2-04 ようこそ生徒会へ
公開予定の五作品の内の第一作目となります。
コンセプトとしては『近未来』×『SP』のローファンタジーです。
ミサからの呼び出しから五分後。
俺は彼女から指定されたセントリアス学院生徒会室へとやってきていた。
「(ここでいいんだよな?)」
「失礼します」と最低限の礼節を弁え重厚感のある扉に手を掛ける。
そうして中に入るとミサと藤咲以外にもう二人の女子生徒とも目が合った。
「よく来たわね透次。ようこそセントリアス学院生徒会へ」
とミサは両手を広げて歓迎の挨拶をしてみせる。
が、同時に見知らぬ女子生徒二人がポカンとした表情を浮かべる。
「え、誰?」
「ミサちゃんの知り合い?」
と各々が疑問を口にし首をかしげる。
どうやら事前に俺のことを説明していなかったらしく、
困惑する彼女らを見てどうしたものかと考えていると藤咲が
助け舟を出してくれる。
「彼は諏訪透次様。先日よりミサ様の護衛を務めておられる方です」
「護衛? あのミサ先輩が!」
「本当なのミサちゃん?」
「ええ」
ミサが肯定するとその他二人も驚きといった表情を浮かべ、
再度こちらに視線を向ける。
「えー本当なんだ、すごー」
「随分若い方なんですね」
不審者でないと判ったからか、二人とも興味津々といった様子で
俺を迎え入れる。
「申し遅れました。私は生徒会で副会長をしております三年の風見今日子と
申します」
「同じく生徒会会計、一年の佐々木部花音っす!」
「これはご丁寧にどうも」
互いにペコリと頭を下げ挨拶を交わす。
そしてその流れで奥の椅子に座るミサとその傍に立つ藤咲に視線を向ける。
「そういえばまだお伝えしていませんでしたね。実は私たちは生徒会の役員を
しているんですよ」
「藤咲はともかく…………ミサもか?」
「恐れながらミサ様はこの学院の生徒会長で在らされます」
「生徒会長! ミサが?!」
藤咲による突然のカミングアウトにより自分でも思ったより
驚きの声が漏れる。
その様子を横目にミサがぎろりとこちらを睥睨する。
「そうよ。悪い?」
俺の発言が原因とは言え、圧倒的不機嫌そうな態度を見せるミサに
対してなんとかフォローを入れようと思考を回す。
「あ、いや悪い。なんというか意外だったもんでな……つい…………」
「全く失礼しちゃうわよね。ね、ゆかり」
「ええ。ですがミサ様も人が悪いですよ。諏訪様が驚くのを分かってて
黙ってたんですから」
「こいつの驚く顔が見たかったのよ」
「あはは、ミサ先輩らしいですね」
「全くね」
ミサと藤咲のやり取りを見て、同じく生徒会役員である風見と佐々木部も
やれやれといった感じで苦笑いを浮かべる。
どうやら二人とも藤咲と同様にミサの性格を重々理解しているらしく、
今の反応を見るに上手く付き合っていけているようだ。
「ちなみに藤咲の役職は何なんだ?」
「私は書記兼進行を担当させてもらっています」
「従者もやりつつか?」
「ミサ様の強いご希望ですので」
するとその時、突如として腰辺りをツンツンと突っつかれる感覚を覚える。
振り返ると佐々木部と名乗った少女が俺の脇腹辺りに触れながら
右へ左へ視線を移動させていた。
ご閲読ありがとうございました。
これからも不定期ではありますがローファンタジーを中心に小説を投稿して
いきますので、応援よろしくお願いいたします。