不死身
不死身
それは絶対に死なないということだ
不老不死
老ず死なぬということだ
こんな伝説がある
鳳凰、死にはするだが灰となり再誕する鳥
八尾比丘尼、人魚の肉を食い不老となった人間
そのような者達が稀に存在する
私たちは金瘡という村へ着いた
村の前には地面に剣を突き刺した白い髪に赤き瞳の人が立っていた
周りには剣が咲き乱れている
差し詰め彼女が屠った者達の物だろう
???"千年の旅の果て、ここへ辿りついた。
ここは私が求めた理想郷、害す者は許さぬ"
???"お前達もこの村を害す者か?"
紫苑は言う
"いや違う、職業柄、立ち寄って依頼を受けようと思っているだけだよ"
???"ならば、宜しい、中へ入りたまへ"
"あなた、相当強いわよね。"
???"何故、そう思う?"
"入り口の前にある剣の数、あれを見れば誰だってあなたが強いと思うのではないかしら?"
"そんなあなたの名前を聞きたいの"
新月"そうだな、名前、、、うん、私は蛇王 新月だ"
紫苑"それがあなたの名前、ありがとう教えてくれて"
琥珀"よろしくな!新月!
新月"えぇ、よろしく"
街で依頼や買い物を済ませた後、宿で床についた
その夜、争うような金切音が聞こえた
急いで入り口の方へ行ってみると
"奪わせはしない"
彼女はそう言って
多勢に無勢なれど立ち向かっていった
たった一人でこの村を守ってきたのだとわかるくらい剣筋は鋭く綺麗であった
見惚れているばかりではダメだ
剣を取り戦闘に参加した
紫苑"加勢するわ"
琥珀"これで三対三だな"
族は言う
"たかが三人になったところで何ができる"
琥珀"そんなの、やってみなきゃわかんねぇさ。
来いよ、その頭、切り飛ばしてやるぅ!!"
戦闘が始まる
鉄と鉄がぶつかる
勝負は一瞬であった
琥珀"う〜ん、案外あっけなかったな"
紫苑"そうね"
新月"ありがとう、私一人では危なかった"
紫苑"彼らは?"
新月"剣を剥き出しにして村へ二十人くらいで進行していた者達だ"
新月"今日は彼らを焼いて剣を並べて刺して床に着くよ"
紫苑"だからあんなに剣が刺さっているのか"
琥珀"剣なんだから使えばいいじゃねぇか、なんでしないんだ?"
新月"あれは彼らの墓標でもあるからだ、粗末には扱えんさ"
紫苑"もう夜も遅いし寝ましょう"
琥珀"おう、そうだな"
新月"そうしましょうか、では"
その会話を最後に床についた
朝
紫苑"ふぁ〜よく寝た、ほら起きて"
琥珀"もうちょっと寝かせてくれよ"
着替えて依頼を三件こなした
琥珀"なぁ、そういえばさ、あいつ古い言葉とかそもそも服装が古くないか?"
紫苑"言われてみれば、聞きに行ってみましょうか"
入り口まで移動した
紫苑"ねぇ、あなたなんで、そんなに古い服とか古い言葉を使うの?"
新月"そのように聞かれたのは初めてだ、そうだな私は長く生きている、だから古い言葉も使ってしまう
なるべく現代の言葉を使うようにはしている、服は友人から貰ったものだ、だがその友人は死んでしまった、最後は安らかだったよ"
新月"そうね、私の話をしてあげる、私は数多の星の始まりを視て多くの星の最後を視てきた。
いい奴もいれば悪い奴もいて長い間生きているけど意外と退屈したことはない、でも友人がいなくなる時は総じて寂しく悲しいもの
あなた達もいつかは消える星だからこそ私は親切に丁寧に接しているんだよ
これは私の私情、我儘、できるなら永遠を共に行きたい、でもそれはできない"
紫苑"私は旅の途中であった人達のことをたまに思い出すよ。虐げられた異形の人だったり、その人は知らないけど英雄として死んだ人だったり、まだ色々あるけど私は彼らをいつも想っているわ、天国にいけただろうか?不自由なく暮らせているだろうか?ってね"
新月"天国なんてあるわけないじゃない"
紫苑"そうね、その意見もわかるわ、天国なんて死んでからしかわからない、でも天国があると想っているからこそ人は希望を持てるのではないかしら"
紫苑"私は旅である教訓を得たわ
出会いは別れへの約束
今日あった人も明日には去ってしまうかもしれないもしくはこちらから去るかも、でも、それは仕方のないこと、いつか来るものよと想い聞かせて旅をしてるわ"
次の日
琥珀"なぁ、新月、勝負しようぜ"
新月"あぁ、どんな勝負だ?"
琥珀"その剣を使った勝負だ
勝負は先に剣を飛ばした方の勝ちだ"
新月"では、いくぞ!!"
数刻が過ぎた
紫苑"もうお昼か昨日は遅くまで新月と話してたからな〜"
新月"これで十連敗だぞ、琥珀"
琥珀"くっそまた負けた、もう一回勝負しろ!"
紫苑"そろそろ村を出るから準備しなさ〜い"
琥珀"チェわかったよ今準備する"
準備完了
紫苑"では、さようなら"
新月"あぁ、さようなら"
琥珀"もしあったら続きしようなー!"
新月"あぁ"
私達は村を後にした