とある灯台守の話
俺があの灯台を知ったのは
必然とかそういう運命だったんだと今では思う。
今では珍しくなってきた有人の灯台だ。
そこに俺の船がたまたまとおりかかった。
と言うより、夜の海で舵をミスして座礁しかけたところを
そこの灯台守に助けられた。
その灯台守の男は星を眺めるのが好きだと言った。
確かに沢山の星が瞬き空を彩っていた。
助けの船が来る数日の間沢山話をし星を見上げた。
そして、数ヵ月後にあの時助けてもらったお礼をと思い
あの灯台へ俺は向かった。
しかし、そこには数ヵ月では到底考えられないほど
錆びれて廃れた廃墟同然の灯台がそこにあった。
その光景を前に呆然としていた俺は
あるものの存在に気がついた。
慰霊碑だ。
のちに、調べて判った事だが
数十年前、あの灯台近くで座礁事故があったらしい。
そこで救助に向かった灯台守が
波にさらわれ亡くなった事も。
俺が出会った灯台守…
彼がそうだったのか?
今も誰かをあの灯台から助けに
向かっているのだろうか?