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事件は日記で起こっていた  作者: 山目 広介
6/12

06.半陰陽

 ◇ ◆ ◇



 命の危機。殺されかけたというのに、自分の性別のことなんて調べている場合じゃないだろう、と思うが将来的にどうやって生きていくのかにも直結するために、性別がどうなのかということも重要だ。


 閉経までの長い期間に生理が来るのか、とかスポーツ選手になるなら性差によって体力が違ってくるとか、未だに日本じゃ仕事でも性差別が存在していることは明白だ。女性だったら化粧などもよく覚えておかないといけないし、男性だったらこの女性のような体でどのように生きていくのか考える必要もある。


 精神も男なのか女のか。それによって相手が女ならば、レズなのか、ノーマルなのか。もしくはバイということも考えられる。心が男だったら性転換も考慮に入れなければいけないし、周りも対応が難しいだろう。日記を読んでいる時点で私も混乱しているわけだから。前の私はどういう判断を下しているのか。





 両性具有。


 両性、男性と女性、その両方の性別をともに有している存在。



 半陰陽。


 陰を女、陽を男を表す。つまり半分が女で、もう半分が男だという存在。



 そういったどっちつかずの、男でもない、女でもない、特殊な性。



 私の場合、外見上は女であったが、体の中に精巣があったようだ。さらに普通に卵巣もあった。


 遺伝子的には男だった。しかしホルモンなどの影響で身体を成長させていくときに、人体には元々男と女の両方の性器が作られる余地があったらしいのだが、どう働いたのか不明だけど、副腎の片方は精巣に、もう片方が卵巣になったのだろう。




 普通は男性の精巣は二つ、女性の卵巣も二つ。だが私はそれぞれ片方づつ持っていたのだ。


 だから男でもあり、女でもある、という状態だという。つまり両性具有、半陰陽。


 実はそれも正しくはないのだろう。男性器の陰茎がないのだから射精はできない。顕微授精など子供を作る方法はあるらしいけども。


 だが子宮はあるし、女性器の膣もある。たぶん子供は産める。女性寄りだよね。




 日記によると私は昔から体温が低く、それがずっと続いていたために、本来ならば精巣の精子は人の深部体温が高いために死んでいたそうだが、一応精子が生きていたらしい。


 詳しくは書かれていないが、一応、と断っていることから完全に死んでいない、一部生きている、ということなのだろう。


 深部体温のように36度台だと死んでしまうため、男性の睾丸――精巣は体外へと移動させられている。


 しかし私は低体温だったため、精巣が生きていた。


 初潮が来なかった原因は性ホルモンが、卵巣精巣片方ずつしかないために、どちらとも上手く働かず、成長も遅かったとされている。中性的だったのだろうか。




 その検査の後で、生理が来るように排卵誘発剤で排卵を促していたようだ。だがXYという性遺伝子では排卵の半分は上手く働かなかったらしい。何か手術かしたのだろう、採取して調べているみたいだ。


 そのため、薬による排卵誘発剤で排卵されていても運が悪く、初潮が来なかった、という結論。


 更に運が悪いことに、もう一つ別の要因で薬を使っていたにも拘らず、初潮が来なかったことが判明した。





 私は続く話に驚愕する。


 妊娠していたのだ。処女受胎。




明日次回07.処女受胎

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