通れません
ある夜、散歩をしているといつもの十字路のうち、一つに手書きの看板が置かれていた
「通れません・・・?」
そう書いてあった看板の奥を見るが、特に何かあるようには見えない
工事中でもないし、何かが道を塞いでいるわけでもないし
別にその道を通りたいということはなかったため、その日は別の道を通って散歩を終えた
いつもなら、マンネリ化を防ぐために道を変えるのだが、昨日の道が気になったので見に行くことにした
「あれ? 今日は看板が無いな。手書きだったし、誰かのいたずらか?」
数十メートル進んでみたが、特に何もなかった
引き返し、散歩に戻る
次の日も、なんとなく気になったのでその道を見に行った
「今日は看板があるのか」
今日は手書きの看板が置いてあった。昨日は何もなかったので、強制力のある看板ではないと判断し、無視して奥へ進んでみる
「なんだ、この感じ・・・」
電柱柱の陰、壁の上、庭木の隙間
いろいろなところから視線を感じる
車庫に置いてある車、玄関に置いてある三輪車、暗い部屋でカーテンが少し開いている家
普段なら何でもない風景が、今日はやけに怖く感じる
「ひ、引き返したほうがいいか?」
怖さを紛らわせるため、口を開いてそうつぶやくと
ガタンッと何かが落ちるような音が前方からしたため、はじかれたように元の道へと戻った
「看板が無い・・・」
誰か来たような感じはなかったが、いつの間にか手書きの看板がなくなっていた
そして、道で感じた変な視線も感じなくなっていた




