菜話
「「ココが街よ!」」
「そうか。分かった。ありがとう。」
「どういたしまして!」
「何でもないことよ」
ふむ。この街はなかなか賑わっているじゃないか。木造の住宅が多いのは、周辺の林材を使っているのかな、いやー美しい街だ。
「おうい、君、疾く疾く疾く私をこの汚い空間から解放するのが良いよ。そうでなければ君が永劫先迄苦しみ続ける事になるのは間違いが無いのだからね」
何やら小五月蝿いのがいるが、まあ気にしない。
さて、ここまで歩き通しだったからな、旨い飯があるといいんだが。
と思って、踏み均された土地に足を踏み入れようという時、1人の男が近付いてくる。腰には1柄の剣を携えている。
「やあ、アラークーグラードへようこそ。如何なる用でこちらへ」
随分しつこい名前だな、アラーグラードン?まあいいか。
「俺は旅の者だ。そこの森で迷っていた。少し街で休もうと思っている」
「ああ、もう分かった、ありがとう。あまり面白い街じゃないがゆっくりしていってくれ。くれぐれも問題は起こしてくれるなよ」
俺は手をひらひらさせて男に別れを告げ、街に入っていく。というか、旅人が疑われない身分でいいのか?訳分からんぞこの世界。
「君、よくぞ私の言葉を知らぬ振りなど出来たものだね。全ての造物主たるこの私を絶句させる程の言動を、たかが被造物たる人の君が出来るのだねえ。いや、可能だと思っていなかったよ。なあ、謝るべきではないか」
あ、旨そうな匂い。飯だ。飯にありつけるはずだ。その瞬間、俺の脳内をテトラグラマトンが駆け巡る。
(ここから神としゃべりつつ飯を食う。)
遅すぎやろ