天使
この世界では時折"異変"が起きる
通常であれば
人からは人が生まれ
魔物からは魔物が生まれる
そこに異変が生じ
人の形でありながら魔物の力を持つもの
通称"魔族"が生まれる
彼らは人との交流をできるだけ避け
独自の社会を持っている
私はここら辺で一番大きい集落へ歩いていた
途中、洞窟があった
周り道はなく集落へ行くにはこの道しかない
暗く深い闇の果て
少年のような声が聞こえるこれは歌か嘆きか
歩いて行くと外に出た
少年は羽を持つ魔族だった
その姿はまるでキリストやユダヤに記述がある天使のよう
羽を持つ魔族は二種類確認されている
一つはこの少年のような白の羽を持つ魔族その通称は天使や白鳥などと呼ばれることもある
二つ目は黒の羽を持つ魔族その通称は堕天使や悪魔、烏などと呼ばれることもある
その少年に聞いた
"なぜさっきまで歌っていたの?"
少年は言う
"昔聞いた人間の歌"
とだけ答えてくれた
この少年を集落へ連れて行くわけにはいかない
心よく魔族を受け入れてくれるものもいるが当然よく思わないものもいる
互いにそこまで干渉しないというのがこの世界の魔族と人の在り方だ
魔族も人も責任の取り方は同じだ、それを犯したものはそのものが罰せられる、それはある意味合理的ともとれるし薄情だとも、どのようなことをしてもした奴が悪いという考えだ
私はそんな天使と別れ集落へ歩みだした