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【コミカライズ企画進行中】学園のマドンナの渡辺さんが、なぜか毎週予定を聞いてくる  作者: まるせい
三章

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第78話 学園のマドンナはふりかけを食べる

「さて、どう料理しようかな?」


 渡辺さんとのデートを終え帰宅した俺は、目の前に並んでいるハゼを見ていた。


 流石に中華街デートで時間が遅くなったので家に来てもらって料理するわけにもいかなかった。

 付け加えると、昼に食べた料理の量が多かったのであまりお腹が空いていないという事情もあった。


 そんなわけで、地元の駅に着いて直ぐ解散になったのだが……。


「明日と明後日は一緒に昼食できないんだよな」


 沢口さんと石川さんが教室にいなければならないらしく、渡辺さんと俺と相沢の三人だと悪目立ちしてしまうのだ。


 そんなわけで、月火と空いてしまうので、これを渡辺さんに食べさせることができない。


「天ぷらにして持っていく?」


 そうすると食べるのは相沢になるのだが、二人で釣ったハゼを本人がいない場所で消費するのは感情が納得できない。


 そう考えている間に下処理が終わってしまった。


 ウロコと内臓を取り終わりお腹を割いて綺麗に洗い終わっている。


「天ぷらにするには少し小さいか?」


 改めて見てみるとやや小ぶりなので少し物足りない気もする。


「そうだ!」


 ふと、ちょうど良いレシピを思いついた。


「これなら、全部解決するじゃないか」


 やはり釣った魚は釣った本人に食べてもらいたい。そう思った俺は、早速準備を始めるのだった。





「いやー、久しぶりに集まったねー」


 数日後の昼休み、いつものように集まっていた。


「久しぶりと言っても、先週もあってるような?」


 俺は沢口さんの大袈裟な表現を指摘する。


「甘いね、相川っち『女子四日会わざれば刮目して見よ』だよ!」


 沢口さんは「ちっちっち」と指を振ると自信満々に言った。


「それを言うなら『男子三日会わざれば』でしょ?」


「相川っち。男女差別だよそれ!」


「ごめんなさい」


 格言にツッコミを入れただけなのに怒られてしまった。


「その割には、どこも成長していないようだが?」


 相沢がニヤニヤ笑いながら沢口さんを見る。


「相沢うるさい!」


 沢口さんは相沢を睨みつけると黙らせた。


「まあ、真帆じゃないけどこのメンバーでの昼食は楽しいからね」


 石川さんがそんな嬉しいことを言ってくれる。


「そうですね、私もこうして皆さんと食事ができるの楽しみにしていました」


「美沙は愛しの彼氏と一緒できるもんね」


 その言葉にドキリとして周囲を見回す。

 誰かがこちらに聞き耳を立てていないとは限らないからだ。


「そ、そろそろ食事にしましょう」


 チラリとこちらを見る渡辺さん。この手のからかいに弱いらしく、顔を真っ赤にしている。


 それぞれが食事を用意し始める。


 相沢と沢口さんはコンビニで買ってきたパンらしく、相沢は惣菜パンを含めて4つ程。沢口さんはサンドイッチとパックの野菜ジュースだ。


「沢口さんってそれで足りるの?」


「撮影があるからねー。最近は食事が美味い季節だから、抑えられる時に抑えてるんだよぉ」


 そう言ってレタスなど野菜が挟まれたサンドイッチを口にする。


「あー、モデルとかやってると大変だね」


 以前、撮影に付き合わされたことがあったのだが、あの雑誌の発売日はいつなのだろうか?


 予定が気になった。


「気になるなら自分で弁当作ればいいじゃん」


「里穂はお母さんに作ってもらってるんでしょ?」


 沢口さんは石川さんの弁当を見てそう言った。


「私は別にその辺気にしてないからね」


 石川さんの弁当は女性らしく小さめでご飯とオカズが数種類。野菜中心で中々美味しそうだ。


「渡辺さん、弁当は?」


 俺は彼女に質問をする。


「言われた通り、白米も用意してますけど」


 石川さんと同じく小さい弁当箱にバラエティに富んだおかずが入っている。白米には余計なものは何も乗っていないので要望した通りだ。


「ん、何々?」


「どうしたんだ?」


 沢口さんと相沢が興味を惹かれたのか、こちらに注目する。


「今日はこれを使おうかと思ってね」


 そう言って取り出したのは100均で売っている小型の容器だ。


「うーん、何これ? ふりかけ?」


「相川にしてはまともな物を取り出したな?」


「お前たちは俺を何だと思ってるんだ?」


「「釣りバカ」」


 二人は同時に答えた。


「確かにこれはふりかけだけど、ただのふりかけじゃない」


 俺はそのふりかけを渡辺さんに渡す。


「食べてみてよ」


 そう促すと、渡辺さんは皆が注目する中ふりかけをかけた白米を食べた。


「このふりかけ……凄く美味しいですね」


 目を大きく開き口元を隠して驚く渡辺さん。


「それ程濃い味付けではなく、淡白なのですが、口の中に旨みがじわじわ広がってご飯の甘味が引き出されます。これまで味わったことがない味です」


「そうだろ? 何せこれは市場に出回ることがない高級魚で作ったふりかけだからね」


「ど、どういうこと! 相川っち」


「これも魚なのかっ!」


 二人が食い気味に顔を寄せてくる。


「石川さんも良かったら使ってみてよ」


 俺がそういうと、彼女はふりかけを受け取りご飯の上にパパッとかけた。


「本当だ、不思議な味だけど、私これ好きだわ」


 石川さんの評価も上々。俺は家で味見して知っているが、中々美味しい。


「相川君、これってまさか……?」


「うん、二人で釣ったハゼを焼き干しにした後砕いたんだ」


 下処理を終わらせたハゼを一日半陰干しにして乾燥させた後オーブンで焼き上げる。

 粗熱が取れたところでフードプロセッサーで砕き、ふるいにかけて大きな粒を取り除く。


 そうして完成したのがこの『ハゼの粉末』というわけだ。


「ハゼは市場に出回らない魚だけど、味はキスと同じかそれ以上に美味しい魚なんだ。今回は小ぶりなのが多かったんで粉末にしたけど、これで出汁をとることもできるし色々な料理に使えるんだよ」



「確かに、おにぎり握るときに混ぜてもいいですし、卵焼きにも入れてみたいですね」


「この粉は渡辺さんに渡しておくから色々試してみてよ」


 魚は持って帰るとまずいかもしれないが、調味料なら問題ないだろう。


「ありがとうございます。あのハゼがどうなったか、実は気になってたんです」


 渡辺さんは嬉しそうにそれを受け取った。


「そんな良いものがあるなら、俺たちにも声掛けろよ!」


「そうだよっ! 自分たちだけずるいっ!」


 相沢と沢口さんが文句を言ってきた。


「いきなり言ってもお母さんが大変だろう?」


 二人は毎日コンビニで買っているのを知っている。急に弁当にしろと言われても母親が大変だと思った。


「里穂ー。少し味見させてよぉー」


「ダイエットはいいの?」


「相川、食わせてくれ!」


「自分の飯があるだろ」


 沢口さんが「あーん」されているのを横目に断る。男同士でやるのは無理だ。


「こうなったら、俺もハゼを釣りに行く! 相川、週末の予定は?」


 相沢は悔しそうな顔をすると俺に週末の予定を聞いてきた。


「俺は空いてるけど、お前サッカーの試合じゃなかったか?」


「そうだった!?」


 一年生にしてエースである相沢は週末になると練習試合の予定が組まれている。


「まあ、まだハゼのシーズンは続くからその内な」


 ハゼは秋から冬にかけて釣れる魚で冬になるほど個体が大きくなる。

 20センチくらいまで育てば天ぷらにしても食べ応えがあるし、釣っても楽しい魚なのだ。


「絶対だからな!」


「だったら私も行きたいから予定合わせてよね」


「お裾分けよろしくね」


 三人の様子を見ていると、渡辺さんが顔を寄せてきた。


「私が食べられるように、こうして工夫してくださったんですよね?」


「まあ、二人で釣ったんだし、一緒に食べたいと思ったから」


 俺がどうしてもやりたかったことなので、指摘されると恥ずかしくなる。


「私も相川君と釣りをして釣った魚を一緒に食べたいと思っていたのでおあいこですね」


 そういって笑う渡辺さんが可愛らしく、俺は言葉を返せなかった。

※本日は『コロナEX』にて『学園のマドンナの渡辺さんが、なぜか毎週予定を聞いてくる』コミカライズ更新日です。

まだ読んでない人は是非読みにいってください!


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