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黎明の翼 -龍騎士達のアルカディア-  作者: 八束ノ大和
第四章 天空編

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第80話 渡帝

竜の国への滞在もそろそろ一月となり、旅立ちの日がやってきた。


アルクスは滞在中に竜人達に伝わる薬の製法を教わり、材料となる竜の国でしか採取できない薬草や実などを数多く譲ってもらった。その代わりとして下で学んだ薬や薬草などの知識を提供した。

また、これから帝国に向かうということで帝国での言語を理解しているアルクスとスペルビアはアリシア・バルトロ・クリオの3人に空いている時間に帝国語を教えていた。


『こんな空の上で勉強することになるとは思ってなかったな…』

『連邦の時もそうだったけど、新しい言葉を覚えるって難しいんだよね。』

『新しい言葉を学ぶって初めてだけど、楽しいね。』


バルトロはスペルビアと積極的に会話を行いたいがために、やる気に満ち溢れていて皆の想像よりも早く習得した。

クリオは連邦での言語と帝国での言語の法則に違いを理解することで、会話は辿々しいものの文章ではすぐに理解ができる様になっていた。

アリシアは苦戦していたものの、アルクスから教えてもらえるということで不満はない様子だった。



アルクス達が旅立つとなり、国中の人達が見送りに集まってきた。

行きとは違い、島の中心から下に転移することができると教わった。

天空竜がアルクス達の前へとやって来た。


『短い時間だったがこの島での生活はどうだったかな?

 若者達は君達との交流がとても刺激になったようだ。いずれ自分も下に行きたいという者が数多くいた。

 あまり多数の竜人を送ることは管理できなくなるので難しいが、もし君が目指す場所はできたらそこへ一部移住しても良いかと思っている。

 気長に待つことにしているよ。ドク、あれを。』


天空竜の指示でドクが大量の荷物を持参した。


『これは?』

『下の遺跡の守り人の一族のシークに渡して欲しい。龍の御子と会えた祝いも兼ねてな。

 数は多いかもしれないが、空間術を扱えるのであれば入るであろう?』


アルクスはこんなに大量の荷物入るかなと思いつつ、龍珠の中へと収納を開始した。

その間に他の面々は滞在中に世話になった人達と別れの挨拶を交わしていた。


『スペルビア、俺達の分まで頼んだぞ!』

『俺も他の龍王様に会ってみたかったなぁ。』

『下には美味いものがいっぱいあるって聞いたぞ。』

『お前が帰って来た時に負けない様に俺達はもっと修行に励むぜ!』


スペルビアは特に若手の竜人達に囲まれて、長いこと話し込んでいた。


『ふぅ、なんとか全部入った…』

『ちゃんと龍術を扱えている証だな。それだけ使えているのであれば、下に行ったら教えたあれも使ってみると良い。』

『はい、ありがとうございます!』

『ではこの円の中に入ると良い。』


広場の中心の中に描かれた陣の中へとアルクス達が入った。


『ではさらばだ!』


天空竜の言葉と共に足元から光が迸り、視界が光に飲み込まれた。



アルクスが目を開くとアウレアンにある遺跡へと戻って来ていた。

周りにはアリシア達、全員が佇んでいた。


『ここは竜の国に転移する前に使った遺跡かな。』

『外に人の気配がするよ。出てみよう。』


遺跡から出ると、守り人の一族の長シークや一族の人々がアーラを崇めていた時と同様に遺跡を崇めていた。


『おぉ、竜人様が降臨されたぞ!』


人族へと変身していたスペルビアを一目で竜人と見抜いたシークは、アルクス達の前へ進み出てきた。


『お久しぶりです、竜の国に滞在してきました。こちらは竜人のスペルビアです。』


スペルビアが軽く会釈をすると、またしても皆が拝み出した。


『スペルビア様、初めまして。我々は竜の国へと繋がるこの遺跡の守り人の一族でございます。私は長のシークと申します。もしよろしければ1日だけでも滞在していただき、皆に竜の国の話をしていただくことはできますでしょうか。』


周りの人達から期待に満ちた眼差しで見つめられ、肯定することしかできなかった。

バルトロ達も苦笑していた。


『そうだ、天空竜様から色々受け取っていますので、こちらに出しても大丈夫でしょうか?』

『はい、でしたらあの蔵にお願いできますか。』


そうして受け取った荷物を全て出すと余裕のあった蔵がいっぱいになってしまい、驚かれていた。


その後、守り人の一族により宴が催された。

アルクス達は歓迎され、竜の国で経験したことを話していた。

アーラは守り人達から様々な食べ物を運ばれて嬉しそうに食べ続けていた。

スペルビアは竜の国を出て早々に人に囲まれて質問攻めにされてしまい戸惑っていた。

急なことではあったものの、大層歓迎されてあっという間に夜は更けていった。


翌日、守り人の一族に見送られてアウレアンへと戻ることにした。


『お陰様で皆、とても充実した時間を過ごせました。この感謝を胸に引き続きこの遺跡を守っていきたいと思います。』


シークからの礼にと土産物をもらい集落を後にした。

山を降っていくとやはり数多くの竜種がいたが、スペルビアを目にするとアーラの時と違い怯えた様子で大人しくしていた。


『やっぱり竜達からすると竜人は恐ろしい存在なのか?』

『いや、そんなことはないと思う。私が威圧をしたからそこまで強くない竜が萎縮しただけだろう。』

『本当だ、少しピリピリするかも。』


アウレアンまでの道程は平穏に進むことができた。


『ここが人族の町か。人族の国は巨大な壁に囲まれていると聞いていたのだが、あまり壁は高くないのだな。』

『そうだね、ここの町は特に壁がないね。他の国に行けば見られると思うよ。』


アウレアンに辿り着き、スペルビアに人族の国や町の話をしていると街の中にドクトリアを見かけた。


『あっ、アリシアさん達。久しぶりですね。一月ぶりくらいでしょうか。

 見かけないのでもうアウレアンを出たのかと思っていましたよ。

 あの後調査を進めて、求めていた文献が帝国にあることがわかったのでもう少ししたら帝国へ向かおうとしていたんですよ。

 貴方達はまだアウレアンに滞在するんですか?』

『いえ、用事も終わったから私達もこれから帝国に渡ろうと思ってます。』

『であれば帝国でもお会いするかもしれないですね。帝国に向かうのであれば軍事的な緊張感が高まっているみたいなので、帝都にはしばらく近づかないことをお勧めします。

 では、失礼しますね。』


ドクトリアと別れ、アウレアンへ来た時に約束を取り付けた商会へと航海の予定を聞きに向かった。


『お、あんたらは!しばらく見ないからどうしたのかと思っていたんだよ。』


商会へ向かうと先の航海で世話になった船長がいた。

バルトロがこれから帝国へ向かおうと思っている旨を伝えると船長はバルトロの肩を叩きながら言った。


『それはちょうど良い!俺の船が明日帝国へ向かうところだったんだ。それに乗ってくれ!

 そういえば仲間が増えたのか?ん、そこの2人はクラーケンの時に…

 無事だったんだな!お前さん達のお陰で助かったよ!本当に良かった…』


船長は嬉しさのあまり、急に泣き出してしまった。


『すまねぇ、申し訳ないことをしてしまったと思って悔やんでいたんだ。

 それともう1人は行きには見なかった顔だな。それにしても偉い美人さんだな…』


商会にいた他の商人や船員達もスペルビアに見惚れていた。

当のスペルビアは商会の中を物珍しそうに色々と見て周っていた。


『私達の時にはあんな視線はなかった…』

『そうね…』


アリシアとクリオはスペルビアと自分達の差に少し物悲しそうな顔をしていた。


『まぁ仕方ないさ。アリシア達はまだ若い。大人の女性の美しさというものがあるからな。』


バルトロが余計な一言を言ってアリシアに叩かれていた。

帝国への船も決まったのでアウレアン最後の日ということで「海猫のとまり木亭」で食事をとった。

スペルビアは竜の国でとは趣向の違う料理に感動して大量に食べて周りを驚かせていた。


一泊した翌日、快晴の天気の中での出港となった。


『こっちの航路ではクラーケンが出たという話はないし、安心して乗っていてくれ!』


船長の言った様に船旅は本当に穏やかだった。

そんな中、スペルビアは1人だけ船酔いに悩まされて倒れてしまった。


『空を飛べない人族は海を渡るためにこんな苦労をしていたのだな。

 私が想像していたよりも皆強いんだな。うっ…』


船酔いで苦しんでいるスペルビアはバルトロとクリオがつきっきりで看病することになった。


『スペルビアってすごい強いと思ってたから驚いたね。』

『強いには強いけど強さは戦う力だけじゃないからね。空を飛ぶのと船に乗るのでは感じ方も全然違うしね。慣れないことは誰だって戸惑うよ。』


アリシアは何事も起きない穏やかな航海を楽しそうにしていた。

連邦からの航海と違い、アルクスが隣にいるという事実が彼女にとってはとても重要であった。


何事もないまま船は帝国の端にある港町へと辿り着いた。

船長達に安全な船旅の礼を伝えると今後の話を訊ねられた。


『これから帝国のどこに向かうかは決まってるんですかい?』


アルクスは地図を広げ海底洞窟があると教わった辺りを示した。


『こんなところに街なんかありましたっけか…いや、何か目的があるんでしょう。

 ここから海岸沿いを向かうよりは一度商都まで出てから行った方が街道も整備されていて、進みやすいですよ。あぁ、商都っていうのは地図で言うとここですぜ。』


船長が示す商都までは少し距離がある様だった。


『商都は帝国中の色んな商会が集中している、帝国の商売の中心ですな。

 帝都の方は最近軍が王国との戦争準備をしているって話ですんで近寄らない方が良いかと思いますぜ。』

『貴重な情報をありがとうございます!またここに来た時は顔を出しますね。』


船長からの情報に感謝して別れることにした。

情報提供のお礼にと商会にいくつか役に立ちそうな素材や薬を渡していった。


『これは…こんなにもらえないですよ!』


気にしないで欲しいと言って商会を後にした。

港町で一泊して一息つくとスペルビアも復活して元気になっていた。


『今後は船旅はできるだけ避けたいな…』


探索者協会へ向かうと討伐依頼が複数出ていた。


『聞いたことがない魔獣の名前が多いな。』

『大陸が違うとそこに住む生物も違うだろうからね。』

『まぁ、大した魔獣ではないだろう。』


協会では不要な素材を買い取ってもらい、路銀にすることにした。


『さて、それじゃあ今度は帝国の旅だ。初めての国だし気を引き締めていこう!』


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