2-01 登校
公開予定の五作品の内の第一作目となります。
コンセプトとしては『近未来』×『SP』のローファンタジーです。
ミサの屋敷で暮らし始めてからしばらくが経った頃。
「透次ー透次ー!」
「なんだ? 大声で呼ばなくても聞こえているぞ」
ミサに呼ばれリビングへ。
するとそこには藤咲の持つブレザーにそでを通すミサの姿があった。
「どう、似合う?」
彼女の通う高校、セントリアスの制服を着たミサはその場でくるりと回転し
スカートをひらひらと靡かせる。
「おーこれはすごい。まるで女子高生みたいだな」
「はー? 私は前かられっきとした女子高生でしょうが。ねーゆかり」
「はい」
するとミサの影から出てきた藤咲も制服姿で俺の前に現れる。
「そうか、そういえば今日は登校日か」
「はい。こう見えて私もミサ様と同い年なので学校へ行きますが、
諏訪様はどうなさいますか?」
「俺も学校へ行くつもりだ」
「え! あんた高校生だったの!」
「そんなわけあるか。ちゃんと事前に学校側に申請して護衛の許可も取ってある」
「なるほど。うちはお嬢様こうですからね。そういう審査も通りやすいという
わけですか」
「そういうことだ」
「…………」
すると視界の隅でミサが何やら不満そうな表情を浮かべる。
「なんだ。何か不満でもあるのか?」
「……いいえ。ただ透次が女子高生相手に興奮しないかを心配してるだけ」
「お前は俺をなんだと思ってるんだ……全く」
「そうですよミサ様。透次様は大人なんですから滅多なことを言ってはいけません」
「はいはい、分かったわよ。ゆかりが言うなら仕方ないわね」
「――――それよりも一緒に来るなら当然、送り迎えはしてくれるんでしょうね?」
「まぁ、一応そのつもりだが」
「そう。じゃ早くいくわよ」
「あ、おい!」
そうして俺はミサと藤咲と共に彼女たちが通う学校、セントリアス学院へと
向うこととなった。
◇
セントリアス学院、正門付近。
「それでは諏訪様、私共はここで失礼します」
「あぁ。一応俺も校内で待機していると思うがくれぐれも気をつけてな」
「承知しています」
「ミサも勉強頑張るんだぞ」
「あんたこそくれぐれも変な行動はしないでよね」
と最後までツンツンとしていたミサと藤咲を見送る。
「さてそれじゃ俺も用事を済ませてくるかなっと」
そうして事前に登録しておいたデータを基に守衛さんに確認してもらい
俺も校内へ。そして部外者が最初に行くところであるところの職員室へと
向かう。
セントリアス学院は国内でも屈指のセレブ校であり、
偏差値も高く卒業生からも財界人を多数輩出していることもあってか
今尚名門校として多くの上級階層から人気が高く――――ミサを始めとした
家柄の良い者たちが生徒のほとんどを占めている。
そういう事情もあってか敷地も相当に広く一つ一つの設備が立派で、
それに付随してセキュリティも超一流ときている。
正直な話、ミサでなくとも誰かしら生徒を狙うとなっても
校内でことを起こそうとするものはそうはいないだろう。
加えて自身の子供に警護を付けている親も少ない無いこともあってか
俺がこうして校内で歩いていても不審がる人物は一人としていない。
その事実だけでこの学院内の治安の良さが伺い知れるというものだ。
「あの――――」
すると突如、校舎内の廊下で一人の女性に呼び止められる。
「もしかして久世ミサの護衛の方ですか?」
振り返るとそこにはスーツ姿のお世辞にも正装とはいいがたい着こなしをした
やや目つきの悪い女性が立っていた。
「そうですがあなたは?」
「申し遅れました。私は久世の担任で、佐久間朱里といいます」
「そうですかあなたが。ちょうどよかった、職員室に向かう手間が省けました」
そういうと彼女はバサバサの髪をわしゃわしゃと搔き乱しながら
ボソリと呟くように続ける。
「御上(学院)から話は聞いてます。無期限で護衛なさるとか」
「そういうことになってますね」
「お一人ですよね。心中お察しします」
「――――どうも」
ミサの担任。佐久間朱里と名乗った女性はどうやら色々と”分かっている人間”
のようでこちらが説明するよりも早く一人納得した様子を見せる。
「随分と手慣れてた対応なんですね」
「ええまぁ。ここで働いている以上こういうことは決して少なくはないので」
「なので事前の手続きさえしっかりしてもらえているなら特に私から言うことは
ありません。ここでの行動も常識的な範疇であれば我々は関与しませんので
あしからず」
「了解しました」
「ではわたしはこれからホームルームがあるのでこれで失礼します」
そうしてわずか数秒のやり取りだけを済まし、
佐久間朱里は廊下の先へと消えていった。
ご閲読ありがとうございました。
これからも不定期ではありますがローファンタジーを中心に小説を投稿して
いきますので、応援よろしくお願いいたします。




