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黎明の翼 -龍騎士達のアルカディア-  作者: 八束ノ大和
第五章 中央編

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第100話 捜索

 1週間後、いつ案内されるのかと皆が思い始めた頃になって漸く再度領主館へと案内された。


『準備に時間がかかり、大変お待たせしました。』

『それでは試練の間へと案内します。』


前回と同様の場所へ通され、オクタとオクトが入ってくるなり試練の開始を宣言した。

宣言と同時に辺り一面が光を放ち、光が消えた時には周囲の景色が変わっていた。


『ここは一体…?』


アルクス達がいる場所は周囲が山に囲まれた平地へと移り変わっていた。


『ここは私達が作り出した試練の空間。』

『仲間達と協力してこの宝玉を守り抜いたら合格です。』

『『それでは絆の試練を開始します。』』


オクタとオクトが2人の間にある球体を指して、これを守れとだけ言い残して開始の合図を出した瞬間、今度は周囲の空間が歪んだ。


『あれ、何も起きていない…?』


空間が歪んだ後、アルクスが周囲を見渡すと先程までいた場所と変わらなかった。

ただ一つ違ったことは、アルクスと宝玉以外の全てが消え去っていたということだった。


『皆どこに行ったんだろう。さっきの空間の歪みは転移術…?

 周りには何の気配もないし、どうしたものか。』


アルクスは1人取り残され、自分が目の前にある宝玉を守り切らないといけないという事実に頭を悩ませたが、まずは今自分にできることを1つずつ進めることにした。


『とりあえず味方が多いに越したことはない。この空間は龍気に満ち溢れているからフルー達を召喚しておこう。』


アルクスはフルー達精霊を召喚し、当面の行動指針を共有した。


『これが八竜震天最後の絆の試練だ。

 この宝玉を守り抜かないといけないけど、今この場にいない皆の力を合わせないとおそらく難しいと思う。

 なので最初は他の皆を探す班とここを守る2つの班に分けたいと思う。

 探索班はフルーとヘルバとトニー、防衛班は僕とナトゥだ。』


『ワカッタ』

『アオン!』

『じゃあ皆、よろしく頼んだよ!』


フルー達が周囲を探索に出てしばらくすると、魔獣が宝玉へと近づいてきた。


『これを倒して行かないといけないのか。

 ナトゥ、1体ずつ倒せば良い様に上手く土壁で誘導してくれるかな?』

『マカセテ』


そうして、アルクス達による宝玉を守るために戦いが始まった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


『うーん…ここは?』


アリシアが目を覚ますと体を鎖の様なもので拘束されていることに気がついた。


『力が入らない…。この鎖から吸われてるのかな…。何も考えられない…。』


力が吸われ、頭がぼーっとして何も考えられない状況が続き、アリシアはきっとアルクスがなんとかしてくれるだろうと思い考えることをやめた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


フルー達が周囲の探索を始めてしばらく経つも、仲間達の気配は見当たらない。


『ワカレテサガソウ』


フルーの指示で個別で探索を行うことになった。

そして各々が探索をし始めてしばらく経ち、トニーの咆哮と雷鳴が鳴り響いた。

何かを見つけた合図だと感じ取ったフルーとヘルバは雷鳴の落ちた場所へと急いだ。


フルーとヘルバが辿り着いた場所は洞穴の入り口で、中へ入るとクリオが鎖に繋がれていた。

クリオは力を吸われているためか、ぐったりとして意識を失っていた。

ニンブスとトニーはクリオの鎖を解こうと苦戦していた。

ニンブスが鎌鼬で鎖を斬ろうとするも硬い音がするのみで鎖は斬れず、トニーの雷撃も弾かれてしまっていた。


フルーとヘルバは鎖を壊すのは正解ではないと判断し、鎖の根本を探した。

ヘルバは鎖越しに草を這わせて鎖の根本を辿ったところ、地中に魔石の様なものが埋まった球体を見つけてそれを引き抜いた。


ヘルバが引き抜いた球体をトニーが叩くと球体は壊れ、クリオを拘束している鎖は消え去った。

鎖の拘束が解かれたクリオは意識を取り戻すと、転移直後にニンブスを召喚した後に何が起きたかを聞き出し、精霊達に感謝すると共にアルクスの下へと急いだ。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


『はぁ、これが続くとちょっとしんどいな。フルー達は誰か見つけられたかな…』


アルクスが愚痴を溢すと、再度大量の魔獣達が現れた。


『これはちょっと厳しいかも…』


アルクスが魔獣の群れに襲われそうになった瞬間、竜巻が現れて魔獣達を吹き飛ばした。


『お待たせ!アルクス、大丈夫だった?』

『あぁ、助かったよクリオ。フルー達もクリオを連れてきてくれてありがとう。』


魔獣の群れを一掃した後、アルクスはクリオ達から転移後から今までのことを聞き出した。


『なるほど、皆どこかに捕まっているんだね。そうしたら班の構成を変えよう。

 現れる1体1体の魔獣は強くないから防衛班は殲滅力がある方が良いからクリオとニンブスとフルーとナトゥにお願いしようと思う。僕とヘルバとトニーは探索班だ。

 強力な魔獣に備えて早めにバルトロ兄さんを見つけたいところだけど…。』

『わかったわ。これを守れば良いのね?任せておいて!』


クリオ達に宝玉の防衛を任せてアルクスは他の仲間の探索へと向かった。


『どうやらこの空間はこの大陸を模倣して作られているみたいだ。

 クリオが1つ前の街の近くにいたってことは次は2つ前の街の近くにいるのかな?』


アルクスはトニーに跨り、道中に出現した魔獣達を蹴散らしつつ駆け抜けた。

街があったであろう場所の近くへと辿り着くとトニーが何かを見つけたのか、走り出した。


『アオン!』


トニーの示した先には洞穴があり、中へ入るとアリシアが鎖に繋がれていた。


『アリシア!』


アルクスがアリシアに気付き、駆け寄るも鎖に力を吸われているためかアリシアの意識がなかった。

その間にヘルバはクリオの時と同様に地中から鎖を生み出している球体を引きずり出し、トニーが球体を叩きつけて粉砕した。


鎖は消えて解放されるとアリシアはうっすらと目を覚ました。


『あれ、アルクスがいる…おはよう…』


アリシアは寝ぼけ眼でアルクスに抱きつくとそのまま寝てしまった。


『ふぅ、なんとか大丈夫そうだね。トニー、2人で重いかもしれないけど大丈夫かな?』


了解!とばかりにトニーは返事をして、2人を乗せて再度走り出した。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


『これ、いつまで続くの!?』


アルクス達が探索に向かった後も定期的に湧き出す魔獣の群れに対して、クリオは疲労が見え始めていた。

ニンブス、フルーやナトゥのお陰で魔力の消費は抑えられているものの、終わりが見えないというところで精神的に疲れていた。


『強い魔獣がいないのは助かるけど、良い加減終わって欲しい…』

『アブナイ!』


クリオが座り込んだタイミングで突然空から襲いかかる魔獣が現れた。


『空からも来るなんて聞いてない!』


クリオが突然のことに避けようとした瞬間、どこかから飛んできた矢に魔獣は撃ち落とされた。


『クリオ、大丈夫?空からの魔獣は私に任せて!』


すっかりと目を覚ましたアリシアが矢を番えると空から飛来した魔獣達を次々と撃ち落としていった。


『お待たせ、クリオ。アリシアも見つかったし、あとはスペルビアとバルトロ兄さんだね。やっぱりどこかに鎖で捕まっているのかな..』


魔獣の群れが一段落して、次はどうしようかと悩んでいるタイミングで少し離れた場所から戦いの音が聞こえてきた。


『あっちの方で誰かが戦っている…スペルビアかバルトロ兄さんがいるかも?ちょっと急いで見てくるよ。』

『ここは私達に任せて!』


アルクスはトニーに跨り、戦闘音が聞こえた場所へと急いだ。




『スペルビア、正気を取り戻してくれ!』

『グァァァー!』


アルクスが音のあった場所へと辿り着くと、バルトロが巨大な竜の形をしたゴーレムと戦っているのが見えた。


『バルトロ兄さん大丈夫?』

『おぉ、アルクスか。スペルビアがちょっとゴーレムと合体して正気を失っているみたいでな。ずっと暴れ回っているんだ。』


アルクスとバルトロが話している間も、スペルビア・ゴーレムの攻撃は止まなかった。


『一度逃げようか。アリシアとクリオも一緒にいるから。』

『確かに時間を置くのも一つあるか、スペルビアなんとかするから待っててくれよ!』


アルクスが以前アリシアからもらった煙玉を投げ、スペルビア・ゴーレムの視界を奪い皆のもとへと撤退した。



『兄さん!』

『あぁ、アリシアか。無事だったか。』

『戦っていたのは兄さんだったんだね。何と戦っていたの?』

『相手はスペルビアだ。ゴーレムと合体しているみたいで正気を失っていたんだ。』


それからバルトロは転移した後、今まで何があったのかを話し始めた。

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