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これは・・・ですが  作者: 斉藤一


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カンカンカン

「カンカン、カンカン、あの音が頭から離れないんですわ」


あれは、夜勤明けで午前9時ごろやったと思う


丁度、通勤ラッシュとかが途切れて人が少なくなってたわ


ワイの帰り道に線路があるんやけど、運悪くカンカン鳴り出したんや


反対側に女子高生が向かってくるのが見えたんよ


もうすでに通勤……じゃなくて、出勤……じゃなくて、そう、登校時間が過ぎてるはずの時間帯にな


髪は派手な金髪に染めてて、不良少女やと思ったわ


耳にはイヤホンを挿して、スマホを操作しててな、絶対にカンカンって言う音が聞こえてないんやと思ったわ


そして、少女が遮断機を通り過ぎたとこで遮断機が下りたんよ


何かあったのか、少女は線路上で足を止めてしまったんよ


多分やけど、遮断機の存在は何となくわかってて、遮断機の前に立ってるつもりやったんやと思う


ワイは、声をかけようか迷った。イヤホンしてるし、聞こえないかもしれないと思った


今から遮断機をくぐって手を引く勇気も無かったし、停止ボタンを押すという方法もそん時は思いつかなかったんや


電車が近づいてくるのが見えて、ワイの足はガクガクと震えてて、到底助けに行ける状態やなかった


「に、にげ、、」


なんとか声を出そうとするも、カンカンという音の方が大きくて、絶対に聞こえてない


とうとう、電車が警笛を鳴らしたんや。少女は、そこで初めて電車の存在に気付いたんやろうな


電車の方を見て、あっけにとられてんのが分かった。きっと、状況を一生懸命把握しようとして、動けなかったんやろうな


ワイの目の前から、少女が消えたんよ、血煙を残して


それから、ずっとワイの頭の中で「カンカン、カンカン」と音が鳴り続けてるんやわ



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