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これは・・・ですが  作者: 斉藤一


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アイドル死亡

私は、アイドルを目指していた。容姿はクラスで一番綺麗だけれど、学校内で言えば5番目くらいだろうか


運動はイマイチ、歌唱力もイマイチな私は、容姿だけでアイドルの予備軍としてスカウトされた


そこは訓練所の様なもので、私と同じくらいの容姿の持ち主が30人ほどいた。そのなかで、歌のうまい人、ダンスがうまい人、トークが面白い人と、他に優れたものがある人からアイドルになっていった


「私も早くアイドルになりたいな」


容姿だけのアイドルは、旬が短い。容姿が衰え始めただけで、いや、他にもっと容姿が優れた人が現れただけでその人生は終わってしまう


だから私は、一生懸命に練習した。他の子よりも練習時間は多いと自負している。他の子が遊びに行ったりしているあいだも練習した


そのかいあって、私はアイドルになる事が出来た


運よく、地方のCMにも抜擢されて少しは有名になった


けれども、私はマネージャーに恋してしまった。アイドルのマネージャーをするだけあって、イケメンだったのだ


そして、私はマネージャーとデートしているところをSNSにアップされてしまった


まだアイドルとして始まったばかりの私が起こした不祥事。しばらくの謹慎を言い渡された


「何やってるんだろう、私」


夢にまでみたアイドルになれたのに、たったこれだけで夢を奪われる


ただでさえ短いアイドル人生が、何もできずに浪費される


今はネットにアップされてしまった情報は消える事が無いと言っても過言ではない


日が経ち、誰も検索しなくなって初めて忘れ去られることが出来るのだ


だけど、また目に付けばまた検索される。どうやっても復活できる未来が見えなかった


濃厚な血の匂いがする


(ああ、私、事故に遭ったんだ)


全身の感覚はすでになく、血の味すら分からない。自分の体がどうなっているのかも分かりたくない


車は、避けようと思えば避けられた。けれども、私は避けなかった


運転席に、マネージャーと知らない女性が見えたから


それから、私はずっとマネージャーに憑いている

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