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これは・・・ですが  作者: 斉藤一


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お仕置き部屋

ある会社へ入社した


数週間は新人研修やらなんやらで忙しい日が続いた


数か月たったころ、新人たちに初めてノルマを課せられた


まあ、新人なのでノルマが達成できなくても特に何も無かった


しかし、先輩たちは違う。先輩たちは、締めが近づくと、ノルマを達成しようと死に物狂いで働いていた


「先輩、どうしてそんなに必死になっているんですか?」


「ああ、新人はまだ知らないか。連続で2回、ノルマを達成できなかったらお仕置き部屋に入れられるんだ」


「お仕置き部屋……ですか? 今のこのご時世に暴力なんてはたらいたらすぐに労働基準監督署がくるでしょう?」


「いや、暴力どころかパワハラですらないぞ。なにせ、その部屋に入るのはノルマを達成できなかった人が一人だけで入るんだからな」


てっきりお説教部屋かと思ったらそうじゃ無いみたいだ。それなら、大して怖くないのでは?


「お前、大したこと無さそうとか思っただろ。俺の中にはいったことが無いから知らないが、入った奴は漏れなく会社を辞めている。それも、心身喪失状態でな。だから、何があったのか誰も聞いてないし、知りたくも無い。ただ、会社を辞めようとするやつもそこに入れられるから、何が何でもノルマを達成し続けるしかないんだよ」


先輩はそう言って忙しそうに出て行った。その後、他の先輩からその部屋の場所を聞いた


「ここがその部屋か」


なんと、その部屋は5階の階段を降りた先、4階にあった。一度5階に行かないといけないので、普通に過ごしていたら気が付かない


いってみると、どうみてもただの書庫で、鍵すらついていない。こんな出入り自由なところで本当に心身喪失状態になるってどういうことだ?


興味本位で入った。中は雑多な本が並べられているだけだった。まるで、暇つぶしをするための様な


「あ、もしかしてサボリ部屋だったとか? だから新人には近づけさせないとか」


なんだ、そうだったのか。先輩たちは疲れたらここで休憩してたんじゃないかな、と勝手に思った


じゃあ、出るかと思ってドアを見ると、ドアノブが無かった


「なんで……」


鍵は確かにないけど、これじゃあ内側から出ることは出来ない。すると、ついていた明かりが消えた


そういえば、点けた覚えのない電気が点いていた。使っていない部屋に電気が点いているわけがない


「誰か!」


この部屋には窓があるが、分厚いカーテンで覆われていて部屋が明るくなるほどではなかった


そして、誰も来ない場所だから叫んでも誰も来ない


「そうだ、窓から叫べば誰かに聞こえるかも」


そう思って窓へ駆け寄った。そして、カーテンを開けると、そこには女性のものと思われる服を着た下半身が垂れ下がっていた


「うわぁっ!」


腰を抜かしつつも窓から目を離せない。座ったことによって女性の上半身付近まで見えるようになってしまった


嫌な事に、徐々にその女性の姿が下がってきている様に見える


その時、電話が震えた。見ると、先輩から「そろそろ営業に行くぞ」とメールがきていた


「そうだ、電話を持っていたんだった!」


何故そのことを忘れていたのか分からないけれど、すぐに先輩に電話した。幸い、その電話で変な声が聞こえたり、勝手に切れたりしなかった


すぐに先輩が着てくれてドアを開けてくれた


「へぇ、初めて入ったけどこんな部屋だ……た……ぎゃーー!!」


先輩は俺の背後の窓を見て、叫んで逃げて行った。俺は振り向く勇気がなく、先輩を追って部屋を出て逃げた


先輩はそのまま会社を勝手に早退し、そのまま会社へ来る事無く退職した


先輩が何を見たのか、今になっては分からないが、俺も振り向いていたら同じ様になっていたのだろうか


ただ、俺の場合はあの部屋送りになるのが怖くて退職すらできない



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