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これは・・・ですが  作者: 斉藤一


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クリスマス

アメリカ荒野の一軒家で、男の子はサンタクロースを待っていた


「早く寝なさい。起きている間はサンタクロースは来ないよ」


「そうなの? じゃあ、もう寝るね」


しかし、男の子はどうしてもサンタクロースを見たかったため、寝たふりをしてごまかす事にした


しばらくして、庭の方から音がした


雪を踏みしめる音が、段々と男の子が寝ている部屋の方へ近づいてくる


(サンタクロースが来たんだ!)


男の子は、もっと近くに来るまで待った


そして、音の大きさからしてすぐ窓の外に居るであろうと予想し、ベットから飛び起きて窓へと向かった


「サンタさん!」


男の子は、カーテンを開けて庭を見るが、誰も居なかった


男の子は、すぐに玄関へ向かって走るが、それを父親が気づいた


「どこへ行くんだ? 寝たんじゃなかったのか?」


「サンタさんが庭に来たんだ! 会いに行く!」


父親は、当然そんな事はしていないし、もし不審者だったら警察に電話しなければならないと思って庭を確認しに行く事にした


「パパが確認しにいってくるからここで待ってなさい」


「やだ、僕もいく!」


どうしてもついてくるというので、説得に時間もかかりそうだと思った父親は、一緒に庭に行く事にした


「ここに居たはずなんだけど……」


男の子が指したのは、男の子の部屋の窓の前だった


父親はそこへ懐中電灯を照らす


「足跡がある」


足跡を消さないように父親は近づいた。そして、それは動物の足跡だと気が付いたのだ


父親は、その足跡を知っていた。それは、トナカイの足跡だった


「これは、トナカイの足跡だ。きっと、サンタクロースがプレゼントを運んできたんだよ」


「そうなの? やった!」


「でも、明日にしなさい。もう、遅いからね」


「はーい……」


男の子は、しぶしぶ自分の部屋へと戻った


父親も、単に、たまたまトナカイが来ただけかと思ったが、家の中に入ろうとして気が付く


「あの足跡、窓の前で途切れていた……」


つまり、そのあとバックしながら同じ足跡をたどらないとそういう足跡が残らない


さらにいえば、息子がすぐに確認したにも関わらず、何も見ていない


不思議に思いながらも、人間の足跡で無いならいいかと思い、父親は家へと入った


次の日、改めて確認しようと庭を見たが、あの足跡は影も形もなかった



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