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これは・・・ですが  作者: 斉藤一


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殺人予告

中学校に殺人予告状が送られてきた


対象は書かれていない。予告状には「いつか誰かを殺す」としか書かれていなかったのだ


緊急に警察をまじえて職員会議が行われた


「いつか誰かじゃ対処の仕様が……」


「せめてどちらかだけでも分かればいいのだけど……」


警察は、予告状から指紋等の情報を得ようとしたが、投函は直接だったし、ゴム手袋でもしていたのか指紋すらでなかった


また、文字もありふれたプリンターで印刷されたものだったので、筆跡すら分からない


学校の玄関が映る防犯カメラも設置されていなかったので、いつだれが投函したのかも分からなかった


結局、「いつもより気を付けて見守る」しかなかった


それから1週間は何も起こらず、あの予告状はイタズラだったのか? と思われはじめていた


しかし、意外な事実が判明した。20年ほど前にも、この学校に殺人予告状が出されていた事が分かった


当時、それは最初からイタズラと判断され放置されていた。そのせいで、男子生徒が一人亡くなっていいたことが分かった。ただ、その男子生徒は死亡直前に転校しており、この学校の事件として扱われていなかったので誰の記憶にも残っていなかったのだ


「じゃあ、これも実際に殺人に繋がるかもしれないという事?」


「だが、一体どうしろと。してほしい事も何も、書かれていないじゃないか」


「事件が起こるまでずっと気を張り詰めているなんて不可能よ。警察だって長期間の巡回なんて無理でしょう?」


職員室では、どうしようもないという事で会議が煮詰まることがなかった


「じゃあ、こうしようじゃないか」


校長先生が、一つの案を出した


次の日の新聞に、殺人予告状が出された事と、その結果、一人の関係者が死亡したというニュースが載った


死亡した事になっていたのは、すでに亡くなっている校長先生の父親だった


校長先生の父親も、この学校の校長をしていたのだ。当然、今の校長と苗字が一緒なので、今の校長が亡くなったと勘違いする人も居た


結果的に、それから殺人予告状の通りに殺人事件が起きる事も無く、学校には平和が訪れたと思われた


ただ一つ違う事があるとすれば、校長室に飾られていた校長先生の父親の写真が、いつの間にか無くなっていた事だろう



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