花びらは水溜りの上に落ちると波紋を立てた。

雲の合間から差しのべた光はオレンジ色に光り、空には7色の橋がかかった。

雨上がりの夕暮れ、水溜りには紅く燃える太陽が反射し、眩しく思えた。

始まりを告げる春。

やさしく降った雨は上がり、紅く燃える夕日は沈んでいく。

そんな春は何かの始まりを告げる。

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