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これは・・・ですが  作者: 斉藤一


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足だけ

これは、忘年会の帰りでの出来事です


会社の忘年会で、同僚に酒を飲ませられまくり、いつも以上に酔っていました


「あれ、降りる駅間違えたかな」


今となっては記憶があいまいなのですが、どうやら私は電車を降りるタイミングを間違えていたようで、一駅先で降りていました


「あー、反対の電車に乗るよりも歩いて帰るか」


その時は、何百円もしない電車賃が勿体なく感じ、歩いて帰る事にしました。たった一駅とはいえ、酔った状態で歩くとなれば数十分は遠くなります


一駅先の場所は、いままで来たことがありませんでした。なので、とりあえず前の駅までは線路に沿って歩いて行く事にしました


住宅が途切れ、線路がむき出しになっている場所へ差し掛かった時、線路上に何かが落ちているのに気が付きました


「なんだ、あれ」


1メートルくらいの長い物。私はその時、それが杖代わりになるんじゃないかと思って近づいたのをハッキリと覚えています


しかし、実際に近づいてみると、それは足でした。靴も靴下も履いていない、人間の右足


「・・・・・・」


酔っていたため、思考がまとまらず、ジッとそれを見ていました。普通に考えれば、電車によって切断された足となるんでしょうが、その場に足以外は無く、切断面からも血は出ていない様に見えます。怖くて、切断面は見ていませんが


「け、警察に電話・・・を・・・」


私は、自分のポケットや鞄をあさり電話を探しましたが、実は携帯を飲み屋で忘れてきていてその場に持っていませんでした


私は慌てて他の人を探しますが、終電に近い時間帯の上、住宅街から少し離れていたため誰も居ません


「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」


ふらつく体で走り、駅へと戻る事にしました。駅に近づくにつれ、人はまばらにいましたが、そこまで来たら駅員へ言った方が良いと思い、駅員の元へ行きました


「線路っ! 足っ! 足ぃ!」


「ど、どうしました? 落ち着いてください!」


私が「足、足」とばかり言うため、駅員も困惑していましたが、少し落ち着いた後に線路に足が落ちていた事を伝えました


駅員が警察を呼び、私は到着したパトカーに乗って現場へと向かいます


「あれ・・・? 確かにここに落ちていたんだけど・・・」


「ちょっと、飲み過ぎたんじゃないですか? もし、今後同じことをしたら公務執行妨害で捕まえますからね」


警察に怒られ、私はその場に放置されました。さすがに、怒られた場でパトカーで家に送ってくれともいえる訳も無く、とぼとぼと家の方へ向かって歩き始めました


しばらく歩いていると、線路上に何かがはねて動いているのが見えました


それは、さっき私が発見した足が、自力でジャンプしていたものでした


私は、飲み過ぎは良くないと自分に言い聞かせ、線路から離れるように道を変え、家へと帰りました

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