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黎明の翼 -龍騎士達のアルカディア-  作者: 八束ノ大和
第五章 中央編

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第85話 王国

『海底王国へよくぞいらっしゃった、人族の客人よ。』

『天空竜様よりこちらを通られることは伺っております。まずはどうぞ我らの王のところに。』


烏賊と蛸に王の間へと案内された。

そこには先程戦ったものよりも遥かに巨大な海蛇がいた。


『龍王様?』

『あぁ、人族の客人達ですね。よくぞいらっしゃいました。天空竜殿から話は聞いております。

 私は海蛇龍。名前に「龍」が入っていますが、龍王ではありません。

 天空竜殿から私達の話はどの程度聞いていますでしょうか…

 私達は天空竜殿達の住まうドラコ・レグルスの島と同様に別の他世界から渡ってきました。

 こちらの世界に来てからは長い年月が経ちましたが、何分ここ海底に住んでいて地上のことには疎くて…

 これから世界の中央を目指されるかと思いますが、しばらくは地上と違うこの国をご堪能ください。

 御子様もごゆるりとお過ごしください。』


海蛇龍は一通り話したいことを喋り終わると急に眠ってしまった。

だが最後の一言の時、目に不思議な力が込められている様にアルクスは感じ取った。

海蛇龍が寝てしまうと烏賊と蛸が自分達の王がどういう存在であるかの説明を開始した。


『我らの王は夢見と言いますか、寝ている時に龍脈を通じて思念で外部と交流を図ったり、未来のことを思い描いたりと基本的に寝ておられます。しかし本日の様に事前にわかっていることや危険が近づいてきている時などはこうして起きてそのお言葉をいただくことができるのです。』

『中央へ向けて色々と準備もありますでしょう。滞在中のことに関しては私共にお任せください。』


その後、アルクス達は烏賊と蛸に連れられて海底王国を案内された。

海蛇龍が話していた様にここ海底王国は竜人の国同様に元々は他世界、世界のほぼ9割が海の中に沈んでいる海の世界に存在していた。

その世界では世界が崩壊するタイミングに生き残った最後の神が残った力を使ってこの世界に飛ばしてくれたらしい。


『生き残った最後の神とは神も死ぬのでしょうか?』

『私共も当時は幼児であったためにあまり覚えていないのですが、世界の外側には世界の破壊や侵略を目的とした存在がいると聞いております。その様な輩に攻め込まれてお隠れになってしまわれたのかもしれません。神々の死が我々の死と同じ意味を持つかどうかもわかりませんし、海蛇龍様も我々に必要がないことは教えてくれませんので。』

『こちらの世界に来てからは神の支援のもと、各龍王様のお力添えや龍脈の力を使ってなんとかここまでの形になりました。ですので龍王様に連なる方々には感謝をしてもしたりないというのが本音でございます。』


烏賊と蛸に案内された先では宴会の準備が整っていた。


『それでは龍の御子、龍騎士の皆様とそのお仲間の方々の来訪を歓迎して宴と行きましょうぞ!』


海底王国の人々からはこの世界に来たときに世話になった龍王に連なる方々には感謝をしてもしたりないということで大変歓迎された。


『では余興としてまずは私達イカルスとタコナイトの舞をご覧ください!』


用意されていた舞台では烏賊と蛸、イカルスとタコナイトが同族らしき人々と共に踊りを始めた。


『あの人達の名前、そういえば知らなかったね。』

『見た目通りの名前だね!』

『それにしても何だか気になって目が離せなくなるね…』


その後も様々な魚達が舞を披露してくれた。


『何だか最近俺達歓迎されてばかりだな。』


バルトロが舞を見ながらぼそっと呟いた。


『龍王様達とアーラのお陰だね。とても良い縁に恵まれたと思ってるよ。』

『だがその縁を掴み取ったのはアルクスの実力だろ?自分達の実力がまだまだなのはわかっているが、貰った分はしっかり恩返しして行かないとな。』

『兄さん考え過ぎじゃない?せっかくの宴なんだから楽しまないと。それで楽しんだ後に恩返しすれば良いじゃない!』

『バルトロは色々と考えているんだな。私は今までずっと1つの場所にいたから気づかなかったが、外へ出て様々なものを見て、色々な人に出会うのも良いものだと思っている。これから何をすべきかというのも少し考え始めた。この旅が終わるまでには答えを出したいと思っているけどな。』

『私も!大森林の中は自然がいっぱいでとても居心地が良かったけど、今思うと刺激が少なかったかも。立派なハイエルフになるためにも色んな経験をしておかないとって思ってるよ。』


皆今の自分達の考えを思い思い語っていた。

海底王国の人々との交流もそれぞれの成長に繋がると信じ、夜も更けていった。



翌日以降、アルクス達はイカルスとタコナイトに世界の中心を目指していることを伝え、海底王国からどうやったら辿り着けるかを尋ねた。


『やはりあそこを目指しているのですね。』

『ご存知かと思いますが、あの海域は周囲の海流が激しく大小数多くの渦が出来ていて船で近づくことはできません。』


アルクス達は知っていることだったので頷いた。


『そして、あの大陸には結界が張られていて、神々ですら中に入れない聖域となっております。もしかしたら神々はあの場所を正しく観測できていないかもしれません。』

『どういうことでしょうか?』

『私共から述べることは難しいため、もし辿り着くことができればそこで教えてもらうことができるでしょう。さて、結界が張られているとお伝えしましたが、実はいくつか地上以外の人々が立ち入ることの難しい領域から通行可能な道があります。そして、ここ海底王国から結界へと繋がる道がございます。』


何故ドラコ・レグルスにて海底洞窟への道を教えられて、海底王国へと辿り着けたのかを皆がようやく理解できた。


『その道を進んだ先には結界の番人がいると言われています、そして番人に認められれば結界を通り抜けて中央の大陸へと辿り着くことができるとのことです。

 ですが、海底王国の道から中央の大陸へ辿り着いたことがある者はいないのです…』

『それは危険ということでしょうか?』

『中央へと繋がる道はどの道も危険で番人もとても強いと伺っておりますが、海底王国から繋がる道というのは時空の歪んだ迷宮になっていて、こことは空間がずれているため龍脈が繋がっていないのです。

 そのため、龍騎士の方々や御子は龍脈の力を使うことができずに本来の力を発揮できない可能性があります…』


イカルスとタコナイトは申し訳なさそうに、そしてアルクス達の身を案じての言葉だった。

強力な番人、そしてこれから進む迷宮に龍脈が繋がっていないという事実により、難易度が格段に高いことを各人が感じ取った。


『わかりました、教えていただきありがとうございます。龍脈の力、僕達は龍気と呼んでいますがそれを体内に蓄積する技術もあります。しばらく技を磨くためにも滞在させてもらえたらと思いますがいかがでしょうか。もしよろしければ腕に覚えのある方々と手合わせなどもさせていただけると腕が鈍らなくて助かります。』

『おぉ、そうでしたか。どれだか滞在していただいても問題ございません!そして国の腕自慢の者達にも声をかけておきますね。』


そうしてアルクス達は龍気を体内に取り込み、留めるための鍛錬を開始した。

スペルビアは龍気を体内に溜め込むことなどしたことがなかったため、アルクスから教わりながら進めていった。

クリオは海底故か水のエレメントが豊富だということで水の魔術の訓練をしていた。フルーも居心地が良いらしく、一度呼び出したら常に顕現していて、クリオに色々と教え込んでいた。

皆が鍛錬しているのを見て、アーラも強くなりたいと訴えてスペルビアと同様に龍気を溜め込む訓練をしていた。


『御子様と一緒に修行をするというのは不思議な感覚だな…』


スペルビアが嬉しそうに言っていたが、海底王国の人々もアーラが修行をしているのを見て、自分達も頑張らないとと奮起していた。


修行の日々が続き、あっという間に数ヶ月が過ぎ去った。


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