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黎明の翼 -龍騎士達のアルカディア-  作者: 八束ノ大和
第五章 中央編

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第93話 合成

 1つ目の街にてプリムスによる八竜震天の力の試練を達成した後、アルクス達は順調に試練を進めていった。

2つ目の街では技の試練と題して四方八方から飛び交うフェザーアローという名の羽でできた矢の攻撃を避けながら撃ち落とすという正にアリシア向けの試練だった。

アリシアは見事に全ての攻撃を避けながら矢を撃ち落とした。


『本来は八割方撃ち落とせば合格ですが、これは文句なしですね…』


2つ目の街の長、セクンドゥムはこれほどの命中率は才能と努力とどちらもなくては辿り着けないと褒めちぎっていた。

試練達成後はやはり宴が開かれて、アリシアが英雄かの様に祭り上げられて本人はとても恥ずかしがっていた。


そして次の3つ目の街では耐の試練と題して竜達の怒涛の攻撃に耐え抜き、最後に竜達を降参させるというバルトロ向けの試練だった。

バルトロは竜達が攻め疲れるまでしっかりと守り切り、最後に溜め込んでいた今まで受けてきた攻撃を解き放った。突然の衝撃波に竜達は為す術もなく蹴散らされ、降参することになった。


『大した耐久力ですよ、全く。普通は耐え切ってもそこで体力が尽きて竜達に降参させるまでには至らないのですが、攻防一体の素晴らしい力を堪能させていただきました。盾役としてバルトロさんがいる貴方達が羨ましいですよ。』


3つ目の街の長、テルティウスは昔大陸の外で探索者をしていたらしいが、その後延々と戦いにおける守りの重要性を語っていた。

試練後の宴でも延々と語り続けていて、それに捕まったアルクスは最後まで話に付き合わされることとなった。



『さて、次で4つ目か。』

『次を乗り越えたら折り返しだね。次はどんな試練かな。』

『そろそろ私も役に立たないと…』


未だ試練で活躍していなかったクリオが熱意に溢れていた。


そして、中央大陸外縁部最後の街である、4つ目の街へと到着した。

これまでと同じ様に領主館を目指したが、生憎領主は不在にしているためすぐに第4の試練を受けることができなかった。


『今までが少し順調過ぎたのかもな。』

『受ける人もあまりいないということだったからな。』

『もう少し待てば戻ってくるってことだったし、たまにはのんびり待つのも良いかもね。』


これを合格すれば折り返しというところで小休止となった。

領主館の門番に聞くところによると第4の試練は術の試練だという。

力や技を使ってはならず、全て魔術や龍術のみで与えられた課題を解決する必要があるため、今までの試練と違い合格者が急に減るとのことだった。

この大陸にはラピス持ちがいないため通常は召喚術を用いて精霊を召喚して精霊の力を借りるか、あまり使える者のいない高度な龍術を収めないといけないため、昔は試練に挑戦する資格すら持たない者が多く、第四の試練を合格するだけで尊敬の眼差しで見られた時代があったという。


『こんなに色々と教えていただいて大丈夫なのですか?』

『あぁ、試練で見ているのは実力があるかどうかだけだから、特に問題はないよ。

 久しぶりの挑戦者でなおかつ第1から第3の試練を順調に合格していっているということで君達話題になっているんだよ。

 情報提供くらいで合格の可能性が増えるならいくらでも話すさ。』


めぼしい情報はそれ以上得られることはなかったが、八竜震天の試練を受けていることが大陸の一部の人々の間で話題になっていることにアルクス達は驚いていた。

第4の試練はクリオが魔術を使えるのでなんとかなるだろうと皆思っていたが、念には念を入れてということで街の外で訓練を行うことになった。


『そういえばクリオは無詠唱魔術は使えないの?』


クリオが魔術を使う様子を見ていて、アルクスは無詠唱魔術を使っていないことに気がついた。


『無詠唱魔術?念じるだけで魔術を使うってこと?』

『そうそう、こんな感じで。』


アルクスはそういうと手のひらから少量の水を出した。

その様子にクリオは驚いていた。


『そうよね。アルクスはラピスがないだけで最低限の魔術は扱えるのよね。

 でもアルフグラーティにはそんな使い方をする人はいなかったわ。』

『じゃあ使える様になろうか。』

『そんなにすぐにできるものなの?』

『いや、地道な訓練が必要だよ。訓練方法を知っている人もあまりいないみたいだし、とりあえず試してみるだけでも。』

『そうね。私だけ龍気がまだ扱えない分他にできることを増やさないとね。』


そうしてクリオは無詠唱魔術の訓練を開始した。

魔術を言葉に出さずに思い描くということがなかなか難しかった様子だが、徐々に理解が進み1週間程度で微風が起こせるようになっていた。


『これは便利ね。でも威力の高い魔術や規模の大きな魔術を使うのは私だとまだまだ難しそう…』

『そうだね、僕の先生も規模の大きい魔術には向いていないって言ってた。でも臨機応変な対応を求められる様な戦いの時にはきっと役に立つはずだよ。』

『そうね、手数を増やすのに良さそうだし、もう少し頑張ってみる!』


そしてさらに1週間後には規模は小さいものの、水と風を同時に操ることができる様になっていた。


『クリオはやっぱり魔術の才能があるね。これなら蒼翠龍様の言っていた合成魔術も使えるんじゃないかな?』

『そういえばそんなこと言ってたわね。ところで水と風の合成魔術って何だろう?』

『氷とか雷あたりかな?天候って水と風が合わさってる感じだし。』

『天候…確かに自然現象を参考にしたら色々できそう。ちょっと練習してみる!』

『あぁ、頑張って!』


クリオが合成魔術の訓練を開始した翌日に領主が戻ってきたという連絡があった。


『待たせてしまったみたいで申し訳ない。私の名はクァルトゥム。

 さて話は聞いているかと思うが、八竜震天第4の試練は術の試練だ。誰が挑戦する?』

『私が!』


クリオが手を挙げて前に出た。


『よし、この試練では私が生み出す様々な的を時間内に術のみを用いて破壊することだ。

 魔術でも召喚術でもどの術を用いても良い。では始めよう。時間はこの砂時計が落ち切るまでの間だ。』


クァルトゥムが地に手をついて詠唱を始めると続々と土から生み出されたゴーレムが現れた。

それも空を飛ぶ鳥や地を這う蛇、人型など様々な形を象っていた。

ゴーレムの1人が砂時計の上下を返して、試練が始まった。


試練が始まるとすぐにクリオの周囲に無数の風の刃が生まれ、その場にいたゴーレム達を切り刻みゴーレム達は土へと帰っていった。


『無詠唱魔術かなかなかやるな。これはどうだ。』


クァルトゥムが2頭の虎型ゴーレムを生み出した。

虎型ゴーレムは今までのゴーレムとは違い俊敏な動きで動き回っていた。


だがクリオはゴーレム達の逃げ場がなくなる様に複数の風の刃を展開することで、これもあっさりと切り刻んでしまった。


『ならばこれで最後だ!』


クァルトゥムが両手を地面につくと巨大な亀の様な形をしたゴーレムが生まれた。


『荒れ狂う風よ、彼のものを押しつぶせ!』


上空から強烈な風が叩き付ける。


『ふっ、その程度の風では私のゴーレムは壊せないぞ?』


クァルトゥムがクリオの魔術を侮った時、観戦していた皆が気温が急に下がってきたことに気づいた。


『アルクス、なんだか寒くない?』

『クリオの魔術だよ。アリシアこれを羽織ると良いよ。』


クリオが生み出した風に徐々に冷気が混ざり、亀型ゴーレムの表面が少しずつ凍り始めた。

そしてしばらくすると亀型ゴーレムとその足元が完全に凍りついていた。


『これでおしまい!』


クリオが最後に巨大な風の刃を生み出して凍りついた亀型ゴーレムにぶつけると、ゴーレムは簡単に砕け散った。


『お見事!合格だ!最後の亀型ゴーレムには自信があったんだがな。』

『準備した甲斐がありました!』


そうして八竜震天第4の術の試練も無事合格に終わったのだった。



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