異形と呼ばれた彼女
あれから少し歩いて集落についた
この集落の名前は穢遠というらしい
穢れを遠く へという意味なのだろうか
確かにこの集落は穢れというものはない
だがそれは集落の中心だけで歩いて中心から遠くなっていくと少しずつ穢れていく
ふと後ろで声が聞こえた
"この異形が!"声と共に何か重い音も聞こえる
私は気になり音を辿っていった
そこには人が倒れていた
服は元は緑の美しいものであったろうがところどころ破れ汚れている、中には人の足のような汚れもあった破れたところや袖から見える肌は青あざばかりあり片腕は小さく目は離れている
私はいくら異形だとしても可哀想だと思いその人を介抱した
日が落ちそうな時間にその人は起きた
聞けばその人は女性だそうで街に出れば
"異形だ!""穢れてる"
なんかを言われるそう
彼女は私に頼んできた
"私は血のつながった人もいなく、毎日虐げられるばかりこのまま生きていても仕方ない
だからあなたに頼みがあるの
私を殺して "
と頼んできた
依頼料は少しばかりあるお金だけ
私はそれを承諾した
別にお金がもらえるだとかそんなもんじゃない
ただ救いをあげようと思った
多分この人はどこへ行っても同じことになる
私は一泊して彼女と共に集落を出た
次の村と集落の境に大きな森があった
私と彼女は森に入っていった
道から少し歩いたところで私は彼女に
"遺言はあるか?"
と聞いたすると彼女は
"あるわけないじゃない"と答えた
その顔はどこまでも儚くこれから死ぬとは考えられないくらい穏やかだった
私は彼女に座って目を瞑るよう言った
私は彼女の首へ剣を振り下ろした
これでよかったのだろうか
これは彼女が望んだ結末だ
"死は救済"という考え方もあると私は私を納得させ
次はいい人生だと良いねと願いながら彼女を埋めた
あの集落の人間たちは人の皮を被った魔物と変わりない、
動物は社会を形成する、必ずそこには底辺と頂点がある。人は他者と競い、蹴落とし、自分は優位に立っているという自覚で生きてきた
今回のこともそうなのだろうとまた私は私を納得させ
次の村へ歩みだした