第112話 国境
アルクス達はその後周辺の村を巡ったが既に村人達は全滅しているか、レヴァナントと化して彷徨い歩いているかのどちらかであった。
亡骸やレヴァナント達を地中に埋葬したアルクス達は今後の方針について話し合った。
「どこも手遅れだったね…」
「仕方がない、戦争が終わってからすぐに来たわけじゃないし。そもそも戦争が終わったと思っているのは王国だけかもしれないよ。」
「王国は帝国に負けて終わりだと思っているが、帝国はまだ王国を攻め続けているってことか?」
「そう、わかりやすい武力同士の衝突は終わったけれど、次やその次の戦いに向けて何かを仕組んでいるのかもしれない。ちょうどこの地域一帯からは避難している人も多くて、何かが起きても情報が伝わりにくいだろうしね。」
「じゃあ、この後はどうする?騎士団の拠点にでも行って今までに見たことを伝える?」
「いや、僕達が用事があるのは帝国側の大陸だし、このまま帝国に向かおうと思う。それに流石に騎士団も、今何が起きているかくらいは把握しているはずだよ。戦場の跡地も見ておきたいしね。」
そして国境にほど近い戦場跡地に近づくにつれて、空気が澱み死臭が漂ってきた。
「ここから先は今までの比じゃない様なことが起きていそうな気がする。」
「あぁ、これはかなりひどいだろうな。」
元々はただの草原であったであろう場所だったが、数多くの戦士達の血を吸い赤く染まっている様にも見えた。
「死体が皆レヴァナントになっている…」
戦場跡地についたところ、王国兵か帝国兵もわからない様な死体達が起き上がり、彷徨っていた。
「ひどい…、アルクスなんとかならないかな?」
「これだけいると今までみたいに地中に埋葬するのもちょっと厳しいよね。うーん、どうしたらいいんだろう。」
アルクス達が悩んでいると、アーラが突然龍珠の中から飛び出してきた。
「アーラどうしたの?ここはあまり見てて気持ちの良い場所じゃないよ。」
『ピー!』
アーラは突然鳴いたかと思うと息を吸い込み、同時に首周りに光り輝く首飾りが現れた。
「この前藍碧龍様からいただいた首飾りが光っている… あれ、龍玉も光っている?」
そして大きくブレスを吹いたと思うと、光り輝く炎を吹き出した。
同時にアルクス達はどこからともなく力が溢れ出したかと思うと龍玉から溢れた光がアーラに吸い込まれていった。
「くっ、すごい勢いで力が吸われるな。」
「アーラは私達の力を使っているの?」
「龍玉を通して龍脈の力を引き出しているのかも。」
アーラが吹き出したブレスはレヴァナント達を燃やし血に染まった大地を浄化していった。
先程までの重く澱んだ空気が清浄な空気へと替わり、赤く見えた大地もごく普通の平原へと変わっていった。
「これはただの炎ではなくて、聖なる焔とでも言うのかな。」
「さすがアーラだな!龍の御子の名は伊達じゃないな!」
『ピュイ♪』
「龍って思ったよりも色んなことができるのね…」
「よく考えたら僕達はアーラが何ができるのか分かっていないね。前には大きくなって皆を乗せて空を飛んだりもしてたって聞いたけど、その後は大きくなったりはしていないしね。」
「死んだ後も彷徨い続けているのもかわいそうだし、これで皆ゆっくり眠れるといいね。」
アルクス達は消えていった戦士達に鎮魂の祈りを捧げ、戦場跡地を後にした。
「ここが王国と帝国の国境かぁ。」
「誰がこんな巨大な橋を作ったんだろうな。」
「すごい…」
戦場跡地を抜けて、王国の端まで辿り着くとそこには騎士団が余裕で通れる様な巨大な橋がかかっていた。
「ここを通って帝国軍が来たのか。それにしても国境だっていうのに見張りもいないのかな。」
「今はここに人を配置する余裕もないんじゃないかしら?今までの村みたいに王国内に帝国兵が入り放題だったし。」
「クリオのいうことももっともだな。アルクス、このまま橋を渡って帝国に入るのか?」
「帝国側にも見張りがいるだろうけど、それしかないかな。近くの街から船でいくのは今は無理だろうし、空を飛んでいくのもアーラが大きくならないとできないからね。探索者だって言って通してもらえるといいけど。」
アルクス達はそうして橋を渡り始めた。
「それにしてもこの橋ってどうやって作ったんだろう。」
「この巨大な橋に関しては2つ説があるよ。1つ目は岩の精霊と協力して巨大な岩を生み出して、それを削ったという説。2つ目は元々ここは繋がっていて、何かしらの要因で削れていったものを整えて橋にした説。」
「精霊の力を借りてそんなに大きな岩を作り出すことって可能なのかしら?」
「うーん、僕とナトゥの力だと無理だね。でもこの世界を作り出した様な力があれば巨大な岩を生み出すくらいは簡単にできると思う。」
「創造神様が作ったってこと?」
「神様がわざわざ橋を作ったりはしないとは思うけど、それに近い力を持っていればできそうだよね。
あっ、もうすぐ橋が終わるね。やっぱり無人というわけにはいかないよね。」
アルクス達が橋を渡り終えようとすると、帝国側には数名の兵士らしき影が見えた。
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