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これは・・・ですが  作者: 斉藤一


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地震?

会社に、ビルで言えば3階から4階ほどの高さの棚がある


その棚には、商品が並べられていた


ある日、地震があってその棚の中がずれ、自動で取り出すための機械リフトに乗らなくなってしまった


そこで、会社からすべての棚の商品をきちんと並べなおせと指示があった


「ちっ、めんどくさいな。こんな仕事、新人にやらせろよ」


相方は、会社に入って10年くらいの社員だ。正直、俺はこの社員の事は好きではない。今みたいにすべての事に対して文句しか言わないからだ


「仕方ないですよ。新人じゃ怪我する確率が高いし、何か商品に他のトラブルがあっても対処できないだろうし」


「じゃあ、さっさと終わらせるか。俺は下で梯子を押さえているから上の方から直してくれ」


俺よりも2年先輩なので、なんで俺が……とも思わなくもないが、終わらせるには誰かがやらなければならないので、自分がやることにする


本来は、機械のリフトを棚に合わせ、そこに落下防止措置をしながら上るのだが、地震の影響でリフトのレーンが少し曲がってしまい、機械を利用する事が出来なくなっていた


なので、普通の梯子を伸ばして直していくしかない。普通の梯子では一番上まで届かないので、そちらはリフトのレールが直ってからやるしかない


俺は黙々と上り下りする。結構疲れるが、先輩が「代わろうか」と声をかけてくることはなかった


「ったく、社長は……だし、他の奴は……だし」


下で押さえているだけで暇なのか、時間が経つにつれて文句が増えてきた


「すいません、少し静かにしてもらってもいいですか?」


あまりにも愚痴ばかり聞かされて腹が立ってきたので、つい言ってしまった


先輩は少し怒った顔になり、無言になった。言わなきゃよかったけど、言わないとこっちがずっと我慢する羽目になる。どちらがいいのやら


次の棚の商品を直している時、梯子がゆれた。慌てて梯子を掴んで下を見る


「少し揺れたな。まあ、この程度なら俺が押さえているから大丈夫だろう、続けてくれ」


もし、今より強い揺れが来たら危ないし、下りたいとも思ったが、下りたら先輩の愚痴が再開すると思い仕事を続ける


しばらくすると、さっきよりも梯子が揺れた


「おお、大きい地震だぞ!」


先輩はそう言ったが、棚の商品が揺れていない様に見える。自分が揺れているのではっきりとは分からないが


そうしているうちに、明らかに揺れが大きくなり、とうとう俺は梯子から振り落とされた


「ぐっ」


俺は背中から硬い床に落ちて、全身に痛みが走る


「やべぇ、労災だ! すぐに報告してくるから待っていろ」


先輩は、すぐに救急車を呼ぶ事無く走っていった


報告自体はきちんとしたようで、すぐに上司が来て俺の状態を確認した後、救急車を呼んでくれた


「これで、めんどくさい仕事をやらなくて済むな」


そう言って声をかけてきた先輩は嫌な笑顔だった


さっきの揺れは、本当に地震だったのだろうか

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